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第百二十一話 クリフの力
しおりを挟む「クッ……グハ!」
ガルドはケインが突然超強化された事によって対応出来なくなっていた。
さっきまでは互角といってもいい勝負だったのにこうも一方的になるとはガルドも想定できなかったのだ。
(まずい……このままじゃ負ける)
ガルドは探す。今までの経験の中から生き残る方法を。
「ベンタブラック!」
とりあえずこの状態のケインを相手取るのは無理だと判断したガルドは、ケインから逃げるために撹乱の闇魔法ベンタブラックを発動した。
ベンタブラックは四方に球体の闇を飛ばしてその球から魔力が尽きるまで細い闇を放ち続ける大技だ。
威力はそこそこだが、秒間1000以上の闇が襲ってくるのを捌くのは雷帝オルトメキナでも無理だ。
本来ならケインとの勝負が長引いた時の決め手として使おうと思っていたが、今のケインのステータスは運以外全てが1000000を軽く超えている。
いくらガルドでも太刀打ちできない。
そう考えて、ベンタブラックを囮に使い、逃げに徹したのは最上の判断と言えるだろう。
もしもこの場にクリフがいなかったら成功していたからもしれない……
逃げようとしたガルドだったが、残念ながら途中で見えない壁にぶつかって逃げられなかった。
「な、なんだこれ!?」
「それはエア・シールドです。……もう僕にはこの戦いでは何も出来ないと思っていました。でも
ガルドさんが逃げようとした時に、逃げられないように抑えるくらいなら出来る!」
クリフはケインが必ず勝つと確信していた。
だからガルドは一度逃げようとするはずだ。
そう思い、あらゆる方向に強力な空気のシールドを設置したのだ。
「クッ!舐めないでくださいよクリフさん。この程度のシールド、俺にかかれば……!」
そう言ってガルドは闇を纏った拳で突きをする。
その攻撃でクリフのシールドは粉々に割れてしまった。
「じゃあ、さらばです皆さん。俺は逃げさせてもらいます」
そのまま逃げようとしたガルドをケインが押さえつけた。
「おい、どこ行く気だよ」
「なっ!そんな馬鹿な……あの量の闇をどうやって……」
「普通に捌いただけだ。何発か食らってもあの程度の攻撃力ならすぐに再生するしな。……さてと、それじゃあな……死神の鎌!」
ケインによって放たれたその斬撃は、高い防御力を持つ魔王ガルドの胸をも貫き、魔王ガルドは遂に倒れた。
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