18 / 68
第一部 国売りのセド
1-16 宵闇の友情1
しおりを挟む
夜の酒場に訛りが飛び交う。酒の種類が多く、なにより都には珍しい地酒や古酒を扱っているこの店は、王都に集う地方の人間たちの溜り場だった。今日酒肴はどこの机も国売りのセドだった。
「また、あの王様もえらいことを言い出したもんだな、国売りとは。セドでも前代未聞じゃないか。この間の男爵位なんか目でもないな」
「まあ、あの王様もイカれてんしな。ま、そのうち宰相様が止めんだろう。将軍様だってお戻りだし。三日後の謁見のときには取り下げだろう?」
「セドに一旦売りにだしておいて、取り下げなんて無理だろうが」
「相手を誰だと思っているんだ、あの色ボケバカ王だぞ、道理なんて分かっちゃねえよ。女が閨で囁きゃイチコロよ!」
酔いの回った男たちはよしきた、といつセドが取り下げられるかを賭けはじめた。
王の気まぐれに人々は慣れていた。いくら王とはいえそんなことができるはずがない。辣腕の宰相がおり、セドの参加者にはラオスキー侯爵もいる。きっとどこかで誰かが止めるだろう。各机を金の入った木箱が回る。
店の片隅、タラシネ王子は男たちの会話を片耳に棚に並んだ酒を眺めた。護衛も従者もなく、ただ一人薄汚れた服を着て、深い琥珀色の液体を喉に流し込む。色とりどりの野菜揚げをつまみ、匙の上のとろみのついたふくよかな甘さの肉を頬張る。植物が極端に育たない痩せた土地が多いマルドミでは見られない酒肴に一人、熱を冷ました。
タラシネ皇子の正面に陰がさした。夜だというのに、目深に帽子をかぶっていた。
「ここ、いいか」
どうぞ、と自然に返してから、タラシネ皇子は相手に分からないくらい微かに口角を上げた。
「いらっしゃるとは思いませんでした」
「どうしてだ。また飲もうと約束しただろう」
手慣れた様子で厨房の奥の主人に声をかけたその人は、厨房の棚から勝手に杯を取り出し、酒をつぐとタラシネ皇子の正面に腰を下ろした。
王だった。
「なんと言えばよいのか」
タラシネ皇子は呆れた様子で、つまみの皿を王の方へと差し出した。
「そうだな、私も驚いている。まさか旅商人の飲み友達がまさかマルドミの皇子だったとはな」
王は当たり前のように、紫の野菜揚げに手を伸ばした。タラシネ皇子は慌てて周りを見回し、声を落とした。
「あなたがこのような場にいるほうが問題でしょう」
「自分の国だ。おかしいか?」
王はあっさりと言い、帽子をとった。周囲の男たちは気づく様子もない。陽気に賭けを続けている。
タラシネ皇子はぐいっともう一杯をあおった。まろやかな液体が喉にからみつく。これだけ堂々とされると声を抑えた自分が馬鹿みたいだった。
「おかしくはないですが、普通ではないでしょう」
「そんなものは捨ててきたな」
王は杯に口をつけた。本人を前に気づく素振りもない男たちに目をやった。
「我は王だ」
誰にも聞こえないほど小さな、小さな声。
タラシネ皇子は弾かれたように顔を上げた。謁見の間で対峙したときの脅威も畏怖も目の前の王にはない。だがもし、この場で王が剣を抜いたら。タラシネ皇子は机と椅子と通路の間隔を目測し、ゆっくりと気づかれないように息を整えた。
ことり。王は杯を置いた。
「聞こうか? 話すべきことがあるだろう?」
自分に向けられた矛先にタラシネ皇子はほんの一瞬目を見張った。ほんの少し、王の声に違うものが混ざっている気がした。ふっと柔和な眼差しを店外に向け、涼やかな笑みで王に向き合う。
「では、一つ聞かせてください。私が協力したのは、短い付き合いですが、この国で出会った気のいい友人のためです。言われたようにセドに参加しましたが、あなたはこの国をどうしたいのですか。答えによっては考え直さなければいけません」
王の目に光が宿った。
「歩こうか」
二人はひといきで杯をあおり、席をたった。
※
星のない夜空だった。カンテラの灯りが二つ、ゆらりゆらり、夜の道を動く。
「どうして王になったか知っているか?」
