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19.真夏と悟
真夏と悟
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「ねェ何なの?」
真夏も異様な空気を感じ取り、恐ろしさで一歩も動けなくなって、遠めから声を掛けた。
しかし、聞こえないのか悟は一点を凝視したまま、完全に固まっている。
「コトーン」
「悟ゥ~大丈夫?」
こみあげて来る恐怖のプレッシャーで、真夏は涙がこらえ切れなくなってきた。
「コトーン」
不気味な音だけが絶え間なく響き渡る。
悟の目の前の壁の穴は大人の頭の大きさ程に拡がっている。
「悟ったらどうしちゃったのォ?」
真夏はもはや泣きべそをかいていた。
「子供・・・」
ようやく放心状態の悟が絞り出す様に一言だけ発した。
「え?」
「パ・・・パァ・・・」
壁の穴から幼い男の子の声が漏れ聞こえた。
「悟戻って来て!」
真夏は泣き声で訴えた。
「パァーパァ・・・パーパァ。」
「やだもう悟、早くゥ!!」
だが、悟にはもう真夏の声は聞こえていない様だった。
「パパァ・・・パパ、パパ。」
「ゴメン。許してくれ。」悟は声の主に謝り始めた。
「一体何言ってるの?」
「俺が・・・パパが悪かった。」
「悟っ、ワケ分かんないってば。」
真夏は半狂乱で叫んだ。
悟がゆっくり振り向いて、再び何か言おうとした瞬間、
「パパっ!!」
男の子の上半身が壁の穴から抜け出て来て、その小さな手で悟の頭を引っ掴むと、凄まじい力で穴の中へと引きずり込んだ。
真夏も異様な空気を感じ取り、恐ろしさで一歩も動けなくなって、遠めから声を掛けた。
しかし、聞こえないのか悟は一点を凝視したまま、完全に固まっている。
「コトーン」
「悟ゥ~大丈夫?」
こみあげて来る恐怖のプレッシャーで、真夏は涙がこらえ切れなくなってきた。
「コトーン」
不気味な音だけが絶え間なく響き渡る。
悟の目の前の壁の穴は大人の頭の大きさ程に拡がっている。
「悟ったらどうしちゃったのォ?」
真夏はもはや泣きべそをかいていた。
「子供・・・」
ようやく放心状態の悟が絞り出す様に一言だけ発した。
「え?」
「パ・・・パァ・・・」
壁の穴から幼い男の子の声が漏れ聞こえた。
「悟戻って来て!」
真夏は泣き声で訴えた。
「パァーパァ・・・パーパァ。」
「やだもう悟、早くゥ!!」
だが、悟にはもう真夏の声は聞こえていない様だった。
「パパァ・・・パパ、パパ。」
「ゴメン。許してくれ。」悟は声の主に謝り始めた。
「一体何言ってるの?」
「俺が・・・パパが悪かった。」
「悟っ、ワケ分かんないってば。」
真夏は半狂乱で叫んだ。
悟がゆっくり振り向いて、再び何か言おうとした瞬間、
「パパっ!!」
男の子の上半身が壁の穴から抜け出て来て、その小さな手で悟の頭を引っ掴むと、凄まじい力で穴の中へと引きずり込んだ。
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