日本列島、時震により転移す!

黄昏人

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第1章 時震発生

14.2023年7月、塩竃ベース

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 千代は、その20日ほどの間、忙しく学びまた働きながら幸せだった。彼女は、受け入れられたその日、自分の寝床を与えられた。それは、第21棟という味も素っ気もない名の2階建ての棟の2階の一室で、2つの2段寝台と4つの机がある部屋だった。これらの全く同じ大きさの建物は、どこかで作ったものを組み立てるものらしく、大体2日で組み上がるそうだ。

 千代は、峯田に下着、服の何種類か、靴の何種類かを渡されて、それを肩にかけるようになった布の袋(リュック)に入れて持たされ、その部屋に案内された。その部屋では寝台の一つの上段と、机を一つ、細長い物入れの開きを指されて言われる。

「これがあなたのものよ。服はここに入れてね。それから、今のこの部屋には他に2人が住んでいますので、彼女たちが帰ったら挨拶をするように。そして明日からの行動は彼女たちに聞いてください。疲れたでしょうが、この部屋の仲間が帰ってくるまで起きておいてね」
 それから峯田は、部屋の隅にある洗面台、照明など部屋の中のものの使い方をざっと教えて去っていった。

 たしかに、上下に分かれた4つの寝台をどれもきちんとしていたが、2つの寝台は白い布(シーツというらしい)が敷かれて、上掛けが畳まれていた。また、千代のものと言われたものを含めて他の2つは布も含めて畳まれていた。また2つの机には本が10冊以上本立てに入れられ、薄い本(ノート)が置かれていた。部屋の中にはごみ一つ落ちてなく、どこもきちんとしている。そして、全てが真新しい。

 千代は、自分のもので新しいものは、親が生きていた時にくれた下着と、手ぬぐいくらいだった。それが、与えられた着物は、始めてみる形ものばかりだったが、全て新品だ。そして、机の中に入っていた、『文房具』という鉛筆、消しゴム、ノートも全て見た限りでは新品だ。

 峯田が去った後、千代はまず袋から与えられた着物を取り出して一つ一つじっくり見た。足を入れて穿くパンツというものが4枚、それは恥ずかしいほど短く小さい。そしてTシャツという頭から被る半袖の上着が4枚、またパンツと同じように穿くものだが足首まである柔らかいズボンが4枚ある。それらは、今着ているものと色と模様は少しずつ違うが同じもので寝間着兼用らしい。

 今の季節だと、それで暑くも寒くもなく丁度良い。それに加えて、作業着という少しごつい布で出来たボタンで前を止める半袖の上着が3枚、ズボンが3本あり、さらに部屋の前まで履いていた、サンダルという履物の他に、運動靴、作業靴をそれぞれ与えられている。

 先ほどの初めて食べた何種類からの食べ物の美味しさ、さらにそれを満足する量を食べられること、さらにこのような立派な沢山の服を与えられ、その上に立派な寝台、机、物入れをも自分のものにできる。それだけを考えても、本当に自分が選んだ道が正しかったのを実感した。

 しかし、反面これだけのことをしてくれて、どれほど働かされるのかという恐怖はあった。しかし、これらのものを自分のものとするためには、精いっぱい頑張ると彼女は小さな拳を握りしめた。しかし、まだちゃんと見ていないところが沢山ある。

 彼女は辺りを見回し部屋が薄暗くなったのに気が付いて、先ほど教えてもらった照明のスイッチを押した。そして、あまりの明るさに思わず「うわー」と叫んだ。先ほど峯田が点けた時は、窓からの光で明るかったこともあり、さらには気を取られることが多すぎ、それほどと思わなかった。だが、明かりは精々ロウソクしか知らない彼女にとっては、蛍光灯の明かりは驚異だった。

 暫く茫然と蛍光管をみて、まぶしさに耐えられず目をそらし、部屋の隅にある洗面台の鏡に気づいた。そのような者は見たことがなかったのだ。走り寄って、覗き込んで自分の顔を見る。眉は淡く、目の光は強い。頬はこけて口はきつく結ばれているが、鼻は程よく高く、整った顔と言えるだろうが、ひどく日に焼けている。だがこれは、毎日野良で作業をしていたので当然だろう。

 暫くの間、鏡に映る自分の顔をじっくり見ていたが、嫌いな顔じゃないなと思ったところで、がやがやという声が聞こえる。その声が遠ざかるとともに、戸がガチャリと音を立てて開き、2人の女の子が入ってきた。千代は戸口まで急いで、頭を下げる。

「今日から、ここに来ました、千代、11歳です。よろしくお願いします」
 千代と同じように、裸足になって部屋に入ってきた2人のうち、年かさの子が軽く頭を下げて言葉を返す。

「聞いているよ、千代ちゃんね。私はモヨ、15歳よ。私は1月ほど前にここに来たのでまだ新米よ」
「私は、ヨシ。11歳かな。私はモヨさんと一緒に来ました。よろしくね」

