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第百十五話 本来の四天王

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「魔王討伐に行きましょう!」

「……ソウダネ僕もそう思うよ」

エルナが突然魔王討伐に行こうと言い出した。
何を言っているんだ一体……
この間あんな事があったばかりなのに……

「今世間は勇者パーティーに白い目を向けています。このイメージ回復をするには魔王討伐が丁度良いんじゃないでしょうか?」

「……まぁ、そうだろうけどさ。今倒したら寧ろ変な注目浴びそうだし、いくら今の魔王城にはほとんど敵がいないとはいえ、そんな簡単に倒せる相手じゃないだろう。まだ修行不足に感じる所もあるから、また修行し直してから……」

「こ、困りますよ!それだと他の誰かに倒されてしまうかもしれないじゃないですか!」

「別に倒されても構わないと思うけど……というかエルナって本当に変わったよね。初めて会った時は政治関係で勇者の力を利用しようとしてる人はぶった斬りそうだったのに」

「どちらかと言えば此方が素です。あの時の私はなんだか変でした」

「そうだな、僕の話も聞かない感じだったし………?」

「どうしたのですか?難しい顔をして」

待てよ、そう言えば流してしまったが王都がテクストに乗っ取られた時エルナはいつの間にテクストに操られたんだ?
エルナが影響を受けたのはいつか分からない。
いつの間にか触れられていたかもしれないが、それよりも納得出来るのは、テクスト以外のやつに触れられていたという可能性……
更に言えば用心深いエルナに気軽に近寄る事ができたやつ。
学園が始まった時から僕達のすぐそばにいて、四天王テクストと同じ事ができた相手……

「ちょっと待った。やっぱり行くよ魔王討伐。すぐに行こう時間がもったいない」

「!?何故急にやる気になったのですか?まあ良いです。クリフも呼んできますね」

その後クリフも承諾してくれて魔王討伐に行く事になった。
9割方僕の不安は杞憂に終わるだろう。
このまま強敵、魔王を討伐して世界に平和が訪れる。
そう考えさせられた。



「それにしても随分急に魔王討伐に名乗り出ましたね」

「ええ、私も意外でした」

「ほら、準備は出来た?それじゃあ僕に捕まって、魔王城付近まで縮地するから」

2人が捕まったのを確認していつものスキルを発動する。

「縮地!」
 
僕達は魔王城に着くとスムーズに攻略していった。
どうやら魔王軍側にも余裕が無いようだ、残った魔物はこの程度か……

前に来た時に魔王がいた場所まで来た。
目の前の大きな扉を開ける。
中には仮面を被った男が偉そうに玉座に座っていた。
男の身長はあまり高く無い。ケインよりいくらか低いくらいだ。当然身長で戦闘力は決められないが……

横には長身の女がいた。サキュバスだろうか?
此方をみると微笑んで話しかけてくる。

「あら、ようやくここまで辿り着けたようね。素晴らしいわ、褒めてあげる。でも、魔王様と戦いたいなら私を倒してからにしなさい」

サキュバスは精神支配を仕掛ける。それはテクストのものと一緒であった。
違うのは練度……
この程度なら僕もクリフもエルナも操られない。

「あら?凄いわねぇ……これは魔王様から貸してもらった力の一つなのだけど……ふふ、良い事を教えてあげるわ。魔王様はね?四天王の全ての能力を扱えるのよ」

「そうか…‥だと思ったよ。エルナ!悪いが前線を1人で抑えられるか?」

「出来ますよ、今度は何分ですか?」

「ほんの10秒で良い。ありがとう!」

僕はクリフと事前に話していた技を発動させる。
クリフの技の一つにエア・バレット・デストロイがある。
この技は10秒間のチャージと共に空気で囲いを作り、その中に空気の弾丸を入れるのだ。
囲いの中に空気を限界まで詰め込み、ギリギリのところで発射する。
コンプレーション・エア・カノンの威力を極限まで高めた代物だ。
代償は長めのチャージ時間と精度。
この技は非常に高い威力の代わりに当たりづらいのだ。
そこで出された空気の弾丸に僕が触れてやる事で、投擲のスキルが発動し、精度も上がるというのが僕達の合体技。
言うなれば、スナイプ・エア・バレットだ。

僕達の合体技が炸裂した事により、サキュバスはその胸を貫かれた。

「ふ、ふふ……流石は四天王を倒した勇者パーティー。私では勝てませんか……」

「いいや、お前は良い線行ってたよ。四天王にもなれたかもな」

「敵に褒められるなんて……最悪の最後です……でも……何故だか嫌いじゃ無い……」

そう言うとサキュバスは事きれた。


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