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第13章 サーダルタ帝国との和解

13.9 新地球の開発4

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 移動する山切とミモザの車からは、ほぼ完成している大規模な漁港、貨物ターミナル、旅客ターミナル及び町並みが見え隠れする。町並みの中央部分2㎞四方は片側4車線で中央に緑地帯をとった街路に囲まれたビル建設用地としてなっている。ここは幅50m長さ100mで1ブロックとして計画されている。

 中央部には新地球政府、中央市役所ビル他の関係機関のビルがすでに立ち並び、規格化された商業ビルも建っているが、大体半分は空いていて、所々にビルが建設されている。つまり中央の官庁ビル及び商業ビル街の半分は請負範囲に入っており、商業ビル街の残り半分はそこに建築を希望する民間業者が建設するのだ。

 その中央街の周辺の1.5kmについて、道路は片側2車線のアパート街であり、アパートの建設も全て請負範囲に入っている。最も外周のエリアは住宅地の一戸建てのエリアであり、これも半分の建築は請負範囲で半分は土地のみの造成である。この区画の1ブロックは40m×120mである。

 こうした建築はビルも含めて全てプレキャスト作りであり、コンクリートによる基礎を除けばすべて地球から運んできたものだ。基本的な構造は、仕切りなどを木材を模したポーラスな樹脂製として、外周は鋼板に樹脂コーティングをしたものである。アパートや一戸建ての水回りは全てプレキャストの一体型になっている。

 組み立ては、24時間の稼働が可能な専用ロボットによるもので、基礎さえでき上れば、その建設は極めて早い。これらの建物は全く同じ形と構造にした方の効率があがるが、余りに没個性になるということで、10種類程度のパターンを変化できるように工夫してある。
 このため、心理学も応用して最適な変化と組み合わせを決定しており、最小の施設のバラエティで最大の多様性が感じられるように工夫している。

 中央市の町並みがだんだん近づいて来て、高台の浄水場に着く。すでに建設された一戸建てもはっきり見えるようになっている。今回建設部分は15万m3/日の能力であるが、従来の方式であれば5ha程度の広さは必要であった。しかし、確保されている用地は4倍の能力になる将来を含めて5haである。

 これは、200年の長きに渡って殆ど進歩がなかった浄水技術の、近年の急速な発達によるものである。川から水を取水して浄水する場合には、古くから使われてきた方法は、まず水に懸濁または溶けている成分を沈殿でとり、ある程度綺麗にした水を砂によりろ過するという方法である。

 ろ過については数十年前から細かい穴の空いた膜を通すことも行われ始めたが、動力費が嵩むこともあってまだ少数派であった。それを大きく変えたのは、AE励起発電による電気料金のドラスチックな低減と重力エンジンの応用である。
 沈殿については、重力エンジンで沈殿池内の重力を大きくして、その沈殿効率を大幅に高める方法が実用化された。さらに、水中の懸濁物はプラスに荷電でしていて、お互いに反発しあうのでなかなか沈まないという問題があった。このために薬品を入れて荷電を打ち消していたのだ。

 しかし、後者についても電磁的な作用の理論の解明が進んだことから、対象の水中の懸濁物・溶解物を電磁的操作によってその電荷を中和する方法が開発された。これら2つの方法を組み合わせることで、薬品を使うことなく従来の1/5程度の容量の池で従来の水準以上の沈殿分離ができるようになった。

 また、ろ過についても魔力発現の処方が始まって人々の知力が増強された結果、すでにどんどん進んでいた膜の開発がスピードアップされて、色やウィルスを含めた物質をほぼ完全に取り去ることのできる膜が開発された。その必要な圧力が300kPa(3㎏f/c㎡)であり、従来であれば動力費が大問題であったが、AE発電のある現在では問題にならない。

 かくして、浄水処理部分は大幅にコンパクトになったのだが、浄化した水を貯留する水槽は同じ容量を要求するので、全体として今の大きさが決まっている。浄水場の自動ゲートを入り、車を降りて彼ら2人が向かったのは全ての処理施設が収まった処理棟である。

 その正面の屋外に着水井があるが、これは2200㎜の導水管により送られてくる水を受けて、過重力沈殿池に送る水槽であり円形で直径が10mある。しかし、これは単なる土木槽であるので、一緒に点検する対象ではない。処理棟のシャッターは開いており、ベリオール社のスタッフが点検をしている。

