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6.裕
裕
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「やっぱ人じゃねーか!?」
洋志が素っ頓狂な声を上げた。
「ブランデーだ。」
裕は言った。
「何?」
「気つけ薬代わりだよ。彼女は人形じゃなく人間だ。気を失ってたんだよ。」
「フーンやっぱりな。俺は最初からそうだと思ってたよ。」
洋志が強がりを言う。
画面からトクトクと心地いい音が響いた。
ロックグラスにブランデーを注いでいる音だ。
カラカラとマドラーで掻き混ぜ始めた。
ここで酒を飲むのか?
裕にはどうにもそれが異常に思え、男に対して不気味さを感じた。
目を覚ましたばかりの少女もまた同じくそう感じた様である。
「ンーンーヴー!」
暴れながら不条理へのささやかな抵抗を試みるも口にはめられたマウスボールが遮った。
ギシギシ、ギィー、ギィーギィ。
代わりに安楽椅子が同時に賑やかしく揺れ動く。
「クックックッ…」
押し殺した嬉しそうな含み笑いが聞こえた。
「コイツ、イカレてやがるぜ。」
「うん。かなりヤバイ。」
裕と洋志は顔を見合わせ、戦慄を覚えた。
洋志が素っ頓狂な声を上げた。
「ブランデーだ。」
裕は言った。
「何?」
「気つけ薬代わりだよ。彼女は人形じゃなく人間だ。気を失ってたんだよ。」
「フーンやっぱりな。俺は最初からそうだと思ってたよ。」
洋志が強がりを言う。
画面からトクトクと心地いい音が響いた。
ロックグラスにブランデーを注いでいる音だ。
カラカラとマドラーで掻き混ぜ始めた。
ここで酒を飲むのか?
裕にはどうにもそれが異常に思え、男に対して不気味さを感じた。
目を覚ましたばかりの少女もまた同じくそう感じた様である。
「ンーンーヴー!」
暴れながら不条理へのささやかな抵抗を試みるも口にはめられたマウスボールが遮った。
ギシギシ、ギィー、ギィーギィ。
代わりに安楽椅子が同時に賑やかしく揺れ動く。
「クックックッ…」
押し殺した嬉しそうな含み笑いが聞こえた。
「コイツ、イカレてやがるぜ。」
「うん。かなりヤバイ。」
裕と洋志は顔を見合わせ、戦慄を覚えた。
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