Dreamin'

赤松帝

文字の大きさ
上 下
196 / 248
38.栞と棗

栞と棗

しおりを挟む
「一体どういうことでしょうか?」

「知らん。」

「知らん、て。」
栞は苦笑した。

「おなごの靴のブランドも、腕時計も、おまえさんの分担やろ。」

「そっちの方は任せてください。友人の連絡先も確認済みです。それよりも最期のアレですよ。」

「うむ・・・なんやアレばっかりやが、収穫やったな。」

「ええ、賢い女性でしたね。まさか今回の聞き込みで、こんなにも得るものがあるとは思いませんでした。」

「早速、佐藤に犬の手配をさせておいた。そう言えば、あっちの女の子の方は寄らんでよかったんか?」

「真夏ちゃんの所でしたら、警部補が電話を掛けている間に、挨拶を済ませてきました。今のヤマが片付いたら、また様子を見に行きます。」

「ほうか。あの子のお祖母はんにも、ご登場願った方がいいかもしれんな。」

「え、いいんですか?」
オカルト的な事件への展開は、上層部がいい顔をしない。

「俺らだけじゃ解らん事ばかりやからな。専門家の意見も忌憚なく訊いておきたい。」

「分かりました。後で連絡を取ってみます。」

「署に来てもらえる様なら、迎えのパトを用意してええで。」

「ハイ。そうさせてもらいます。」
物わかりの良い上司で助かる。
運転する谷戸の横顔を見ながら、栞は内心で感謝した。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

誘拐×殺人

崎田毅駿
ミステリー
 安生寺家の小学生になる長男・琢馬が誘拐された。自宅郵便受けに投函されていた手紙には、身代金の要求を示唆するとともに、警察に通報した場合は人質の安全を保証できないことも記されていた。これを受けて安生寺家の主であり、父親でもある安生寺洋は、警察には報せないという決断を、邸宅内にいた者全員の前で宣言する。主の決定に疑問も上がったが、子供の命にはかえられないと全員が承知した。  誘拐犯からの連絡を待つ、何とも言えない張り詰めた時間が流れる。その静かなる緊張を破ったのは、犯人からの連絡ではなく、悲鳴だった。  広い邸内で、人が殺されていたのである。状況から判断して、安生寺宅に留まっている者の中に殺人犯がいることは間違いない。こんなときに、誰が、何のために?

即興ミステリ

天草一樹
ミステリー
「千里! 新しい物語を思いついたんだ、ちょっと解いてみてくれないか」 ある日の放課後、友人の橘礼人が突然そう声をかけてきた。その日は久しぶりにバイトがなく、家でゆったり過ごしたかった俺はすげなく断ろうとするが、強引な誘いに根負けして引き受けることに。礼人が語る物語、タイトルを『トマトジュース館の殺人』といい、トマトジュース館という奇妙な館に集まった四人のトマトジュース発明家のうち、一人が奇妙な状態で殺されるというものだった。一体だれが犯人なのか推理してみてくれと言われ、俺は面倒に思いながらも思考を始め―― 読者への挑戦(?)が入っています。もしお暇であれば、少し考えてみてください。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

北新地物語─まるで異世界のような不夜街で彼女が死んだわけ─

大杉巨樹
ミステリー
彼女がなぜ死ななければならなかったのか、物語は一つの心中事件を追う展開となります。 第1部では彼女が死んだ事件に涼平(りょうへい)が出くわすまでの出来事を、高級クラブの黒服となった涼平の経緯とともに、高級クラブという職場の生活を黒服目線で描きながら進んでいきます。 第2部では高級クラブのホステスである萌未(めぐみ)の目線を通して高級クラブの世界を描きながら、事件の真相を追っていきます。 第3部は解決編です。事件の真犯人が分かるとともに、北新地に関わる様々な人たちの群像劇ともなっています。 本作は黒服、ホステス、客という三者の立場で見える北新地の姿を描きながら、殺人事件の真相を追っていくミステリーとなっております。最終回まですでに書き終えており、なかなかリアルな高級クラブの世界を描き切れたのではないかと自負しております。お水エンターテインメント作品として楽しんでいただければ幸いです。 ※本作品はフィクションです。実在する人物、団体、出来事とは関係ありません。

探偵内海は宝船を仕舞いこむ

八木山
ミステリー
▼登場人物 内海: 元警官の探偵。立ち位置は右。 「なんぼあってもいい」ものをポケットに入れて依頼を引き受ける。 駒場: 敏腕マッチョ刑事。立ち位置は左。 本来なら事件の真相にたどり着いているはずだが、情報を整理できないせいで迷宮入りになりかける。 ヨシノ: IQは200を超え、この世の全ての答えを知る男。 ※品田遊先生の方が百倍面白いものを書いてます