「色々とごたごたしていたようですね」
タラシネ皇子は言葉を濁した。非公式の場とはいえ、相手は一国の王である。周囲は民家。時折すれ違う酔っ払いしか人の気配がないとはいえ、大声で話すことではなかった。
「気を使わなくていい。醜い権力争いだ」
「確かに例をみないほどお亡くなりになられた」
先王が病に倒れたのは三年前。頑強な王も病には勝てなかった。寝台から政務を取り仕切るも徐々に起き上がれなくなった。始まりは皇太子の急死だった。政に明るく、人望もある青年だった。誰もが認める次期王だった。しかし、王より早く皇太子は亡くなった。原因は不明のまま、有能な皇太子の死を誰もが悲しんだ。そして誰もが考えた。次の王は誰かと。
それからだ。王城は少しでも自分に優位な王子・王女を王に据えようという姻戚の貴族たちによる代理戦争の場となった。王子たちは最初、相手にしなかった。彼らは皇太子を慕っていたし、政争の駒とされることなど望んではいなかった。その程度の分別は備えていた。
風向きが変わったのは第三王女が亡くなったときだ。まだ十に満たない王女は朗らかで、兄さま姉さまと分け隔てなく懐いていた。きしみ始めた王城で王子たちの癒しであり、疑心暗鬼に陥りそうな互いの心をつなぎ合わせる役割を果たしていた。その第三王女の死。彼らの心を変えたのは第三王女が王家の森の湖に浮かんでいたことだった。水を怖がる第三王女は決して湖に近づこうとはしなかった。他殺であるのは明らかだった。少しでも第三王女を知り心あるものなら、そのような殺し方はできまい。誰もが第三王女を愛していたがゆえに、犯人捜しは苛烈を極めた。病床の王も止めなかった。
犯人は見つからなかった。そして、誰かが囁く。王になりたいものが彼らの絆である第三王女を手にかけたのです、と。膨らんだ憎悪とやり場のない怒りに、姻戚たちの思惑が絡まり坂道を転げ落ちるように始まり、王位継承権をもつ者たちが相次いで不審な病死をした。
「所詮中継ぎの王だ。元は辺境の領主だ」
王位継承権をもつのが幼い王子一人になり、急遽宰相は今の王を引っ張り出してきた。元は辺境の領主だった。祖父が時の王の弟だったが兄王に疎まれ辺境に追いやられた。父も辺境育ち、王家のことなどすでに頭になかった。王は自嘲するように笑った。
黒いフードを纏うだけで、市井になじんでみせる王は、生まれながらに王として育てられたのではないと言われるとしっくりきた。
「私はな、傀儡の王などごめんだ。それくらいなら欲しいというヤツにくれてやる。なのにどうだ、ヤツらときたら堂々と国がほしいとも叫べぬ腰抜けどもばかり。誰がリドゥナを出したか知らんが、よい機会だ」
「王が、出されたのではないのですか?」
「どうして、私が自分の国を売るんだ?タラシネ皇子?」
タラシネ皇子が数か月前、王に初めて出会ったときの口ぶりだった。
至極まっとうな言葉だったが、セドにかけた本人の口から出ると違和感しかなかった。
偶然に出会い、酒を酌み交わし、言葉を交わした。それから何度かここで出会い話をした。それだけだった。それでも、だ。
「別にあなたを騙そうと思ったわけではないのです。確かに私はマルドミの皇子で侵略者と言われることもあります。しかし、私はあなたが王だとは知らなかった。何のセドかも知らなかった。ただあなたがセドに参加してほしいと言ったから、純粋にこの国でできた友の頼みをきいただけです」
「そうだな。疑ってはいない」
「疑っていない?自分で言うのもなんですが、マルドミの第五皇子の名は侵略と同義語かと思っていましたが」
「何度も言っただろう。マルドミで私が嫌いなのは皇太子だ。力任せで国土を破壊する。侵略の手本だろう。踏みにじればいいと思っている。それは属国にした後の統治で明らかだ」
確かに、国土拡大路線を取る皇帝の下、軍事力を全面に押し出して制圧するのが皇太子だった。だからこそ、タラシネ皇子は皇太子から腰抜け扱いされていた。
