Dreamin'

３９．栞と紬

栞と紬

「パワースポットか・・・」
ノートに描かれていた紋章の意味は、まだよく解らなかったが、どこか神聖な意図が感じられた。
それは、この事件全体がまとっている不思議な感覚にも通じる事であった。
今回の森宮碧の描いた紋章に限らず、様々な事が謎に包まれている様で、全容が見えない。
まるでよく夢で視る霧の中を彷徨っているみたいだった。



“牛と鹿の導きに従え”



夢と云えば、いつか母が視たという夢の中で、亡き父から私に伝える様に言いつかったという言葉が急に思い出された。

あれは一体どういう意味なのだろう？

母のいう夢の中の出来事だけに、話半分で聞いておく必要があるものの、栞はどこか気に掛かっていた。
生前名刑事といわれた父なら、果たして今回の謎も解けていただろうか？
栞は思いを巡らせながら、横須賀への帰路を急いだ。