化粧品会社開発サポート部社員の多忙過ぎる日常

たぬきち25番
ミステリー
【第6回ホラー・ミステリー小説大賞、奨励賞受賞】 ※『離島迎賓館殺人事件』を最後までゆるく書き上げて、見直ししたり、修正していたのですが…… 全てが消えてしまいました。 およそ6万字……半年くらいのんびりと書いていたのでかなり落ち込んでます。 ですので、また書き直したら改めて公開します。 不注意で本当に申し訳ございません……。 化粧品会社の開発サポート部の伊月宗近は、鳴滝グループ会長の息子であり、会社の心臓部門である商品開発部の天才にして変人の鳴滝巧に振り回される社畜である。そうしてとうとう伊月は、鳴滝に連れて行かれた場所で、殺人事件に巻き込まれることになってしまったのだった。 ※※このお話はフィクションです。実在の人物、団体などとは、一切関係ありません※※ ※殺人現場の描写や、若干の官能(?)表現(本当に少しですので、その辺りは期待されませんように……)がありますので……保険でR15です。全年齢でもいいかもしれませんが……念のため。 タイトル変更しました~ 旧タイトル:とばっちり社畜探偵 伊月さん

絶体絶命ルビー・クールの逆襲<救出編>

蛇崩 通
ミステリー
 広場は、一万人の悪党たちで埋め尽くされていた。三名の制服少女が、連行されてきた。絞首刑台の上に。後ろ手に、手錠をかけられて。絞首刑用の太い縄が、少女たちの首に、かけられた。少女の一人が、冷ややかに言い放った。「絶望するのは、あなたたちよ。ここからは、あたしたちの逆襲の時間よ」  ルビー・クール・シリーズ第5弾(帝都大乱編第三部)、ついに開幕。  表紙イラスト:BlaCky  ※本作品は、法律・法令に違反する行為を容認・推奨するものではありません。  ※このたび本作品は、副題を<帝都大乱編III 救出作戦編>として、アマゾンでKindle版を出版しました。そのため、アルファポリスでは、過半を非公開としました。 <アマゾンKindle版の目次> プロローグ 処刑直前からの逆襲 第一章 救出難航で絶体絶命 第二章 脱出難航で絶体絶命 第三章 逃走難航で絶体絶命 第四章 替え玉作戦で絶体絶命 第五章 絞首刑台広場で絶体絶命 第六章 説得難航で絶体絶命 第七章 マフィアのアジトに殴り込み 第八章 マフィアのアジトで大暴れ 第九章 解錠難航で絶体絶命 第十章 救出作戦で絶体絶命 第十一章 迎撃作戦で絶体絶命 第十二章 透明魔女に絶体絶命 第十三章 仲間割れで絶体絶命 エピローグ 解放 ※蛇崩通のホームページはこちらhttps://jakuzure.p-kit.com/(レビューなどが掲載されています)

限られた時間であなたを感じていたい

ラヴ KAZU
ミステリー
海斗  驍 二十三歳  ある日驍は事故にあい黄泉の国への迎えが来てしまう。 驍は愛する琴葉が気になり、死神に頼み込み三ヶ月の猶予を与えて貰う。 驍は琴葉に気持ちを伝えたかった。 なぜなら琴葉は急に連絡が取れなくなった驍の愛に疑問を持ったのである。 浜咲 琴葉 三十五歳  急に連絡が取れなくなった驍の愛に疑問を抱く琴葉。 霊感を感じる琴葉はそれから不思議な出来事に遭遇する。 危険な目に遭うが霊体が危機を救ってくれた。 驍の死を知らされたが信じたくない気持ちと助けてくれた霊体が驍であって欲しいと思う気持ちの狭間で揺れていた。   驍は事故に遭い黄泉の国への迎えがやって来た。 愛する琴葉が気になり、三ヶ月の猶予を与えて貰う。 しかし自分の気持ちを伝えることが出来ず、同僚の身体を借りる事に。 琴葉は急に連絡が取れなくなった驍の愛に疑問を抱いていた。 危ない目に遭うが危機を霊体によって回避する。 だから驍の死を知らされたが信じたくない気持ちと霊体が驍であればいいと思う気持ちの狭間で揺れていた。 驍と琴葉の三ヶ月の物語である。      

処理中です...