 ミモザは3人いるスタッフに声を掛けて、室内の処理槽への階段を昇る。後ろに続く山切はレディのお尻を見る形で、少し面はゆいが努めて冷静に続く。沈殿処理槽そのものはコンクリート製であり、1ブロックが10m四方に区切られてデッキが渡され、様々な装置が取り付けられている。

 全部で10ブロックありそれで15万m3/日の処理をするのだ。ろ過は直径5mのタンクと、それに水を押し込むポンプがずらりと並んでおり、その中にUF膜が充填されている。山切は、タブレットで図面と仕様書から設備をチェックして必要な員数はそろっていること、さらにそれぞれが外見上及び据え付け上の問題がないことを確認していく。しかし所詮は動かしてみないと正常であるかどうかは解らないのだが。

 これらの施設は、コンクリート槽及び基礎については無論現地で建設しているが、機器は全て地球から運んで現地で組み立てたものだ。ちなみに、こうした運搬は先述した貨物機によるが、日本を出発する場合には20時間程度で到着するので、従来の船便による輸送とコスト的にはむしろ低い。これは、輸送機の償却費は海を渡る船よりは高いが、乗員の拘束時間が大幅に短いことが寄与している。

 こうして、上水道の取水・浄水処理の施設をチェックした山切とミモザは、その日の予定を終えてそれぞれのオフィスに帰る。山切は今日の点検の結果を上下水班の班長の篠田英二に報告する。ちなみに上下水班の担当は上下水の処理場・ポンプ場と上水管きょ、下水管きょ係に分かれていて、担当する金額は上水道管きょが処理場・ポンプ場と同等、下水管きょがその3倍になっているので、下水管きょ係は2人が担当している。

「水道については、すでに取水は出来る状態ですし、導水管も水圧テストが終わっていますのでいつでも通水できます。処理場内の水槽類の水張りテストも終了して異常のないことは確認済です。
 さらに、処理棟内の機器の取り付けも殆ど終わっていますので、来週には水運転テストは出来ます。それが、1週間ですから、多少の手直しが必要としても1か月後には浄水を供給できるようになりますね」

 篠田は一通りの視察の後に口を開く。
「うん。機器の到着が遅れて気をもんだが大体工程に乗ったな。なかなかミモザちゃんも優秀だね。来月には移民団の第1陣が着き始めることになっている。まあ、最初の2ヶ月はここには週に千人だから、当面基地の浄水施設・下水施設でも賄えるからな。それで、明日点検する下水はどうなのかな?」

「ええ、下水は処理の槽類は50万人分出来ていますが、処理装置は浄水と違って、最初の取り付けは1/4ですから規模が小さいのであまり問題はないと思います」
 切山が答える。そのような確認のやり取りのあと、報告書をインプットして、オフィスの一同は宿舎に帰る。

 宿舎は、街中に作られている建物と同様のプレハブだが、過去様々な建設現場で使われていたほどちゃちではないものの、永久構造物として作られたものよりずっと簡易なもので、組み立ても容易である。
 部屋は個室ではあるが、幅4m長さ5m程度でベッドと机にクローゼットがあるのみの部屋で、バス・トイレは共用である。ただ、3千人が使う食堂は本格的で、様々な料理が安く提供されバーもある。また、この現場の周囲は自然が一杯であり、ビーチもあり釣りもできるので休みの時の周辺の散策先には不自由はない。

 部屋に帰って、共有の浴場でシャワーを手早く浴びた切山は食堂に行く。現在の季節は晩秋なので余り汗をかくこともないので、20人程度入れる大きな風呂桶に入るのは2日に1回になっている。
 ここ新地球の地軸は公転軸に対して20度弱傾いており地球と大差はなく、この中央市の位置は北緯35度程度でちょうど地球における日本の位置であるので、季節は割にはっきりしている。夏場では昼間の温度は30度を越えるが、湿度は低く過ごしやすい。冬は最低温度が0度を下回ることもあり雪も降る。

c過去2年間の降雨量は、1000㎜弱だからすこし乾いており、大森林は降雨量の多い300km以上離れた標高も高いところにしか広がっていない。中央市周辺には当然農地を確保するべく、農業関係の調査が行われているが、容易に開発できる適地は広大であり土地も肥えているらしい。

