109 / 192
第百十五話 本来の四天王
しおりを挟む「魔王討伐に行きましょう!」
「……ソウダネ僕もそう思うよ」
エルナが突然魔王討伐に行こうと言い出した。
何を言っているんだ一体……
この間あんな事があったばかりなのに……
「今世間は勇者パーティーに白い目を向けています。このイメージ回復をするには魔王討伐が丁度良いんじゃないでしょうか?」
「……まぁ、そうだろうけどさ。今倒したら寧ろ変な注目浴びそうだし、いくら今の魔王城にはほとんど敵がいないとはいえ、そんな簡単に倒せる相手じゃないだろう。まだ修行不足に感じる所もあるから、また修行し直してから……」
「こ、困りますよ!それだと他の誰かに倒されてしまうかもしれないじゃないですか!」
「別に倒されても構わないと思うけど……というかエルナって本当に変わったよね。初めて会った時は政治関係で勇者の力を利用しようとしてる人はぶった斬りそうだったのに」
「どちらかと言えば此方が素です。あの時の私はなんだか変でした」
「そうだな、僕の話も聞かない感じだったし………?」
「どうしたのですか?難しい顔をして」
待てよ、そう言えば流してしまったが王都がテクストに乗っ取られた時エルナはいつの間にテクストに操られたんだ?
エルナが影響を受けたのはいつか分からない。
いつの間にか触れられていたかもしれないが、それよりも納得出来るのは、テクスト以外のやつに触れられていたという可能性……
更に言えば用心深いエルナに気軽に近寄る事ができたやつ。
学園が始まった時から僕達のすぐそばにいて、四天王テクストと同じ事ができた相手……
「ちょっと待った。やっぱり行くよ魔王討伐。すぐに行こう時間がもったいない」
「!?何故急にやる気になったのですか?まあ良いです。クリフも呼んできますね」
その後クリフも承諾してくれて魔王討伐に行く事になった。
9割方僕の不安は杞憂に終わるだろう。
このまま強敵、魔王を討伐して世界に平和が訪れる。
そう考えさせられた。
「それにしても随分急に魔王討伐に名乗り出ましたね」
「ええ、私も意外でした」
「ほら、準備は出来た?それじゃあ僕に捕まって、魔王城付近まで縮地するから」
2人が捕まったのを確認していつものスキルを発動する。
「縮地!」
僕達は魔王城に着くとスムーズに攻略していった。
どうやら魔王軍側にも余裕が無いようだ、残った魔物はこの程度か……
前に来た時に魔王がいた場所まで来た。
目の前の大きな扉を開ける。
中には仮面を被った男が偉そうに玉座に座っていた。
男の身長はあまり高く無い。ケインよりいくらか低いくらいだ。当然身長で戦闘力は決められないが……
横には長身の女がいた。サキュバスだろうか?
此方をみると微笑んで話しかけてくる。
「あら、ようやくここまで辿り着けたようね。素晴らしいわ、褒めてあげる。でも、魔王様と戦いたいなら私を倒してからにしなさい」
サキュバスは精神支配を仕掛ける。それはテクストのものと一緒であった。
違うのは練度……
この程度なら僕もクリフもエルナも操られない。
「あら?凄いわねぇ……これは魔王様から貸してもらった力の一つなのだけど……ふふ、良い事を教えてあげるわ。魔王様はね?四天王の全ての能力を扱えるのよ」
「そうか…‥だと思ったよ。エルナ!悪いが前線を1人で抑えられるか?」
「出来ますよ、今度は何分ですか?」
「ほんの10秒で良い。ありがとう!」
僕はクリフと事前に話していた技を発動させる。
クリフの技の一つにエア・バレット・デストロイがある。
この技は10秒間のチャージと共に空気で囲いを作り、その中に空気の弾丸を入れるのだ。
囲いの中に空気を限界まで詰め込み、ギリギリのところで発射する。
コンプレーション・エア・カノンの威力を極限まで高めた代物だ。
代償は長めのチャージ時間と精度。
この技は非常に高い威力の代わりに当たりづらいのだ。
そこで出された空気の弾丸に僕が触れてやる事で、投擲のスキルが発動し、精度も上がるというのが僕達の合体技。
言うなれば、スナイプ・エア・バレットだ。
僕達の合体技が炸裂した事により、サキュバスはその胸を貫かれた。
「ふ、ふふ……流石は四天王を倒した勇者パーティー。私では勝てませんか……」
「いいや、お前は良い線行ってたよ。四天王にもなれたかもな」
「敵に褒められるなんて……最悪の最後です……でも……何故だか嫌いじゃ無い……」
そう言うとサキュバスは事きれた。
1
お気に入りに追加
1,867
あなたにおすすめの小説
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
似非聖女呼ばわりされたのでスローライフ満喫しながら引き篭もります
秋月乃衣
恋愛
侯爵令嬢オリヴィアは聖女として今まで16年間生きてきたのにも関わらず、婚約者である王子から「お前は聖女ではない」と言われた挙句、婚約破棄をされてしまった。
そして、その瞬間オリヴィアの背中には何故か純白の羽が出現し、オリヴィアは泣き叫んだ。
「私、仰向け派なのに!これからどうやって寝たらいいの!?」
聖女じゃないみたいだし、婚約破棄されたし、何より羽が邪魔なので王都の外れでスローライフ始めます。
婚約者に犯されて身籠り、妹に陥れられて婚約破棄後に国外追放されました。“神人”であるお腹の子が復讐しますが、いいですね?
サイコちゃん
ファンタジー
公爵令嬢アリアは不義の子を身籠った事を切欠に、ヴント国を追放される。しかも、それが冤罪だったと判明した後も、加害者である第一王子イェールと妹ウィリアは不誠実な謝罪を繰り返し、果てはアリアを罵倒する。その行為が、ヴント国を破滅に導くとも知らずに――
※昨年、別アカウントにて削除した『お腹の子「後になってから謝っても遅いよ?」』を手直しして再投稿したものです。
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる