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ONE NIGHT LOVE AFFAIR
ONE NIGHT LOVE AFFAIR
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長い間、あたしたちはくちづけをしていた。
彼のやわらかい唇に接していると、体温の温もりが身体の中に流れ込んでくるのを感じる。
同じ時間と感情を共有しているのが解る。
あたしは左の手で彼のうなじを支え、右の指でこめかみ辺りの金色の髪をそっと掻き上げる。
彼は気持ち良さそうに短い溜め息を漏らした。
そのまま親指で耳の表面をなぞり、フェイスラインに沿ってやや無精髭の生えた細い顎までをかする様に撫でてゆくと、その溜め息は長い吐息へと変わっていった。
あたしの髪から漂うほのかなジャスミンの甘い香りが、相手の鼻腔の奥を妖しくくすぐる。
たまらず彼は唇を離し、こう囁きかける。
「キミには時を止める力があるのかい?」
「知らなかった?私たちの周りの時間くらいならね。」
悪戯そうに目配せするとあたしはふわり微笑んだ。
「もう一度止めてみせてくれないか。」
「いいわ…」
あたしは今度はもっと長い間時計を止めてみせた。
彼のやわらかい唇に接していると、体温の温もりが身体の中に流れ込んでくるのを感じる。
同じ時間と感情を共有しているのが解る。
あたしは左の手で彼のうなじを支え、右の指でこめかみ辺りの金色の髪をそっと掻き上げる。
彼は気持ち良さそうに短い溜め息を漏らした。
そのまま親指で耳の表面をなぞり、フェイスラインに沿ってやや無精髭の生えた細い顎までをかする様に撫でてゆくと、その溜め息は長い吐息へと変わっていった。
あたしの髪から漂うほのかなジャスミンの甘い香りが、相手の鼻腔の奥を妖しくくすぐる。
たまらず彼は唇を離し、こう囁きかける。
「キミには時を止める力があるのかい?」
「知らなかった?私たちの周りの時間くらいならね。」
悪戯そうに目配せするとあたしはふわり微笑んだ。
「もう一度止めてみせてくれないか。」
「いいわ…」
あたしは今度はもっと長い間時計を止めてみせた。
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