Dreamin'

赤松帝

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24.歌音と巧

歌音と巧

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「何ですって!?」

「死んだのは他ならぬ俺の兄貴なんだよ。」

「お兄さんが・・・」

「俺は此処にいて目の前で見失った兄貴の響を助けられなかった。」

「巧・・・自分を責めているのね。」
歌音も思わず本名で呼び掛けた。

「これもさっき言ったよな?」

「何を?」

「七人ミサキに遭った人間は高熱に見舞われ、死んでしまう。1人を取り殺すと七人ミサキの内の霊の1人が成仏し、替わって取り殺された者が七人ミサキの内の1人となる。そのために七人ミサキの人数は常に7人組で、増減することはない。」
先程と違い真剣味のある表情で繰り返したので、歌音にはより真実味も増している様に感じられた。

「ええ憶えてるわ。」

「兄貴は七人みさきに取り込まれてしまったんだ。」

「まさかそんな・・・」
歌音は息を飲んだ。

「ライディングしていた兄貴がひと際大きな波に挑んだあの時、突然波の中に飲み込まれて忽然と消えてしまった。」

「溺れたの?」

「そう思った。それから慌ててライフセーバーや警察を呼んで、何日間か捜索は続けられたけど、遺体は上がらず終いでね。離岸流によって沖まで流されてしまったんだろうって結論が出て、ついに捜索も打ち切られてしまった。・・・結局、戻ってきたのは兄貴のそのボードだけだった。」
巧は持ってきていた傍のボードを顎で差した。

「そう・・・お気の毒に。」
歌音は深く同情を寄せた。

「親を含めて家族はまだ諦めきれなかった様だけど、俺だけはもうダメだって気づいていた。」

「・・・例のビデオカメラね?」
歌音にもようやく察しがついた。




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