 続いて幼い方の子が挨拶を返してきたが、2人とも表情は明るく、先ほどのがやがやという声も笑い声が混じったものだった。それから、出身の村の話や、ここに来た動機やここでの生活などを聞いたが千代は最も気になっていることを思い切って尋ねてみた。

「ここでは、凄く美味しいものをたくさん食べさせてくれるじゃないですか。それにこんな部屋に住ませてくれて、また服なんかも凄くいい物をくれましたよね。だから、随分激しく働かされるのではないかと心配なんですが………」
 それに対して、モヨとヨシはけらけら笑ってモヨが答える。

「そうよね。私達もそう思ったよ。どんなに働かされるのかとね。でも全然そんなことはない。朝は、6時と言って早い時間に起こされるけど、それから走ったりラジオ体操とかの運動をして、身だしなみを整えて食事よ。8時半から昼まで勉強ね。読み書き、算数、それから歴史とか地理とかいろいろ。
 昼過ぎから、農作業の手伝いをしているけど夕方はまた勉強」

 その後、ヨシが引き取って話し始める。
「体は全然きつくはないよ。前の野良仕事の方がずっとずっときつかった。だけど、勉強は解るまでやらされるから結構辛いよ。だけど、勉強がちゃんとできないと。ここにあるいろんな道具を使えないし、普通の仕事も出来ないのだって。私もだから一生懸命やっている。寝る時間が18歳までは9時なのよ。だから今から寝るまで勉強するの。ねえモヨちゃん?」

「ええ、そうよ。私の方が年上だし覚えることが沢山あって大変だわ。だけどね……」
 モヨは千代に向いて真剣な顔で言った。

「私は、小百姓の子で、最近はここらも凶作はないけど、ちょっとした凶作で売られて売女になるか、そうでなきゃ同じような小百姓に嫁いで、死ぬまでひもじい思いをして働きぬいていくしかないと思った。だから、ここのことを聞いた時、どんな目に合ってもそれよりは増しだと思って、ヨシを連れてここに来たの。

 ここも、私みたいに頭の悪いものには甘くはないよ。でもね、私は必死で頑張るよ。ここの人でもものすごく賢いわけではないよ。ただ、凄くいろんなことを知ってそれに慣れている。私は頑張って、何とか食いついていくよ。まあ、勉強で落ちこぼれても追い出されはしないようだけどね」

「うん、そうだね。私も頑張る。頑張ってここ、塩竃ベースだっけ、ここに居られるようにするよ」
 真剣なモヨの顔に向かって拳を握ってみせる千代だった。

 千代にとって幸いなことに、彼女はベースでの必須である勉強が非常に得意だった。ひらがなは、すでに知っていたこともあって、今日までの20日で簡単な本は読めるようになり、九九も覚えて、四則演算もこなせるようになった。だから彼女にとっては、ベースの生活は非常で快適であり、前の村での生活が却って夢のような気がする毎日になっている。

 その中で、すでに同室のモヨには、勉強を教えるようになっている。ヨシは割に要領がよく、千代がヨシに追いついた状態で、モヨが少し遅れているのを千代が補っている。モヨはそれでも必死で頑張っており、今では卓上の蛍光灯を借りだして、千代たちが眠った後も勉強している。

 ちなみに、現在までにベースに仲間になろうとしてやってきた一般人は、全部で450人であり、千代がやって来てから200人余が増えている。現在では一日に20人ほどが来ているようだ。来る人々の構成は18歳以上の大人が約半分で、最年少は0歳である。これは、乳飲み子を抱えた夫婦がやってきたのだ。
 大部分が一般人だが、下級ではあるが武士と呼べるものが20人ほどいる。流石にこの状態は周辺の領主に問題視され始めており、村の出口が見張られるようになってきたという。

 千代がそれを聞いたのは、朝の朝礼の時であった。朝礼とは朝の8時から5分から10分、伝達事項などを知らせるものである。ちなみに、時間については各棟の出入口及び各部屋、さらに場内の各所に時計があって時刻を知ることができる。さらに、6時の起床、8時半の作業開始、12時昼食、13時の午後作業開始、15時小休止、17時終業時にはベース全体にチャイムが鳴る。

「ええ、多分夜になると思うが、近くこのベースが襲撃を受ける可能性がある。すこし騒がしくはなるが、このベースは固く守られているので皆に心配はない。状況については放送で知らせるので狼狽えないように」
 という警備隊長からの告知があったのだ。

 その数日前の、三村五郎左衛門の居城岩村城である。三村は所領約2万石の国人領主であるが、動員兵力は直属の家来が100人余、さらに百姓を動員して1500人程度である。
「殿!もう黙っておるわけにはいきませぬ。もはやわが領全部では百姓が300人余も、あの日本とかいう部落に逃げ込んでいるというではありませんか」

 3つの村の代官をやっている、倉崎三田衛門が顔を赤くして言うのに、30後半の武者さかり、髭でむさい顔のいかにも武辺者の三村が答える。
「うむ、その通りじゃ。勘弁ならん。隣の領の今山茂三郎からも、兵を出すと返事がきておる。今度は百姓兵は使わん。わが方から100、今山が80じゃ。大した武装はなさそうじゃし、十分じゃろう」

