Dreamin'

４５．歌音と巧

歌音と巧

「絶対嫌！ダメ！お断り！却下する！」
いつもの大学の学食で、加々見歌音は厳しい口調でそう断言した。
周囲の学生たちもやれやれまたやってるといった表情で傍観している。

「なんで海はNGで、山ならOKなんだよ！？おまえはアラサーに突入したグラビアアイドルか？」
映像サークルの監督兼撮影カメラマンの小辻巧が憤慨して反論する。

「そんなの決まってんでしょ！海じゃあんたのあにきが加入してる七人みさきとやらが、あたしを取り込もうと手ぐすね引いてるんでしょ！？山奥までは七人みさきも追い掛けて来られないでしょうからね。」

「加入ってひでぇなぁ。それじゃ兄貴も浮かばれねぇよ。」

「アンタにゃ悪いけど、あたしは自らすすんで妖怪グループにメンバー入りするつもりなんかさらさら無いんだからね。」

「ちぇっ冷てえよなぁ。妖怪はブームなんだぜ。」

「冗談じゃないわ。何か他の方法を考えて頂戴！」
ピシャリと歌音は言い放った。

「ハイハイ判った判った、判りました。」

「ハイも判ったも一回言ってもらえれば結構です。」

「うちの教授みてえだな。あーそれでさ、その山の中でやるサバゲーだっけ？それって画になるのか？」
巧がさりげなく話題を変えた。