Dreamin'

赤松帝

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34.栞

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これと良く似た異様な光景を、栞は身をもって体験したことがある気がした。
そうだ、警察学校の同期の刑事・樋口の命を奪い去った悪霊の棲んでいたあのマンションだ。
嘘か誠か定かではないが、壁の孔を通じて被害者青年が引きずり込まれたとの報告も聴いている。
邪悪なるものが這い出てくる異次元世界と繋がるゲートウェイとして、壁に鬼門となる孔が開いたとでもいうのであろうか?
事件の背景は大きく異なるものの、あの時の壁の孔と、この割れた鏡の空洞とが、もしかすると何ら通じているのではないかなどという馬鹿げた考えまで、頭にもたげてしまう。

頭では理解しているつもりなのだが、奇妙な相似性が栞を捉えて離さなかった。

樋口の件と、この事件は大きく違う。
私は一人前の刑事として、連続女性殺人の真犯人を追い詰めて逮捕し、冷酷無慈悲な殺害の連鎖を断ち切らなければならないのだ。


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