帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人

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第8章 海外へ広がる『処方』

8.6 タイ国の高度成長政策

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 千葉大、稲田准教授は火曜日、午前10時に始まる講演に備えて、バンコクの国際会議場の会場で最後の準備をしていた。前々日の日曜日の午後、バンコクのスワンナプーム国際空港についた稲田と助手の中本は、招請した本人であるミナール王子とさつきに迎えられた。

 すごい人だかりであるが、これは稲田たちを迎えに来たわけでなく、ミナールとさつきを見ようとしてのもので、テレビカメラも入っている。人々の視線は、ミナール王子と婚約者と発表されたさつきに釘付けである。そこには、日本大使館、JICAからも迎えに来ている他、ミナール王子と旧知のタマサート大学、リュームル経済学准教授も王子の横で待っていた。

 講演の予定は当然すでに稲田には伝わっているが、会場は寸前で変更されている。当初は、100人ほど入れる、産業・経済省の会議室の予定が、講演とその内容がマスコミに報じられた結果、出席者がどんどん増えて急きょ千人以上が入れる、国際会議場の大会議室になったのだ。

 予約不要としたので、それでも入り切れるかどうか不安視されている。これは、一つはミナール王子が自ら聴講を呼びかけたことが大きな理由である。さらに、若手ながら近代経済学の第一人者と認められつつある、リュームル准教授が稲田のモデルを絶賛して、その講演がタイの経済を急成長に乗せるきっかけになる可能性が高いと述べたことがある。

 その夕刻は、ごく内輪にということで、ミナール王子には遠慮してもらって、さつきと大使館の香川公使にJICAの日向所長が、稲田と中本との夕食に同席した。メインディシュが終わった時に、ワインをちびちび飲みながら、香川が本題に入る。

「いま、こちらでは大変な騒ぎです。この数年は、タイの経済は、一つには日本の製造業が日本回帰をしてきたこともあって思わしくなく、GDPは殆ど横ばいです。そのこともあって、日本への好感情もやや落ちてきたのですが、今回のさつきさんたちの魔法の処方のミッションで、自分たちが魔法を使えるようになるという、その期待で持ち直したところでした」
 そこに、ミナール王子の今回の稲田先生の講演の告知と、一緒に自らさつきさんと結婚すると言ってしまいましたから、さあ大変です」

 40代半ばの白髪が混じる公使は、ひょうきんに目を回して見せる。
「ミナール殿下の国内の人気たるや、我々日本人には想像もつかないでしょうね。正直に言って、王室への国民の愛情は、殿下のお陰であるという者もいるくらいです。しかも、稲田先生を紹介したのはさつきさんということで、尚更講演には注目が集まっています。

 それに、稲田先生の講演の内容については、経済についてタイで最も注目されている、リュームル准教授がお墨付きを出しましたのでね。多分、国会議員は大部分、経済官僚は全て出席すると思いますよ。多分、全員は入りきれないので、テレビが実況中継をしますので、国際会議場のいくつかの部屋と、外にも講演の様子を見ることができるように、スクリーンとスピーカーを置いています。
 だから、会場に入りきれなかった人はそちらを見るでしょう。私も、急きょ先生の論文を入手して読ませて頂きました。また、本庁からも、今後先生を中心にプロジェクトチームを作って、世界に広げていく方針ということは伺いました。それで、先生のモデルを使った場合に、タイ王国の場合の具体的な適用はどのようになるのでしょうか?」

 公使の言葉に、稲田は数秒の沈黙の後に答える。
「私の理論は、途上国の経済をできるだけ早く高度成長をさせるため、という意味合いが強いのです。これは、国民、地勢、技術レベル、産業、経済を構成因子としてモデル化して、その中に様々な因子を導入した場合に、失業率、税収、GDP、金利、為替相場などが、どのような挙動するかを算出するものです。
 この場合の目標はGDPの成長ですが、動かせる因子としては、さまざまな分野への国の投資や融資制度、法律により様々なインセンティブや規制、民間への様々な国からのガイドライン、さらに海外からの援助などです。

 結局、高度成長のためには、日本の場合と同様に、公共インフラもそうですが、個人の家などを含めた持ち物を豊かにすることによる、莫大な需要を喚起するしかないのです。日本の場合には、輸出が割合としては大きくはなかったのですが、重要な因子ではありました、しかし、タイもそうですが、今の途上国には難しいでしょうね。
 単純に言えば、少なくとも1千万戸はある個人の家屋をそれなりにするだけで、莫大な需要がありますし、その場合、家具や電化製品などもついてきます。むろん、そのためにはとりわけ地方部のインフラの改善が不可欠です。その需要に対しては、何としても国内で賄える工業生産力が必要ですし、それと家などの建設に伴う莫大な建設労働力が必要です。