 ただ、春先が3ヶ月ほど続く乾季になっているために、この時期の灌漑が必要である。幸い中央大陸の地形は南北に細い陸塊の中央に最高峰で1万mを越える山脈が存在してそこから、東西に緩やかに下っている地形である。中央山脈の平均降雨量は3000㎜を越えるので、そこから多くの川筋が東西に流れだしている。

 さらには各地に多くの湖があって、いずれも周辺の山林と合わせて美しい景観が形成されている。この地形は灌漑にはもってこいであり、これらの湖または川から水を引いて水路を巡らせば、立派な農場の出来上がりである。この圃場整備と灌漑工事は別のコントラクターが着手している。

 ちなみに、こうした工事には当然電力が必要であり、出来上がる街にも必要である。すでに地球上での電力需要は大部分AE励起発電によっている現在、そのコスト、優れたメンテナンス性から新地球も当然同じ方式になる。
 新地球の開発のために、AE励起発電所が完成するまでの半年間、AE発電機を積んだ母艦“むつ”が、中央市に着陸して各開発現場のAEバッテリーの供給に当たった。現在では、中央市と大陸の反対側の北西湾に面した青海市に発電所が建設されており、他の建設現場のバッテリーの供給に当たっている。

 コストは非常に低い点うえに、いわゆる燃料補給の必要が殆どないAE発電機のある意味での欠点は、小規模化できないことである。最少が100万kWなので、現状では100万kWの出力で固定されて、様々なタイプが作られている。AE励起発電のいわゆる“燃料”に当たるのは銅シリンダーであり、励起によりそのシリンダーが電力を吐き出すことのできる状態になるのだ。

 その代わりに銅のごく微量がエネルギーに代わる。このため、シリンダーは少しずつ“空洞”ができる状態になっていく。だから、大体3月毎にシリンダーは交換する必要があるが、そのシリンダーは再度工場に運び込んで溶解して再生できる。だから、いわゆる燃料費は極めて低い。この銅シリンダーの製造、再生は現状のところ新地球ではできず地球への往復を繰り返している。

 電力は送電を考えると1ヶ所に大きな規模の発電所があっても、送電網にコストがかかるのでメリットはないのだ。だから発電量が100万kWと決まってしまえば、それに合わせて配電を考えればよいので、計画は容易である。
このような発電所であるが、発電機そのものの大きさは原発などに比べれば極めてコンパクトであって、大体20m×20m×高さ10mである。しかし、無論変電・送電の設備が必要なので敷地は1ha程度になる。

 さらに、AEバッテリーへの充電設備を付加すると、バッテリーも最近は様々な容量のものがあることもあって、その工程のみで発電機位の倍くらいの大きさが必要になる。さらにバッテリーの搬入・搬出の車両の出入りが必要なので、この場合は発電のみの場合の1.5倍程度の用地が必要である。

 しかしながら、100万kWの発電所が1haで熱も騒音もほとんど出さないものであるため、それこそ都市の中心に設置しても支障はない。実際に中央市では中心部に発電所を1ヵ所作る予定にしていて、その1基で人口100万人都市の電力は賄える予定になっている。

 ちなみに、都市のエネルギー使用は基本的にすべて電気によることになっている。発電側がAE励起による極めてクリーンなものであり、照明・動力・熱源として電気利用のものは石油・ガスなどを使用する場合に比べ使用側でも極めてクリーンである。

 新地球政府は、地球での経験を踏まえ、新地球をクリーンに保つことを大きなポリシーに掲げており、その出発点が人々の生活をクリーンに行うということになる。さらに、後述するように水についても、使った水は全て可能な限り処理をして、現在ある清浄な新地球の水環境を汚染しないようすることにしている。

 さて、このように発電所が止むをえず規模が大きい点を補うのがAEバッテリーである。これは、当初は車両などのモーターさらに重力エンジンの電源として、中小容量のものとして設計されてきたが、近年においては、電力の負荷変動を無くすために工場などで大容量のものが作られるようになってきた。

 新地球において、2基の発電機で10カ所の都市開発現場の需要を賄えているのがその成果である。つまり、発電機のない各開発基地では容量10万kW時のAEバッテリーがから基地の電力を供給している。むろん、車両・重機・ロボット類はそれぞれのバッテリーを交換しながら稼働している。

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