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13.充彦
充彦
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そんなどうでもよい事を考えていると、ギシギシと擦れ合う様な音が聞こえてきた。
これを以前どこかで聞いた記憶がある。
あれはどこだったろう?
頭の中の記憶を辿っていると、突然、過去の映像が思い浮かんだ。
あれは確か数年前テレビで観た、南米パタゴニアだかの紀行番組で、南極に近いカラファテという町の付近にある大氷河の風景を映し出していた。
河を挟んだ向こう岸の切り立った氷の壁一面が、ギシギシギシギシと音を発していた。
その当時の映像が脳裏に思い浮かんだ瞬間、同時にどうにも嫌な感じが頭をよぎった。
これはあの時聞いた音に違いない。
しかし、もやもやとくすぶり残って離れないこの嫌な感覚は一体何だろうか?
脳内で再生された記憶映像をさらに先へと進めてみる。
ギシギシギシギシギシギシギシギシギシ
押し潰し合いながら軋む氷の壁。
と、突如巨大な氷の塊が大きな音を立て、水飛沫を飛び散らせながら、河へ崩落していく。
そうか!嫌な予感の正体はこれだったのか!!
充彦がようやく気付いたその時、待っていたとばかりに空を覆い尽くしている氷の天井が砕け散り、大音響と共に巨大な硝子の様な氷の破片が頭上から崩れ落ち始めた。
あぁこれが世界の終わりか・・・恐ろしい獣の咆哮みたいだな。
鼓膜をつんざく轟音に襲われながら、最期の一瞬の刻の中で、充彦は頭の片隅でふと悟った。
これを以前どこかで聞いた記憶がある。
あれはどこだったろう?
頭の中の記憶を辿っていると、突然、過去の映像が思い浮かんだ。
あれは確か数年前テレビで観た、南米パタゴニアだかの紀行番組で、南極に近いカラファテという町の付近にある大氷河の風景を映し出していた。
河を挟んだ向こう岸の切り立った氷の壁一面が、ギシギシギシギシと音を発していた。
その当時の映像が脳裏に思い浮かんだ瞬間、同時にどうにも嫌な感じが頭をよぎった。
これはあの時聞いた音に違いない。
しかし、もやもやとくすぶり残って離れないこの嫌な感覚は一体何だろうか?
脳内で再生された記憶映像をさらに先へと進めてみる。
ギシギシギシギシギシギシギシギシギシ
押し潰し合いながら軋む氷の壁。
と、突如巨大な氷の塊が大きな音を立て、水飛沫を飛び散らせながら、河へ崩落していく。
そうか!嫌な予感の正体はこれだったのか!!
充彦がようやく気付いたその時、待っていたとばかりに空を覆い尽くしている氷の天井が砕け散り、大音響と共に巨大な硝子の様な氷の破片が頭上から崩れ落ち始めた。
あぁこれが世界の終わりか・・・恐ろしい獣の咆哮みたいだな。
鼓膜をつんざく轟音に襲われながら、最期の一瞬の刻の中で、充彦は頭の片隅でふと悟った。
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