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19.真夏と悟
真夏と悟
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カリカリカリカリカリカリカリカリ・・・
「ネェいま何か聞こえなかった?」
海野真夏(19)は、ボーイフレンドの香田悟(21)の方を振り返って尋ねた。
「あぁ最近鼠が棲みついたみたいでさ、やたらうるせーんだ。」
「エェーやだッ!?最低じゃん!!」
「ホントな。」
悟は顔だけしかめて、興味無さそうに手の中のPSPに視線を戻した。
カリカリカリカリカリカリカリカリ・・・
「あのさ、ウチ実家で犬飼ってるじゃない?」
悟の興味を引き戻そうと真夏は話を続けた。
「そうだっけ?」
「そうだよ。前言ったじゃん!」
「そっか悪りぃ。」
「相変わらず人の話聴いてないね。ま、いいけど。でね、ウチの犬、お腹空いてご飯食べたくなると、あんな風にリビングのガラスを引っ掻いておねだりするの。」
「へぇ~。」
「何かもらえるまでずっとだよ。」
「食い意地張ってるな。きっと飼い主に似たんだな。」
「うるさい!でさ、その内寂しくなるとガラスを引っ掻く様になっちゃったの。多分あの鼠も悟に構って欲しいんだよ。わたしと一緒。」
真夏は熱く訴えた。
「ウチのアパートはペットお断わりなんだ。」
だが、悟はそっけなく返した。
「ふーんだ。こんな風に食べかすとか残してると、いつかそうなっちゃうんだから。」半分食べ残しのドーナツを机から拾うと、真夏は放り投げた。
綺麗な放物線を描いて、ドーナツは屑籠に吸い込まれて消えた。
とほぼ同時に玄関の呼びブザーが鳴り響いた。
「ナイッシュー」
真夏は歓声を上げた。
「残念。タイムアップだ。」
ゲームに夢中の悟がようやく、顔を上げた。
「同時セーフだよ。ブザービーターだもん。」
真夏は抗議した。
「あそ。」
悟は再び俯いた。
「ちょっとぉ玄関出ないの?」
真夏が怪訝そうに声を掛けた。
「めんどくせーからほっとけって。俺はゲームに集中したいんだよ。邪魔しないでくれる?」
悟はゲーム画面から顔を離さず応じた。
「あー怪しい!女でしょ?いいもんあたし出る。ハーイ!」
真夏はわざと甲高い声を張り上げた。
「分かった分かったハイハイ。キミもう帰ったら?」
ようやく悟は重たい腰を上げた。
再び鳴り響いたブザーに返事をする代わりに、ドカドカと乱暴に足音を立ててキッチンを横切り、玄関ドアを開いた。
外には見知らぬ男が二人立っていた。
「ネェいま何か聞こえなかった?」
海野真夏(19)は、ボーイフレンドの香田悟(21)の方を振り返って尋ねた。
「あぁ最近鼠が棲みついたみたいでさ、やたらうるせーんだ。」
「エェーやだッ!?最低じゃん!!」
「ホントな。」
悟は顔だけしかめて、興味無さそうに手の中のPSPに視線を戻した。
カリカリカリカリカリカリカリカリ・・・
「あのさ、ウチ実家で犬飼ってるじゃない?」
悟の興味を引き戻そうと真夏は話を続けた。
「そうだっけ?」
「そうだよ。前言ったじゃん!」
「そっか悪りぃ。」
「相変わらず人の話聴いてないね。ま、いいけど。でね、ウチの犬、お腹空いてご飯食べたくなると、あんな風にリビングのガラスを引っ掻いておねだりするの。」
「へぇ~。」
「何かもらえるまでずっとだよ。」
「食い意地張ってるな。きっと飼い主に似たんだな。」
「うるさい!でさ、その内寂しくなるとガラスを引っ掻く様になっちゃったの。多分あの鼠も悟に構って欲しいんだよ。わたしと一緒。」
真夏は熱く訴えた。
「ウチのアパートはペットお断わりなんだ。」
だが、悟はそっけなく返した。
「ふーんだ。こんな風に食べかすとか残してると、いつかそうなっちゃうんだから。」半分食べ残しのドーナツを机から拾うと、真夏は放り投げた。
綺麗な放物線を描いて、ドーナツは屑籠に吸い込まれて消えた。
とほぼ同時に玄関の呼びブザーが鳴り響いた。
「ナイッシュー」
真夏は歓声を上げた。
「残念。タイムアップだ。」
ゲームに夢中の悟がようやく、顔を上げた。
「同時セーフだよ。ブザービーターだもん。」
真夏は抗議した。
「あそ。」
悟は再び俯いた。
「ちょっとぉ玄関出ないの?」
真夏が怪訝そうに声を掛けた。
「めんどくせーからほっとけって。俺はゲームに集中したいんだよ。邪魔しないでくれる?」
悟はゲーム画面から顔を離さず応じた。
「あー怪しい!女でしょ?いいもんあたし出る。ハーイ!」
真夏はわざと甲高い声を張り上げた。
「分かった分かったハイハイ。キミもう帰ったら?」
ようやく悟は重たい腰を上げた。
再び鳴り響いたブザーに返事をする代わりに、ドカドカと乱暴に足音を立ててキッチンを横切り、玄関ドアを開いた。
外には見知らぬ男が二人立っていた。
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