TEENAGE

赤松帝

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paper moon

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今宵は百鬼夜行よろしく様々な妖怪、モンスター、お化けや魔物達が集い、この街を我が物顔で跋扈するハロウィン・パレードが開催されるお祭りの日。

わたしと友だちもアイデアを絞ったコスチュームで着飾って、今年もまたこの年に一度の風物詩である行列に参加した。

自分以外の何者かに変身し振舞う事が許される、シンデレラの気分が味わえる特別な1日。

まあ見た目はお姫様でなく、小悪魔みたいな魔女だけど(笑)

普段では考えられない成りきりメイクで、すっかり本物のウィッチ気分。

沿道の見物客が、ポーズを求めてカメラやスマートフォンのシャッターを切りまくってる。
眩しい無数のフラッシュを浴びていると、段々レッド・カーペットの上を颯爽と歩く映画スターみたいな気分に錯覚してきちゃう。
ホントにスカウトされちゃったらどうしよう?
それこそどうでもいい悩みが頭をもたげる。

それはそれとして、予め考えてきたポーズや極め顔でストリートを闊歩していると、ぎこちなかったパフォーマンスも、段々とキレが良くなって来るのが自分でもよく判る。

もしかしたらたとえ今は偽物だったとしても、本物に成ろうと願い努力し続けていれば、いつかは本物に近づけるのかしら?
もしそうなら、わたしは毎晩お月様にお願いをして、この夢を現実にしてみせるのになぁ。


いよいよ観客の歓喜のボルテージも最高潮に達した所で、パレード音楽が一層高らかに鳴り響くと、色とりどりの大花火が打ち上げられて、鮮やかで美しい光と大音響が夜空を彩る。
わたしも高揚した気分がMAXに盛り上がってきて、思わず自然に歌を唄い出した。

まるで映画や大好きなアミューズメントパークの主人公になったみたい・・・。


わたしは唄う。


わたしは踊る。


舞い踊るわたしのダンスの一挙一動に皆の視線が注がれているのが感じ取れる。


釣られた周りの仲間たちが一緒に踊り始めると、やがて次第にパフォーマーだけでなく観客らも声を上げ、一堂にその場その場で思い思いに唄い、踊る。

単なるハロウィーン・パレードだったはずなのに、わたしの掛けた魔法で、街はリオのカーニバルみたいな異様な熱気に包まれて、イベントはハロウィーン・パーティーへと変更された。

皆の合唱する歌に呼応するかの様に、炎の火柱が大音響と共に立ち昇り、百花繚乱の大小無数の乱れ花火が上空で炸裂し始めた。



わたしはいま、宇宙と一体になった気がした。


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