 これらに伴って労働需要が多く生み出されますから、低賃金労動力を吸収し、経済効率としては低い農村の米作を効率化して、労働力を抽出すればよいのです。ただ、サイクルが回り始めるまでの原資は、結局は借金になりますから、そのトータルは莫大なものになります。
 ただ、過去において、たとえば日本の高度成長期の政策は、基本的に手さぐりにやったものが、結果的にうまくいったというものです。それが、私のモデルがあれば、どの分野にどのくらいの投資でどういう効果が出る、さらにはその場合に、あるスキルを持った人材が、どの程度の数が必要かなどをある程度の確度で算出できます。つまり、その効果を正確に見積もったうえで、政策を決めることができます」

 公使はうなって、さらに聞く。
「ふーむ、論文を読んである程度は理解したつもりでしたが、そう聞くと尚更このモデルは素晴らしいものですね。それで、タイ王国の場合には、そのモデルはどのくらいの期間で組みあがるのでしょうか?」

「一応、日本でわかる限りのデータと、解らないものは想定で入力して一応タイ国としてもモデルは組んでいます。明後日のプレゼンではそれを動かして見せますので、それなりに説得力があるでしょう。また、すでに形はできていますから、こちらで各分野の専門家に集まってもらって、入力したデータを入れかえればモデルは完成します。
 ですから、1ヵ月もあればそれなりのものになります」

 稲田が答えると、公使が目を輝かせて感嘆する。
「何と、すでに一応のモデルは出来ていてプレゼンで動かせると。しかも1ヵ月でモデルが組みあがる!」
 さらに、JICAの日向所長が聞く。

「うーん、それは素晴らしい。それで、初期の資金需要はどのくらいか試算されましたか?」
「ええ、一応走らせるのに海外からの公的な低利融資と、タイ国の銀行へのやはり海外からの融資をインプットしました。大体、最初の5年で公的融資は5兆5千億円程度、民間の融資は12兆円程度になります。この海外というのは、少なくとも民間は、今のところ日本からしか、その低い金利からして考えられません。さらに、相当な数の工場の立ち上げ、建設に関しての人々へ教育をする人材が、トータルで5万人ほど必要ですね」

 稲田の答えに、公使とJICA所長はうなり、公使がやがて聞く。
「うーん、5兆5千億と12兆円ですか。それと5万人の人材!それで、どの程度の成長が見込まれますか?」
 公使が聞く。
「最初の1年は4%程度ですが、その後は大体8%の成長が起き、適度の政策を打つことで10年以上は続きますね」

 香川公使と日向所長は顔を見合わせて、香川が思わず言う。「10年間の8%成長、それでしたら、融資の返済は問題ないですね」
 さらに日向が言う。
「人材も、日本では、比較的高齢者について、処方を受ける見返りとして、リタイヤしていた人が実務に戻る動きがあるのです。5万人くらいのスキルを持った人材は、日本から楽々募集できますよ」

「しかし、これがタイだけではないからね。とはいえ、タイで成功例を作らなくては次に進めない。稲田先生、ここタイ王国での成功は非常に重要なのです。何卒よろしくお願いします」
 公使が言って、稲田を向いて頭を下げる。
「ええ、僕もここでの実施は大変重要であることは承知しています。しかし、今日の出迎えでわかったけれど、ミナール殿下の人気は凄いですね。殿下のバックアップがあれば、本当に有利だと思います。その点は心強いですよ」
 稲田はすこし緊張した顔で答えるが、さつきの方を向いて続けて言う。

「ところで二宮君、ここタイ国の面積は51万k㎡以上で日本の1.4倍弱だ。資源探査をすればそれなりに貴重な資源が見つかると思う。その場合、高度成長の大きな助けになるのだけど、兄さんのハヤトさんに早めの探査を頼めないかな?」
 さつきは、最初に稲田を見て、それから出席者を見渡して答える。

「ええ、私もそう思いまして、先週兄さんにメールを打ちました。ミナール殿下の事も含めてね。ご存知だと思いますが、いま兄さんはアフリカのモザンビークなどの資源の詳細探索をしていますが。次の予定は、ロシアに決まりかけていたのですが、タイを先にしてくれるそうです」

 さつきは顔を赤らめて言う。
『私とミナール殿下の結納代わりだそうです』という言葉は胸の中でだけ呟いた。その会食は間もなく終わり、稲田と中本はさつきと同じホテルに帰った。