 三村は、ベースに対して使いを出していた。領民を集めるのは許さんから金を出せということだ。実のところ、三村はすでにベースから迷惑料として銀の延べ棒50㎏を受け取っていた。“日本”では300万円程度だが、金と銀の交換比が7.5:1のこの世界では銭1千貫に相当するので、それなりの財産である。日本では金は銀の100倍以上するので、金を渡すという選択肢はない。

 しかし、この三村の要求をベースはあっさり断っていた。これは臨時政府の方針として決まっており、船着き場とベースの建設前には危ないので一定の金をばらまくのは決定事項であったが、その後は断固として断るということである。たぶんその結果、襲撃はしてくるだろうが、撃退して諦めさせるということになっている。

 このころの時代の国人領主は、しょっちゅう領土を争っており、結局は強いものが勝つのだ。やくざの親分みたいなもので、理性的な話が通じるのは少数派であり、一般にそういう領主は力が弱い。この中で寺社や京の公卿の荘園は次々に奪われていったわけだ。

 その夜、真夜中を過ぎたころ、三村は簡単な鎧を着けて山道を歩いていた。その道の先には林から20間ほどのところにベースの柵がある。三村は200人ほどの隊列の前1/3程度の位置にいるが、その軍勢は20人ほどが弓を持ち、他は殆どが刀を佩いている他に槍を持っている。

 新月の夜を選んでいるので暗いが、この時代の人びとは星明りでもそれほど夜道を歩くのを苦にしない。柵についてはそれなりに研究しており、柱は丈夫なようだが、それを結んでいる鉄線は鉄棒で叩く程度で切れるだろうと考えられた。それで彼らが用意したのは、長さは2間半、直径が8寸ほどの丸太3本に横桟を1尺毎の間隔で取り付けて束ねたものである。

 それを柵に懸けて人が押して乗っていけば、柵は破れるという見込みだった。よしんば柵が敗れなくとも、それを梯子にして登って内側に入りこみ、その者達で守っている間に持ってきた鉄棒で線を叩き切るという計画だった。その梯子もどきは、あらかじめ作っており柵の近くの藪に隠してある。

 三村は、林から出て柵が見えるところまでやってきた。見張りのものは見当たらないが、柵にそって柱に取り付けた照明があって、照明柱の中間でも十分に明るい。
「確かに人はおらんが、これは夜襲の意味はあまりないのう」
 三村がこぼすが、家老の岬大二郎がせかす。

「殿、今です。誰も見ていません。まず入り込みましょう!」
「うむ、よし、押し出せ」

 三村の命で「「「は!」」」と応じて部下たちが駆けだす。彼らは梯子を両側から持った8人で、途中からそれを高く掲げて、柱の間の鉄線をめがけてそれを前に体当たりする。鉄線は、ビョーンと言う音を立てて強くしなるが切れない。
 そして、彼らが柵に届く寸前に、ウオン、ウオン、ウオンという連続した大音量がなる。そして、大きなランクルのような車が走ってくるが、その車の後ろには、なにか棒のようなものを構えた人が乗っている。

「弓隊、打て、打て!」
 後ろに控えて指揮を取っていた三村が叫び、20人の弓隊はその車に乗っている兵をめがけて打つ。しかし、その者達がなにか透明の盾のようなものを掲げると、数本が当たった矢はポトリ、ポトリと落ちる。そして、その後にその兵の持っていた棒のようなものが光ると、弓隊の足元に白い煙が舞い上がる。

 そして、その煙はさらに柵に懸けた梯子を登ろうとしていたところ、加えて柵に向けて走り出した兵の足元から舞い 上がる。そして数瞬後には辺り一面には白い煙が立ち込め、弓兵、槍を持った兵、柵に登った兵すべてが、涙を流しながらせき込み始めた。

 それは三村も同じことで、もはや目を開けておられず、せき込みながら精いっぱい「引け、引け」と叫び、林の中に逃げ込む。結局その200人ほどの兵は、せき込み涙を流しながら、這う這うの体で逃げ帰った。
 実のところ、その攻められた柵の位置は林に近いので、弱点とみられており、収音マイクが仕掛けられていた。また、船着き場とベース、さらにその連絡道路は、その周辺を中心に高度1000mほどの高さでドローンよってパトロールされている。

 だから、徒歩で移動する三村の軍は林に入る前から捕捉されていたし、その林の中の接近は逐次把握されていた。ベースには50人の自衛隊員が配置されているが、襲撃された時には基本的に非殺傷で撃退することが原則になっている。そしたやむを得ない時には敵の指揮官の狙撃が許されている。

 兵に対しての発砲は、ベースの住民を守るのにそれしかない場合に限ることになっていた。まだ火縄銃も渡来していないこの時点では十分であろうと考えられているが、ありうるとすれば弓で狙われた時になるだろう。

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