日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人

文字の大きさ
上 下
52 / 72
第4章 人類の宇宙への進出

4.15 惑星ホランゾンの原住人類発見

しおりを挟む
 ジュリアス・キサンバは、ランクルを操縦しながら、母親の様子を見て、ダッシュボードに入れていた昼食用の菓子パンを取って袋から出して彼女に渡す。彼女はためらっていたが、そっと少しかじって飲み込んで、それからは夢中で食べ始めるので、急いでドア脇のケースに入っていた水を渡す。

 彼女はそれをとって、ごくごくと飲んでさらにパンを食べ始めてすぐ食べ終わる。ジュリアスはもう一つ残っていたパンを渡し、彼女はそれも今度はゆっくりだが食べ始める。食べ終わると落ち着いたようで、何かしゃべって頭をさげる。

 たぶんお礼をいっているのだろうと、「いいよ、いいよ、良かったよ。今日は珍しくパンを買っていたからな」と意味は分からないだろうなと思いながら話しかける。基地が見えてきた。ジュリアスは基地に隣接する診療所の玄関にランクルを横付けして、ドアを開いて飛び降り、後部座席のドアを開いて男の子を抱きあげ玄関へ飛び込む。

 母親も杖を操って、袋も忘れず持って懸命についてくるのを横目に見ながら、「先生!先生!」と叫ぶ。「こっちよ!」ドアが開いて、褐色の顔の医師のサマーラの現れて状態を見て言う。

「この部屋に運び込んで」
 ジュリアスは指示通り子供を抱いて中に入り、そこにあった診察台に乗せると、医師がすぐに額に手を当て、それから口を開かせ中を見る。少年の顔色は紫かかり、もう息も絶え絶えだ。

「だいぶ悪いわね。破傷風なら特効薬があるのだけど、果たしてこの子の生理に合うかどうか。でも治療をしないと長く持たないわ。思い切って注射をします」
 医師は言って、手早く棚においてあった薬を取り、注射器に吸い込ませる。

「では、やるわ!効くように祈っていて」
 言って、消毒薬で少年の腕を拭いて、血管を出して一気に注射をする。薬液を注入し終わると、針を抜いて捨て、「あとは祈るだけよ」そう言って、看護婦に手伝わせながら、次に注射した反対側の手の切り傷を手当する。

 さらに、手真似で母親を脇のソファに座らせて彼女のくるぶしに巻いた包帯を外して患部を見てさわり、母親が痛がるのを見て、「すこしひどいわね。ギブスをした方がいいわ」と言って、看護婦に命じる。
「この患部のギブスと松葉杖を持ってきて」
 持ってきた鋼製のギブスを足にあてて、手早く包帯で固定したところで、看護婦が母親に松葉杖を渡す。

 母親は松葉杖を使って、足を引きずりながら我が子を診ている医師の横に並ぶ。
「よさそうね。少なくとも悪くはなっていない。少し呼吸が深くなったわ。では、病室で寝かせましょう。まず着替えね」
 そう言って、看護婦と一緒に服を脱がせる。

 脱がせてみると、服は無論だが体もだいぶ汚れていたので、看護婦が湿らせたタオルで吹いて病院用の下着と服を着せる。その際に見た少年の足の指はやはり4本であるが、鼠径部は殆ど地球人と一緒であった。移動用の寝台を上昇させて、診察台に並べて寝台に少年を写し、病室に連れて行ってベッドに寝かせる。

 ちょうどそこに、基地の支配人のサニー・ジルコニアがやって来る。
「おお、ジュリアス、大発見だな。政府が今は大騒ぎだぞ。なんせ、下手すると惑星ホランゾンはシャーナ人に返さないとならん。政府の調査部のリッパード・コナー部長が今向かっているから、あと3時間くらいでつくだろう。それからシャーナ語のソフトを手に入れて翻訳機にシャーナ語を入れてきたぞ。英語とジャーナ語だ」

「おお、ありがとう。だいぶ彼女も疲れているようだから少し寝かせよう。話してみるよ」
 首から翻訳機をかけて英語で話しかけると、ジャーナ語で音声が出てくる。

「俺の名前はジュリアス、君の名前は?」
 母親は驚いたように翻訳機のスピーカを見ていいたが、恐る恐る返事をする。

「私の名はスズリスです。治療して頂いた息子はムーズスです」
 そこで、医者のサマーラが話しかける。

「息子さんのムーズスは、傷口からばい菌が入って病気になったので薬を注射しました。お子さんに注射の薬が合うかどうか心配だったのですが、あったようで今は良くなっていると思います。でも最低でも5日くらいはここにいなきゃいけないでしょう」
 それを聞いて、スズリスは目に見えてほっとした顔をしてお礼を言う。

「ジュリアスさん本当にありがとうございます。私たち2人は命を助けられました。お礼を申します」
「いえ、当たり前のことをしただけです。それから、実はあなたにお話を伺いたいということで、私どもの政府から人が来るのですが、まだ、だいぶ時間がかかるのでゆっくりお休みください。食事はいかがですか?」
 ジュリアスが応じて、さらに食事を勧める。

「ええ、出来れば頂きたいです。2日水だけでなにも食べていないものですから。それと出来れば体を綺麗にしたいのですが」
 スズリスが少し遠慮気味に言う。

「ああ、シャワーを使ってください。それと着かえた方がいいわね、着かえはもっていますか?」
 サマーラが置いている袋を見て言う。
「下着はあるのですが、上着はありません」

「じゃあ、看護婦の服をお出しします。マリー、シャワー室に案内してあげて、包帯は濡れないようにカバーしてあげてね。それから、服を一着だしてあげて」
 サマーラの指示に看護婦のマリーが従う。スズリスは、こうして看護婦の制服を着て、軽く食事をした後に息子の横のベッドで2時間近く眠ることが出来た。

「スズリスさん、スズリスさん!」
 彼女はゆり動かされてはっと目が覚め、何か悪いことがあるのではないかとはっと緊張したものの、状況を思い出しほっと緊張を緩めた。目をあけると、ナース帽をかぶった褐色の顔が彼女の上にかがんでいる。

「済みません、お疲れのところを、お話を聞きたいという人が来ていまして、起きて頂けませんか」
 翻訳機から声が流れる。
「え、ええ、大丈夫です」

 そう言って起きあがる。
 案内された部屋には、テーブルがあって褐色の肌のジュリアスと基地の支配人のサニー・ジルコニアに、肌の色が白く目が青い政府の調査部のリッパード・コナーが待っている。

 新たに来た男性が「私は政府のものでリッパード・コナーと申します。どうぞお座りください」と言って自分も座る。コナーの質問に答えて、スズリスが述べたのは以下のことであった。
 彼らシャーナ人の星ミルシャーナに、ラザニアム帝国が攻撃してきたのは地球時間に換算して三十五年前であった。その時点では、シャーナ人の文明レベルは原子力の利用に入ったばかりで、月にようやく人の乗ったロケットを送り込んだ段階であった。

 無線機はあるが、インターネットはまだ実用化していない段階であり、地上交通は車が使われ、当然航空機も盛んに使われていた。世界は3つの大陸にそれぞれ国があって特に争うこともなく、それなりに貿易をして互いに観光もして共存していた。

 食料生産ついては、コメのような作物と小麦の類が主食で、家畜の乳の活用はしていたが、あまり肉食はせずに、もっぱら水産物で動物性のたんぱくをとっていた。このような文明状況であり、軍備もろくなものはなかったので、ラザニアム帝国の1次攻撃に抗するすべもなく、いいように軌道上から岩石によって爆撃され、文明のあらかたは滅びてしまった。

 しかし、第2の大きさの大陸であるニュー・アフリカ、シャーナ人はミズンマ大陸と呼んでいたが、そこには地底深く複雑な大延長の洞窟が広がっており、主として農業生産に携わって都市に住んでいなかった相当な人数がそこに逃げ込んだ。

 かれらは、ある程度の機械類も持ち込むことが出来たので、それなりの文明は残すことが出来たが、やはり困ったのが食料であり、地上で耕作できないため、洞窟でも育つキノコや、外でこっそり採取する木の実や小動物と言ったもので、飢えは甚だ身近なものになっており、この限界状態では知識も徐々に失われていった。

 無線機でいろいろ連絡をとって、ミズンマ大陸で生き残った者たちは大洞窟に逃げ込んだが、他の大陸で生き残っていた人たちは、二十年前に連絡が取れなくなったということだ。
 ラザニアム帝国も洞窟にシャーナ人が逃げ延びていることは知っていて、時々銃を持って狩りをされることで毎回百人前後の犠牲者が出ていた。そのこともあって、その人口は最初洞窟に逃げ込んだ頃数えたときには3千人程度であったが、3年前には1千人以下に減っていたので、そう長くない将来にはシャーナ人は滅ぶと、悲観するものが多くなった。

 しかし、数年前から様子が変わってきて、まず定期的に行われていた狩りがなくなったし、かっては全く無視していたララマズ(ホギュウ)を異星人が大規模に狩り始めているほか、遠目にみる地上滑走車が全く違うというようなことがわかってきた。

 しかし、こうした中でも洞窟の中の社会はだんだん荒みはじめて、腕力が強いものが暴力的に支配するようになってきた。殺人こそは起きないが、暴力沙汰は日常茶飯事で、腕力の強いものが女性を犯して囲い込むことも多くなっている。

 スズリスは、3つあるグループの一つの人望のあった元の洞窟のリーダーの娘で、夫はその後を引き継いだリーダーだったが、外の世界で狩りをしていて、猛獣に襲われて殺されたのだ。
 次のリーダーは粗暴な男で、それまではそれなりに秩序のあるグループであったものが、今や強いものが支配する世界になってしまった。さらに、スズリスも自分のハーレムに加えようと襲ってきたので、とうとう息子を連れて逃げ出したのだ。

 スズリスは外の世界が変わったということは確信があり、惑星の支配種族が変わって、もう銃を持って狩られることはないと思ったので外に出たものだ。しかし、思ったより物騒な世界で地形も険しく、息子は怪我から熱を出して動けなくなるし、自分も猛獣に追われる内にひどい捻挫をして絶望したところで、ジュリアスに助けられたのだ。

 ジュリアスに助けられて、今のこの惑星の人々がラザニアム帝国人と違うことは確信したそうだ。なにより彼らだったら、スズリスを見るなり銃で撃つかどうかして殺そうとするが、ジュリアスは逆に猛獣から救ってくれて息子を助けようと一生懸命だった。それを見て、彼女も本当の意味で安心したとのことである。

 スズリスの話が終わって、コナーが話始める。
「説明をありがとうございました。大体はわかりました。私どもの地球の、技術や社会の発達度合いは似たようなものでした。
 でも、貴シャーナ人のように国同士で仲良くとはいかず結構いがみ合って戦争も何度もいましたが。ただ、わが地球が幸運だったのは、ラザニアム帝国の侵攻の直前に技術的なブレークスルーがありまして、結果的にラザニアム帝国の侵攻をはねのけたばかりか、彼らの宇宙艦隊を滅ぼして外征能力を奪いました。

 その結果、この星ミルシャーナは彼らが他種族から奪った星ということで、取り上げて我々地球人の植民を行っております。これは、あくまで主が居ないということでしたが、あなた方シャーナ人は我々とそん色ない文明を築いておられたので、明らかに文明人種ですから、本来の持ち主はあなた方です。
 ですから本来はお返ししなければならない。しかし、すでにこの星に植民した地球人の人口は4億人を超しており、我々としてもすでに多大な投資もしてしまっているということが一つ、もう一つはあなた方の人口は1千人余りということですね?」

 コナー部長は話を切って尋ねる。
「ええ、その程度ですね。でもこのままの状態が続いて一年たったらもっと減りますね」

 スズリスが答える。
「であれば、現在わずか1千人の人口では、たぶん百年後でもあなた方の人口は十万人には達しないでしょうから、あなた方のみで社会を作り元の文明を築くことは極めて困難だと思います。
 我々地球人も、この惑星の人口は大体二十億人どまりにすると考えていますので、この星の大きさからすれば十分スペースはありますし、食料等の資源についても問題はありません。

 ですから、あなた方が私たちとこの星に共存する場合は、あなた方が望むスペースを設けることは問題ありません。無論、その場合は、我々はあなた方の定着に全面的に援助いたします。
 同意いただけない場合でも、必要な援助は致します。しかし、共存に同意して頂ければ、すぐに救助隊を編成して、食料等を届けると共に全員の住宅を準備して、すぐに移転できるようにします。」

 スズリスはしばらくコナーの顔を見つめていたが、うつむいて考え込む。確かに重い決断であり、通常で言えば個人で決められるようなものではない。しばらくして、彼女は顔をあげて、強い目でコナーの目をみてきっぱり言う。

「選択の余地は残念ながらないと思います。私たちはもう滅びるだろうとあきらめかけていました。子供達にももう十分な教育ができず、獣に還っていく過程でした。ここでは、仮に食料を始めさまざまな援助をされても私たちのみではかってのような社会は作れないと思います。
 あなた方との共存を選ぶしか道は無いでしょう。私が説得します。まず食料を用意してください。それを持って、まず私の居たグループを説得し、彼らをその与えて頂ける住居に住まわせて、それを見せる形で他のグループを説得します。それで、私たちの生活の原資としてはどういうものを用意して頂けるのでしょうか?」

 この時が、まもなくシャーナ人の代表になって永くその利益代表を務めたスズリス・マテルスの代表としてのデビューの瞬間であった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

処理中です...