「最初に会った夜、祖国の土を実りある土地に改良したい、そう言ったお前に嘘はなかった」
「それを信じると?」
「では、なぜおまえはセドに参加した? 誰とも分からぬ人間の頼みなどきいた? 厄介ごとだと分かっていただろう?」
タラシネ皇子は立ち止まった。
王は鼻で笑った。
「それが答えだ。なぜ、疑う必要がある?疑う必要などどこにもない。生まれた国と立場が違った。それだけだ」
悠然と王は歩き続ける。
「それにお前は私にまだ刃を向けていない」
タラシネ皇子は我に返った。王の背中はがら空きだった。外套がはためき、月明かりに影が浮かぶ。こんなに人の背中を大きく感じたのは初めてだった。
タラシネ皇子は王の後を追った。
「あなたに会えてよかった」
王の横に並び、歩いた。
二人が石畳を蹴る規則正しい音が響く。二つの影が石畳の上をともに滑る。
静かだった。
金属のこすれ合う音がしたのは一瞬。
耳慣れた音。二人は静かに視線を交わす。足取りは変えない。数歩進んだ。
次の瞬間、王はカンテラを暗闇に向かって投げた。暗闇で鈍い男のうめき声がした。
王は、うめき声めがけて剣を振り上げた。その一閃で一人目を切り捨てた。返すその刃で二人目を切った。人が倒れる重い音がした。明らかな殺気が辺りに充満した。
「来たな」
王は暗闇に向かって薄く笑った。
「また、あの王様もえらいことを言い出したもんだな、国売りとは。セドでも前代未聞じゃないか。この間の男爵位なんか目でもないな」
「まあ、あの王様もイカれてんしな。ま、そのうち宰相様が止めんだろう。将軍様だってお戻りだし。三日後の謁見のときには取り下げだろう?」
「セドに一旦売りにだしておいて、取り下げなんて無理だろうが」
「相手を誰だと思っているんだ、あの色ボケバカ王だぞ、道理なんて分かっちゃねえよ。女が閨で囁きゃイチコロよ!」
酔いの回った男たちはよしきた、といつセドが取り下げられるかを賭けはじめた。
王の気まぐれに人々は慣れていた。いくら王とはいえそんなことができるはずがない。辣腕の宰相がおり、セドの参加者にはラオスキー侯爵もいる。きっとどこかで誰かが止めるだろう。各机を金の入った木箱が回る。
店の片隅、タラシネ王子は男たちの会話を片耳に棚に並んだ酒を眺めた。護衛も従者もなく、ただ一人薄汚れた服を着て、深い琥珀色の液体を喉に流し込む。色とりどりの野菜揚げをつまみ、匙の上のとろみのついたふくよかな甘さの肉を頬張る。植物が極端に育たない痩せた土地が多いマルドミでは見られない酒肴に一人、熱を冷ました。
タラシネ皇子の正面に陰がさした。夜だというのに、目深に帽子をかぶっていた。
「ここ、いいか」
どうぞ、と自然に返してから、タラシネ皇子は相手に分からないくらい微かに口角を上げた。
「いらっしゃるとは思いませんでした」
「どうしてだ。また飲もうと約束しただろう」
手慣れた様子で厨房の奥の主人に声をかけたその人は、厨房の棚から勝手に杯を取り出し、酒をつぐとタラシネ皇子の正面に腰を下ろした。
王だった。
「なんと言えばよいのか」
タラシネ皇子は呆れた様子で、つまみの皿を王の方へと差し出した。
「そうだな、私も驚いている。まさか旅商人の飲み友達がまさかマルドミの皇子だったとはな」
王は当たり前のように、紫の野菜揚げに手を伸ばした。タラシネ皇子は慌てて周りを見回し、声を落とした。
「あなたがこのような場にいるほうが問題でしょう」
「自分の国だ。おかしいか?」
王はあっさりと言い、帽子をとった。周囲の男たちは気づく様子もない。陽気に賭けを続けている。
タラシネ皇子はぐいっともう一杯をあおった。まろやかな液体が喉にからみつく。これだけ堂々とされると声を抑えた自分が馬鹿みたいだった。
「おかしくはないですが、普通ではないでしょう」
「そんなものは捨ててきたな」
王は杯に口をつけた。本人を前に気づく素振りもない男たちに目をやった。
「我は王だ」
誰にも聞こえないほど小さな、小さな声。
