176 / 248
34.栞
栞
しおりを挟む
これと良く似た異様な光景を、栞は身をもって体験したことがある気がした。
そうだ、警察学校の同期の刑事・樋口の命を奪い去った悪霊の棲んでいたあのマンションだ。
嘘か誠か定かではないが、壁の孔を通じて被害者青年が引きずり込まれたとの報告も聴いている。
邪悪なるものが這い出てくる異次元世界と繋がるゲートウェイとして、壁に鬼門となる孔が開いたとでもいうのであろうか?
事件の背景は大きく異なるものの、あの時の壁の孔と、この割れた鏡の空洞とが、もしかすると何ら通じているのではないかなどという馬鹿げた考えまで、頭にもたげてしまう。
頭では理解しているつもりなのだが、奇妙な相似性が栞を捉えて離さなかった。
樋口の件と、この事件は大きく違う。
私は一人前の刑事として、連続女性殺人の真犯人を追い詰めて逮捕し、冷酷無慈悲な殺害の連鎖を断ち切らなければならないのだ。
そうだ、警察学校の同期の刑事・樋口の命を奪い去った悪霊の棲んでいたあのマンションだ。
嘘か誠か定かではないが、壁の孔を通じて被害者青年が引きずり込まれたとの報告も聴いている。
邪悪なるものが這い出てくる異次元世界と繋がるゲートウェイとして、壁に鬼門となる孔が開いたとでもいうのであろうか?
事件の背景は大きく異なるものの、あの時の壁の孔と、この割れた鏡の空洞とが、もしかすると何ら通じているのではないかなどという馬鹿げた考えまで、頭にもたげてしまう。
頭では理解しているつもりなのだが、奇妙な相似性が栞を捉えて離さなかった。
樋口の件と、この事件は大きく違う。
私は一人前の刑事として、連続女性殺人の真犯人を追い詰めて逮捕し、冷酷無慈悲な殺害の連鎖を断ち切らなければならないのだ。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
この欠け落ちた匣庭の中で 終章―Dream of miniature garden―
至堂文斗
ミステリー
ーーこれが、匣の中だったんだ。
二〇一八年の夏。廃墟となった満生台を訪れたのは二人の若者。
彼らもまた、かつてGHOSTの研究によって運命を弄ばれた者たちだった。
信号領域の研究が展開され、そして壊れたニュータウン。終焉を迎えた現実と、終焉を拒絶する仮想。
歪なる領域に足を踏み入れる二人は、果たして何か一つでも、その世界に救いを与えることが出来るだろうか。
幻想、幻影、エンケージ。
魂魄、領域、人類の進化。
802部隊、九命会、レッドアイ・オペレーション……。
さあ、あの光の先へと進んでいこう。たとえもう二度と時計の針が巻き戻らないとしても。
私たちの駆け抜けたあの日々は確かに満ち足りていたと、懐かしめるようになるはずだから。
隘路
重過失
ミステリー
貧困でも裕福でもない、普遍的な一家。
周りの人は皆、一家を幸せそうだと言った。
だけど、一家にはそれぞれの悩みが渦巻いていた。
無分別に振りかざされる、"多数派の正義"という名の差別を相容れない一家は、"少数派の悪者"となるのだろうか?
───
ミステリーというよりも、ヒューマンドラマに近いです。恐らく。
毎週の水曜・日曜日に更新。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
黒の捜査線 ~猟奇テロと白のコード~
きょろ
ミステリー
警察本部に届いた一本の動画。
それは、『ソサエティ』と名乗るテログループからの爆破予告であった――。
警察学校の同期であり、当時新米刑事であった『黒野 千歳(くろの ちとせ)』と『白石 一真(しらいし かずま)』は偶然にも、ソサエティが爆破予告をしたビルの近くにいた。
この犯行声明が悪戯でない事を警察に分からせる為、テログループのソサエティは1つのビルを予告通り爆破した。
これで一気に動き出した警察。
一早く建物へと着いた黒野と白石は、急いで皆を避難させた。
だが避難の途中、ソサエティのハッキングによって建物に突如鍵がかかってしまい、黒野と一般人数名が取り残されてしまった。それは白石のいた建物でも同じ事が起こっていたのだった。
そんな時、再びパソコンにソサエティが映し出され「ここから逃げるには爆弾を解除するしかない」と告げられてしまった2人。
自分と共に取り残された市民を救う為、黒野と白石は爆弾を解除する事を決めた。
そして爆発物処理班からの指示を受けながら、2人何とか爆弾を解除するのに成功したのだった。
……かに思えたが、まだ爆弾は完全に解除されていなかった。
なんと白石の方の爆弾には黒と白の2本のコードが残されており、どちらを切っても黒野か白石のビルが爆破されてしまうという状況へ追い込まれてしまった。自分と市民達。命の決断を迫られた白石は、遂に切るコードを選んだ――。
「一真ぁぁぁぁぁぁッ!!」
――ドォン……。
そしてその猟奇テロ事件から6年。
平穏で静かだった日常に、再びソサエティと名乗る者達から警察宛に爆破予告が届いた。6年前と同じ名前に同じ手口。未だ捕まっていないソサエティをずっと追って来た黒野の前に、遂に奴らが現れたのだった。
「――絶対逃がさねぇ」
テログループの犯行の動機とは……?
予想だにしなかった驚きの真相とは……?
全ての謎を解き明かし、黒野は次こそテログループ犯を捕まえることが出来るのか――。
【完結】少女探偵・小林声は渡り廊下を走らない
暗闇坂九死郞
ミステリー
私立時計ヶ丘高校に通う美里ふみ香は、校内で首吊り死体を発見する。同じく死体を発見した小林声は、これは自殺ではなく殺人事件だと断言するが……!?
謎を解くことをライフワークとする少女探偵・小林声の冒険と推理!!
美里 ふみ香 【みさと ふみか】……ひょんなことから小林と行動を共にすることになる。時計ヶ丘高校一年。将棋部。
小林 声 【こばやし こえ】……校内で知らぬ者はいない名探偵の少女。時計ヶ丘高校二年。
白旗 誠士郎 【しらはた せいしろう】……小林をライバル視する転校生。自称、浪速のエルキュール・ポアロ。
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
有栖と奉日本『デスペラードをよろしく』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第十話。
『デスペラード』を手に入れたユースティティアは天使との対決に備えて策を考え、準備を整えていく。
一方で、天使もユースティティアを迎え撃ち、目的を果たそうとしていた。
平等に進む時間
確実に進む時間
そして、決戦のときが訪れる。
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(X:@studio_lid)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる