Dreamin'

赤松帝

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18.志信と信次

志信と信次

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しばらくして志信は再び目を覚ました。
ベッドの上で、天井を見つめていた。
あれ?おかしいな。
つい先刻起き出して、朝食を取ろうとした矢先だったはずなのに。
あれからどれくらい時間が経ったのだろう。
もしかしたら自分は寝ぼけていたのか?
そういえば、朝、学校へ行く支度をせっせとしている夢を見ていて、母親に叩き起こされる事がたまにある。
今回もそういう夢を見ていたのだろうか。

ぼーっとした目をこすりながら、ベッドから立とうと地に足を付けようとした所、あるべきはずの地面がなかった。
大地を失くした志信はバランスを失ったまま、真下へと転げ落ちた。

「痛てーっ!!なんだよチクショウ!?」

何事が起ったのか全く分からなかったが、とにかく眠気は一気に覚めた。
部屋を見渡すと、いつもより部屋が一回り狭く、押し迫っている様に感じる。
でも見知らぬ部屋という訳ではなく、どこか見覚えがある。
インテリアも自分の趣味とは異なり、なんというか子供っぽい。
子供の勉強机が仲良く二つ並んでいる。
そして、先ほどまで眠っていた場所には子供用の二段ベッドが置かれていて、志信は上の段から転げ落ちたみたいだった。
ようやくおぼろげながら記憶が甦ってきた。
ここは、幼い頃、夏の間だけ避暑に泊まりに来ていた海辺の別荘の兄弟の二人部屋だった。
一体何が起こったのだ?
気が動転して訳が分からなかった。
ふと自分の体を見回してみる。
部屋と同じように志信の体も一回りどころか二回りも小さくなっている。
驚いて、二段ベッドの梯子を掛け上ってみる。
枕もとにデジタル表示の時計が置かれている。
小学生になった時に、かっこいいとせがんで買ってもらった時計だ。
しかし、中学に入った頃に壊れてしまい、今のアナログ時計を買い直した筈だった。

数字はまたAM7:20を表示していた。
慌てて、志信は頭を逆さにしてベッドの下段を覗きこんでみた。
下では弟の信次が気持ちよさそうに眠っている。
しかし驚いたことに、すぅすぅと寝息を吐くその姿は、小学生当時の信次の姿だった。


高校に入ってはじめての夏休み、志信はどうやら小学生の頃にタイムリープしてしまっていた。






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