タラシネ皇子は弾かれたように顔を上げた。謁見の間で対峙したときの脅威も畏怖も目の前の王にはない。だがもし、この場で王が剣を抜いたら。タラシネ皇子は机と椅子と通路の間隔を目測し、ゆっくりと気づかれないように息を整えた。
ことり。王は杯を置いた。
「聞こうか? 話すべきことがあるだろう?」
自分に向けられた矛先にタラシネ皇子はほんの一瞬目を見張った。ほんの少し、王の声に違うものが混ざっている気がした。ふっと柔和な眼差しを店外に向け、涼やかな笑みで王に向き合う。
「では、一つ聞かせてください。私が協力したのは、短い付き合いですが、この国で出会った気のいい友人のためです。言われたようにセドに参加しましたが、あなたはこの国をどうしたいのですか。答えによっては考え直さなければいけません」
王の目に光が宿った。
「歩こうか」
二人はひといきで杯をあおり、席をたった。
※
星のない夜空だった。カンテラの灯りが二つ、ゆらりゆらり、夜の道を動く。
「どうして王になったか知っているか?」
「色々とごたごたしていたようですね」
タラシネ皇子は言葉を濁した。非公式の場とはいえ、相手は一国の王である。周囲は民家。時折すれ違う酔っ払いしか人の気配がないとはいえ、大声で話すことではなかった。
「気を使わなくていい。醜い権力争いだ」
「確かに例をみないほどお亡くなりになられた」
先王が病に倒れたのは三年前。頑強な王も病には勝てなかった。寝台から政務を取り仕切るも徐々に起き上がれなくなった。始まりは皇太子の急死だった。政に明るく、人望もある青年だった。誰もが認める次期王だった。しかし、王より早く皇太子は亡くなった。原因は不明のまま、有能な皇太子の死を誰もが悲しんだ。そして誰もが考えた。次の王は誰かと。
それからだ。王城は少しでも自分に優位な王子・王女を王に据えようという姻戚の貴族たちによる代理戦争の場となった。王子たちは最初、相手にしなかった。彼らは皇太子を慕っていたし、政争の駒とされることなど望んではいなかった。その程度の分別は備えていた。
風向きが変わったのは第三王女が亡くなったときだ。まだ十に満たない王女は朗らかで、兄さま姉さまと分け隔てなく懐いていた。きしみ始めた王城で王子たちの癒しであり、疑心暗鬼に陥りそうな互いの心をつなぎ合わせる役割を果たしていた。その第三王女の死。彼らの心を変えたのは第三王女が王家の森の湖に浮かんでいたことだった。水を怖がる第三王女は決して湖に近づこうとはしなかった。他殺であるのは明らかだった。少しでも第三王女を知り心あるものなら、そのような殺し方はできまい。誰もが第三王女を愛していたがゆえに、犯人捜しは苛烈を極めた。病床の王も止めなかった。
犯人は見つからなかった。そして、誰かが囁く。王になりたいものが彼らの絆である第三王女を手にかけたのです、と。膨らんだ憎悪とやり場のない怒りに、姻戚たちの思惑が絡まり坂道を転げ落ちるように始まり、王位継承権をもつ者たちが相次いで不審な病死をした。
「所詮中継ぎの王だ。元は辺境の領主だ」
王位継承権をもつのが幼い王子一人になり、急遽宰相は今の王を引っ張り出してきた。元は辺境の領主だった。祖父が時の王の弟だったが兄王に疎まれ辺境に追いやられた。父も辺境育ち、王家のことなどすでに頭になかった。王は自嘲するように笑った。
黒いフードを纏うだけで、市井になじんでみせる王は、生まれながらに王として育てられたのではないと言われるとしっくりきた。
「私はな、傀儡の王などごめんだ。それくらいなら欲しいというヤツにくれてやる。なのにどうだ、ヤツらときたら堂々と国がほしいとも叫べぬ腰抜けどもばかり。誰がリドゥナを出したか知らんが、よい機会だ」
「王が、出されたのではないのですか?」
「どうして、私が自分の国を売るんだ?タラシネ皇子?」
タラシネ皇子が数か月前、王に初めて出会ったときの口ぶりだった。
