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38.栞と棗
栞と棗
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「棗さん・・・アレとは?」
栞が話の核心に切り込んでいく。
「あの・・・実は言葉では表現しにくいんですが、幽霊・・・でもないし、お化けでもないし。死体って言うのが一番ピッタリくるのかしら。」
言葉を選びながらも棗はおぞましい表現で言い表す。
「死体・・・ですか?」
思わず、栞も眉をしかめる。
「はい。頭と右手首のない歩き回る死体です。って信じられないでしょうけど。あたしだって未だに信じられないですもの。こんなことを言うと大抵引かれちゃうんですけど、あたし、見えちゃう質なんです。・・・やっぱり刑事さん達も信じられないですよね?」
棗が伏し目がちに言い淀む。
「私達が信じる信じないは気にしなくて結構ですよ。むしろ、棗さんが目にしたまま、感じたままを気兼ねなく率直に教えて欲しいんです。」
栞は彼女を安心させようと、きわめて明るく語り掛けた。
「ハイ。道端に立っていたあの死体は、服装からして同世代くらいの女性みたいでした。」
「どうしてそう思ったのかしら?」
「あの、あたし靴のデザイナーをやってるもので、結構ブランドやメーカーが判るんです。」
「なるほど。」
「最初は首ばっかりに意識がいっちゃってたのもあって、何も思い出せなかったんですけど・・・」
「当然ですよね。」
「今日になって気を失いかけた時にチラッと見たパンプスを思い出したんです。」
「とても助かります。」
「それと・・・」
「まだ何か?」
「そういえば妙なことが・・・」
「妙なこと?何でしょう?遠慮なく気になることは何でも教えてください。」
これ以上に奇妙なこととは一体何だというのだろう?栞自身、彼女の告白に惹き込まれ始めていた。
栞が話の核心に切り込んでいく。
「あの・・・実は言葉では表現しにくいんですが、幽霊・・・でもないし、お化けでもないし。死体って言うのが一番ピッタリくるのかしら。」
言葉を選びながらも棗はおぞましい表現で言い表す。
「死体・・・ですか?」
思わず、栞も眉をしかめる。
「はい。頭と右手首のない歩き回る死体です。って信じられないでしょうけど。あたしだって未だに信じられないですもの。こんなことを言うと大抵引かれちゃうんですけど、あたし、見えちゃう質なんです。・・・やっぱり刑事さん達も信じられないですよね?」
棗が伏し目がちに言い淀む。
「私達が信じる信じないは気にしなくて結構ですよ。むしろ、棗さんが目にしたまま、感じたままを気兼ねなく率直に教えて欲しいんです。」
栞は彼女を安心させようと、きわめて明るく語り掛けた。
「ハイ。道端に立っていたあの死体は、服装からして同世代くらいの女性みたいでした。」
「どうしてそう思ったのかしら?」
「あの、あたし靴のデザイナーをやってるもので、結構ブランドやメーカーが判るんです。」
「なるほど。」
「最初は首ばっかりに意識がいっちゃってたのもあって、何も思い出せなかったんですけど・・・」
「当然ですよね。」
「今日になって気を失いかけた時にチラッと見たパンプスを思い出したんです。」
「とても助かります。」
「それと・・・」
「まだ何か?」
「そういえば妙なことが・・・」
「妙なこと?何でしょう?遠慮なく気になることは何でも教えてください。」
これ以上に奇妙なこととは一体何だというのだろう?栞自身、彼女の告白に惹き込まれ始めていた。
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