     ー*-*-*-*-*-*-  


 翌日は、午前中は稲田と中本は、リュームル准教授の手配してくれた院生や学生と共に会場になる国際会議場に行って、翌日の準備である。
 さつきは、今日も処方を続けているのでタマサート大学に向かうべく、ホテルの玄関を出ようとしていた。これは、先頭の長身の護衛の男性に続いて脇と固める現地人の2名に、背後で全体を統括している日本からの護衛木島とグループを作っての行動である。

 現地人の護衛は、日本大使館から依頼され、タイ警察から派遣された腕利きということであるが、皆英語も出来て木島の指図に従っている。さつきは、玄関から一歩踏み出して、庇の下で立ち止まり叫ぶ。
「待って、ストップ!」
 一行はぴたりと止まり、皆さつきを見ている。

 さつきは、庇に隠れてまだ見えない、100mほど離れた正面の高層ビルの屋上を探査で探っている。彼女は、まずフロントの一人から、彼女へ異常な意識を向けられるのを感じたため、全方向に感覚探知を放ち、その方向から殺気を感じたのだ。感じた殺気は正しく、15階のビルの屋上の手すりに、ライフルを載せて構えているスナイパーがいる。そのまま彼女が進んだ場合には、その位置から彼女が見えた途端に撃つ構えだ。

 さつきは迷った。弾倉の弾を爆裂させることは可能だし、あの男の脳へ繋がる血管を縊ることも可能だ。その場合は、男は脳梗塞ということになるであろう。しかし、彼女はそうやって男を障碍者にするようなことをしたくはないし、できると知られたくなない。しかし、逃がすのは問題で、また同じように狙われるだろう。彼女は、他の護衛も解るように木島に英語で話しかけた。

「木島さん、100mほど先の正面のビルの屋上にスナイパーです。今から、ライフルの銃弾を破裂させますので、彼は狙撃銃を使えないようになるので逃げるでしょう。でも、どこに逃げても、彼は私が追えます。落ち着いた場所を教えますので捕まえてください」

 タイ警察の責任者を見ると、彼は唖然としながらも頷く。
「では、弾を爆発させます」
 さつきは言って、弾倉に入っている3発の銃弾の最下部の薬きょうの火薬を発火させる。スナイパーは、買収しているフロントからの連絡で、さつきと護衛が、庇から見えるのを待っていた。しかし、先頭の護衛の足が見え、彼が待ち構えた時、足は止まってしまった。

『なぜだ!』彼は戸惑ったが、国でも一番と言われる、暗殺者の彼の構えたライフルは微動もしない。さらに、時間が過ぎるが彼には待つしか選択肢はない。バン!バン!バン! 突然、彼のライフルの弾倉がはじけ、ライフルが彼の手から横に弾き飛ばされる。銃の弾倉の部分が裂けている。

『魔法だ!あの娘の魔法だ』銃は、弾倉部が大きく割れて、引き金の部分が歪んでもう使い物にならない。暗殺者は、弾き飛ばされてしびれる手を我慢して、あらかじめ用意していた脱出路を駆け出す。彼は、逃げ道のないエレベーターは避けて、非常階段を無理のないペースで駆け下り、地下の駐車場に止めた車に乗り込み、自分の隠れ家に向かう。

 その頃、ホテルのフロントでさつきは、タイ警察の一人に頼んで一人の若い男の受付の者を問いつめさせていた。彼、バンコク警察、ミタラール警部補は、その男をフロントから外に出させ、スマホを取り上げる。それから、操作をして直前にかけていた番号を画面に出して、若い受付に示し問い詰める。
「お前は、この番号の誰に電話をしていた?」

「だ、誰にも、と、友達だ」
 男はうろたえながらも虚勢を張って言う。そこに、白髪交じりのホテルの制服を着た男が、慌てた様子で近寄ってミタラールに聞く。
「あ、あのこの者がなにかしたのでしょうか?私はこのフロワーの責任者ですが」

「ああ、この男は、このさつきさんがホテルを出るのを狙撃者に知らせていたようだ。ほら、8分前に電話をしている。他の受付の者に、彼のその時間の挙動を聞いてほしい」
 結局、その受付は、同僚にもこそこそして行動を見られていたため、指定された番号にさつきが玄関を出ようとしていることを伝えたことを白状した。しかし、『狙撃をするなどとは思わなかった、恋する彼女に花を渡すためと、金をもらって頼まれた』と言っているが本当かも知れない。

 そういうやり取りをしているときに、ミタラール警部補から連絡を受けて出動した警官がライフルを回収して、ホテルのロビーに持ってきた。その壊れたライフルを見て、タイ警察の者達は改めて半信半疑であったさつきの言うことが正しかったのを確認した。さつきも、会場で処方をする要人を待たせるわけにはいかないので、早々にホテルを発ってタマサート大学に向かう。
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