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外伝11話 頭の声
しおりを挟む「あっ、恭弥のお友達ですか?」
「はっ、はい。お世話になってます」
「それはそれは、僕はケインと言います。うちの恭弥がお世話になっております」
「いえいえそんな……僕の名前は高宮傑です。おい、恭弥、ちょっとこっちこい」
そう言われて俺は無理矢理に高宮から問い詰められた。
「どういうことだよ!?あの子『うちの恭弥』とか言ったぞ!?」
「ああ……まぁ、一応そうなる」
「そういう関係なのか!」
「違う。断じて違う」
「外人さん……だよな?何処で知り合ったんだ?」
「外人……まぁ一応そうかな」
「なんだ?ハーフなのか?どっちでも良いか……にしても、まさかお前に春が来るなんてな!」
「だから違うって!」
「嘘をつくなよ。じゃあ何なんだよ」
「えーっと……何というか……ただの友達なんだけど、家が近所なだけでそういう感じじゃあ無い」
「どうして一緒に登校すんだよ」
「ケインの学校もすぐ近くだから偶々そこで会っただけだよ」
「ふーん……まぁ良いか」
そこまで聞いてようやく高宮は諦めたようだ。
すると、ケインが僕に向かって話しかけてくる。
「恭弥、友達と仲良く話してるとこ悪いけど、僕もう帰るから。夕飯はハンバーグで良い?」
「うん、良いよ」
そう言ってケインは帰っていった(もちろん普通に歩いて)
しかし、それがダメだったのだ。
「おい、恭弥」
「おわっ!高宮!まだ居たのか」
「今夕飯はハンバーグで良いか?って聞いてきたよな……同棲してるのか?」
「あっ!」
「してるんだな!そうか……もうそこまで行ってたのか」
「ち、違う違う。今のは別に……」
「良いんだぞ。もう隠さなくて。この事はそんなに広めないようにするから」
「ある程度誰かに言う気じゃねえか!やめろ、頼む、やめてください」
僕は高宮に懇願し続けた結果、帰りがけにクレープを奢るという事黙ってて貰える事となった。
………………………………
………………
……
「というわけだったんだよ」
「へー……可哀想」
家に帰りケインにこの事を伝えるとケインは他人事のように言ってきた。
「いやいや、ケインにとっても他人事じゃないだろ」
「まあね。でも会ったことのない恭弥の学校のクラスメイトに噂されてもそんなにダメージないから」
「達観してるなぁ……」
「そうか?割と普通だと思うぞ。それより、今日帰る途中にドラゴンに会ったぞ」
「ドラゴン……ってあの!?」
俺が最初襲われそうになっていたあのドラゴンが……また現れたと言う事か。
「倒さなきゃ!」
「落ち着け、僕がもう倒しておいた。そんなに強いドラゴンじゃなかったからな。被害もないよ」
そんなに強いドラゴンじゃないって……
ドラゴンはみんな強いだろ
「でもドラゴンを倒した時、頭に声が聞こえてきたんだ。『力が欲しいか?』ってね」
「……何それ」
「分かんないけどそんな怪しいのに答えるわけないから、いらないですって答えたよ」
「良かった。でも、本当に何なのそれは」
「だから分かんないって。もしかしたら空耳かもしれないし」
「でも……もしケインに何かあったら……」
「気にすんな。僕が死ぬかよ。必ず生きて故郷に帰るって決めたからな。帰って見せるさ」
そう言うとケインは話を切り上げて寝に行ってしまった。
俺も、きっと気のせいだ……そう思う事にした。でも、気のせいなんかじゃなかったと、次の日になって分かったのだった……
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