至極まっとうな言葉だったが、セドにかけた本人の口から出ると違和感しかなかった。
偶然に出会い、酒を酌み交わし、言葉を交わした。それから何度かここで出会い話をした。それだけだった。それでも、だ。
「別にあなたを騙そうと思ったわけではないのです。確かに私はマルドミの皇子で侵略者と言われることもあります。しかし、私はあなたが王だとは知らなかった。何のセドかも知らなかった。ただあなたがセドに参加してほしいと言ったから、純粋にこの国でできた友の頼みをきいただけです」
「そうだな。疑ってはいない」
「疑っていない?自分で言うのもなんですが、マルドミの第五皇子の名は侵略と同義語かと思っていましたが」
「何度も言っただろう。マルドミで私が嫌いなのは皇太子だ。力任せで国土を破壊する。侵略の手本だろう。踏みにじればいいと思っている。それは属国にした後の統治で明らかだ」
確かに、国土拡大路線を取る皇帝の下、軍事力を全面に押し出して制圧するのが皇太子だった。だからこそ、タラシネ皇子は皇太子から腰抜け扱いされていた。
「最初に会った夜、祖国の土を実りある土地に改良したい、そう言ったお前に嘘はなかった」
「それを信じると?」
「では、なぜおまえはセドに参加した? 誰とも分からぬ人間の頼みなどきいた? 厄介ごとだと分かっていただろう?」
タラシネ皇子は立ち止まった。
王は鼻で笑った。
「それが答えだ。なぜ、疑う必要がある?疑う必要などどこにもない。生まれた国と立場が違った。それだけだ」
悠然と王は歩き続ける。
「それにお前は私にまだ刃を向けていない」
タラシネ皇子は我に返った。王の背中はがら空きだった。外套がはためき、月明かりに影が浮かぶ。こんなに人の背中を大きく感じたのは初めてだった。
タラシネ皇子は王の後を追った。
「あなたに会えてよかった」
王の横に並び、歩いた。
二人が石畳を蹴る規則正しい音が響く。二つの影が石畳の上をともに滑る。
静かだった。
金属のこすれ合う音がしたのは一瞬。
耳慣れた音。二人は静かに視線を交わす。足取りは変えない。数歩進んだ。
次の瞬間、王はカンテラを暗闇に向かって投げた。暗闇で鈍い男のうめき声がした。
王は、うめき声めがけて剣を振り上げた。その一閃で一人目を切り捨てた。返すその刃で二人目を切った。人が倒れる重い音がした。明らかな殺気が辺りに充満した。
「来たな」
王は暗闇に向かって薄く笑った。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
【北の果てのキトゥルセン】 ~辺境の王子に転生したので、まったり暮らそうと思ったのに、どんどん国が大きくなっていく件について~
次元謄一
ファンタジー
タイトル変更しました→旧タイトル 「デッドエンドキングダム ~十五歳の魔剣使いは辺境から異世界統一を目指します~」
前世の記憶を持って生まれたオスカーは国王の落とし子だった。父の死によって十五歳で北の辺境王国の統治者になったオスカーは、炎を操る魔剣、現代日本の記憶、そしてなぜか生まれながらに持っていた【千里眼】の能力を駆使し、魔物の森や有翼人の国などを攻略していく。国内では水車を利用した温泉システム、再現可能な前世の料理、温室による農業、畜産業の発展、透視能力で地下鉱脈を探したりして文明改革を進めていく。
軍を使って周辺国を併合して、大臣たちと国内を豊かにし、夜はメイド達とムフフな毎日。
しかし、大陸中央では至る所で戦争が起こり、戦火は北までゆっくりと、確実に伸びてきていた。加えて感染するとグールになってしまう魔物も至る所で発生し……!?
雷を操るツンデレ娘魔人、氷を操るクール系女魔人、古代文明の殺戮機械人(女)など、可愛いけど危険な仲間と共に、戦乱の世を駆け抜ける!
登場人物が多いので結構サクサク進みます。気軽に読んで頂ければ幸いです。
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる