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第十九話 最強の男

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遠くから聞こえてくる鳴き声……
近づいてくる足音……
暗い森のさらに奥から、奴等は姿を現した。
Cランクの魔物の軍勢だ。
そういえばさっき倒した魔物の中にCランクの魔物はいなかった。
別働隊だったのか……?
ともかくこんな状態では戦えない……
逃げ…
ようとしたが、遅かった。

ゴブリンアーチャーによって狙撃され、足を撃ち抜かれた。

くそ!痛い。

だが、止まってなんかいられない……

必死に逃げようとするが、負傷した足で逃げられるわけもなく……

僕の前に立った牛鬼が斧を高く持ち上げ、振りかざした。

しかし、その斧は僕の頭を砕くことなく、剣によって止められた。

「大丈夫かい!?少年?」

僕の前には1人の男が立っていた。
片手で持つその剣は、今まで見たどの剣よりも細く、しかしどの剣よりも頼もしい剣だった。

一体どれだけ使い込んだのか分からぬほどに鮮やかに剣を構えて、言った。

「うん。大丈夫そうだな。じゃあ魔物供を殲滅するとするか……」

その途端、男は消え、場に雷が走った。

何度も起こる雷。

Dランクの魔物供はそれだけで一掃され、
残ったのはCランクの魔物だけ。
それもほとんど身動きが取れていない。
何をしたのか全く見えなかった。

速すぎるのだ。  

僕の目では追いきれないほどに……

すると後ろから馬に乗った人達がやってきた。

「隊長!到着しました!急いで手伝い…って!もう終わってる!」
そこにあったのは魔物の死体と魔石だけだった。

あの人達が来ている鎧…もしかして!

「あの、ひょっとして王都の騎士団の方々ですか?」

「うん?ああ、そうだよ、君はケイン君かい?」

「どうして僕の名前を…」

「エクレアさんから聞いたんだよ。僕は第6騎士団副隊長クウガ・バークだ。実はつい先ほどこの街に到着して、魔王軍の行方を探そうとしたんだが、その時エクレアさんが僕にこの森の異変を教えてくれてね。もしかするとここに魔王軍がいるのでは?という結論に至った。そこで本当ならゴブリン狩りに来ている君が危ないということで、急遽馬を走らせてきたんだ。」

「なるほど、危ないところを助けて頂いてありがとうございました!」

「いやいや、隊長が全部倒してしまったし僕らは何もやってないよ」

「そういえばあの人……一体何者なんですか?」

「ああ、あの人はね、オルト・メキナ。オリジナルスキル『雷神』を持つ、この国最強の1人だよ」



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