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第二十九話 成長

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デーモン事件が解決(自分の中で)してから半年が過ぎた。
魔王軍を倒した事でゴブリンの数が戻り、ようやくスキルを取得できるようになった。
こうしてたくさんのスキルを手に入れた僕は、投擲スキルの数が増え過ぎて、頭でゴブリンのことを思い浮かべるだけで石を投げると近くのゴブリンに勝手に当たるようになっている。
もはやこれ別のスキルだと思う。
命中率補正なんてレベルじゃない。
しかし、最近はやけにゴブリンの数が多い。
前までは1日多くても50体しか見つからなかったが、今日はもう80体見つけている。
念の為ギルドに報告しておくとするか……
そう考えて森を出ようとしたが、途中で大声が聞こえてきた。

「キャーーーーーー」

これは……女の人の声?
何故こんな森の中で女の声がするのか分からんが。放っておくわけにもいかなさそうだ。
急いで声がした方にゴブリンの形を思い浮かべて石を投げる。
それを追いかけて僕も走った。
1分後……
僕が目にしたのはゴブリン達の王……
ゴブリンロードだった。
取り巻きに数匹のゴブリンがいる。
そしてゴブリンロードは、ある女性の短剣を持っていた……
その短剣は独特なセンスで選ばれた不思議な形をしていて……

「お前………食ったのか?」

ゴブリンが、そんな言葉に反応する訳がない。
ニタニタ顔を、さらに気持ち悪い顔に変貌させ、新しい飯がやってきた、といった顔を見せた。

「そうか……もう良い死ね」

直後、指との間に挟み全速力で投げた8個の石が、ゴブリン達の頭を貫通していった。

Bランク魔物だったが、脳に穴を開けられて生きていられるはずがなかった。
全員あの世行きだ。

「ごめんなエネマ……僕がもう少し早く着いていれば……」

悔しさと腹立ちのあまりむしゃくしゃして、近くの木を殴りつけていた。

「ありがとうケイン」

「エネマ!」

ふと聞こえるエネマの声。

「私嬉しかった。私の声聞いてケイン来てくれて。私と話をしてくれる人少なかったの。
知ってる?私スキル適性値がFだったんだ。それが分かってから色んな人に煙たがれて……でも皆んなは私と普通に接してくれた……」

目の前に現れたエネマの体は透けていて触れない。

「嫌だ!行っちゃダメだ」

しかし、触らない僕が彼女に何かしてあげられるわけもなく、

「ダメ。行かないといけない。これは義務だから……」

「そんな……本当にこれでお別れなの?」

「何言ってるの?またすぐ会える」

そんな言葉を聞いて……
いつしか僕は笑っていた。

「そうだね。また会えるよなきっと……じゃあ僕は次会う時までにAランク冒険者になるよ」

「それはまたすごい目標だね」

「目標じゃないよ。やると決めたんだ」

「じゃあもう行く……というか行こ?冒険者ギルドに……」

「……………ん?冒険者ギルド?」

「私変な事言ってる?異変があったらギルドに即報告」

「そりゃまぁそうだけど……エネマ透けてるし……そんな場合じゃ、」

「ああこれ?ふんっ!」

顔に似合わず豪快な掛け声を上げるとエネマは、半透明な体から綺麗ないつものエネマに戻っていた。

「私のオリジナルスキル。『属性変化』これで、ゴーストの属性になって、触れない肉体になった……」

やだもう恥ずかしい。
僕達は、気まずい空気の中冒険者ギルドに帰った。
   






名前  ケイン

Lv27

体力 8426/8426(216)

魔力 8962(176)

筋力 46110(177)

速度 8340(175)

肉体硬度 8379(159)

魔力強度 8978(192)

幸運値 25

スキル
ステータスボード
スキル重複
投擲×7462
片手剣の基本×3031
身体強化×8165
防御の初心×45
魔法の初心×501
魔法の基本×12

称号
ゴブリン狩りの猛者





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