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38.栞と棗
栞と棗
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「一体どういうことでしょうか?」
「知らん。」
「知らん、て。」
栞は苦笑した。
「おなごの靴のブランドも、腕時計も、おまえさんの分担やろ。」
「そっちの方は任せてください。友人の連絡先も確認済みです。それよりも最期のアレですよ。」
「うむ・・・なんやアレばっかりやが、収穫やったな。」
「ええ、賢い女性でしたね。まさか今回の聞き込みで、こんなにも得るものがあるとは思いませんでした。」
「早速、佐藤に犬の手配をさせておいた。そう言えば、あっちの女の子の方は寄らんでよかったんか?」
「真夏ちゃんの所でしたら、警部補が電話を掛けている間に、挨拶を済ませてきました。今のヤマが片付いたら、また様子を見に行きます。」
「ほうか。あの子のお祖母はんにも、ご登場願った方がいいかもしれんな。」
「え、いいんですか?」
オカルト的な事件への展開は、上層部がいい顔をしない。
「俺らだけじゃ解らん事ばかりやからな。専門家の意見も忌憚なく訊いておきたい。」
「分かりました。後で連絡を取ってみます。」
「署に来てもらえる様なら、迎えのパトを用意してええで。」
「ハイ。そうさせてもらいます。」
物わかりの良い上司で助かる。
運転する谷戸の横顔を見ながら、栞は内心で感謝した。
「知らん。」
「知らん、て。」
栞は苦笑した。
「おなごの靴のブランドも、腕時計も、おまえさんの分担やろ。」
「そっちの方は任せてください。友人の連絡先も確認済みです。それよりも最期のアレですよ。」
「うむ・・・なんやアレばっかりやが、収穫やったな。」
「ええ、賢い女性でしたね。まさか今回の聞き込みで、こんなにも得るものがあるとは思いませんでした。」
「早速、佐藤に犬の手配をさせておいた。そう言えば、あっちの女の子の方は寄らんでよかったんか?」
「真夏ちゃんの所でしたら、警部補が電話を掛けている間に、挨拶を済ませてきました。今のヤマが片付いたら、また様子を見に行きます。」
「ほうか。あの子のお祖母はんにも、ご登場願った方がいいかもしれんな。」
「え、いいんですか?」
オカルト的な事件への展開は、上層部がいい顔をしない。
「俺らだけじゃ解らん事ばかりやからな。専門家の意見も忌憚なく訊いておきたい。」
「分かりました。後で連絡を取ってみます。」
「署に来てもらえる様なら、迎えのパトを用意してええで。」
「ハイ。そうさせてもらいます。」
物わかりの良い上司で助かる。
運転する谷戸の横顔を見ながら、栞は内心で感謝した。
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