京都に住んで和風ファンタジー(時には中華風)の取材などする日記

washusatomi

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風俗博物館に行きました(移徙・女童の装束)

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 平安時代の雅な風俗を、実物の4分の1サイズのドールハウスで見せてくださる風俗博物館。京都市の西本願寺のお向かいという街中にあります。



 先日、整形外科を受診することにし、そのクリニックで3時間も待ったことがあるので(整形外科は待ちますよね~)、半日予定を空けておりました。ところが30分くらいで用事が終わってしまい、そこで地下鉄五条駅まで行って風俗博物館の秋の展示を見に行くことにしたのです。

 風俗博物館は、法衣などを扱う企業のオフィスビルの5階にありますが、エレベーターのドアが開くとすぐ華麗な王朝世界がひろがります。

 まず最初の池では蓮が咲いていました(前回は龍頭鷁首舟が浮かんでました)。

 その奥、寝殿の前の庭で繰り広げられているのは「お引っ越し」の光景。
『源氏物語』「少女」で描かれる、六條院への移徙(いし・わたまし)の様子が具現展示されています。
(具体的な儀式は『類聚雑要抄』康平6年(1063)年7月3日の藤原師実の花山院へのわたましの作法によるようです)。

 写真はnoteに投稿しております(URLはコチラ→※1)

 また、入場料(800円)を払うと受付で資料をいただけます。これがA4で12ページもあるもので、展示の丁寧な解説が掲載されていてとても勉強になります!
 ここでも、その資料から引用していきます。

 お引っ越しに先立っては陰陽師が日を占います。

 当日も、陰陽師が散供(お祓い)と反閇(「へんぱい」という特殊な歩き方)をして門をくぐり、そのあと以下のような列が続きます。

「第一に先導として、童女二人がそれぞれ水と燭(火)を挙げる。
 第二に、一人が黄牛(飴色の毛の高級牛。特に場所を動かすことを忌む土公神を抑制するために用いる)を牽く。 
 第三に、二人が金製の宝器を乗せた案を挙げる。
 第四に、二人が五穀を入れた釜を持つ。
 第五に、家長。
 第六に、一人が馬の鞍を挙げる。
 第七に、子孫の男。
 第八に、二人が帛を入れた箱を持つ。
 第九に、二人が五穀の飯を入れた甑を持つ。
 第十に、家長母が鏡を心前に持って行う。」

 風俗博物館の展示では「家長・子孫の男・家長母」以外はほぼ忠実に再現されていました。
(光源氏・紫の上が寝殿への階を上っていますし、夕霧も列の中の変則的な場所にいます)。

 資料によると「この儀式の本質は巫女の役目を果たす童女が、神聖な水・火・黄牛(五行思想の上での土の象徴)にまつわる様々な神々を新居に移し、新居の安寧と子孫の繁栄を祈ることにあると思われる」そうです。

 童女が捧げ持ってきた火は燈籠、燈台に火をともして使われたそうですし、この火と水とで台所で五穀を炊いて備えたそうです。

 鷲生としては、八坂神社の「おけらまいり」を思い出しました。
 大みそかの行事で、境内で縄を貰って、その端に神社で焚かれている篝火から火を移し家に持ち帰ります。その火が途中で消えないよう、縄の端っこをくるくる回しながら移動します。で、その火で翌日の元旦にお雑煮をつくり、それを食べると一年間無病息災なんだとか(※2)。

 鷲生が京都の大学生だったとき、運動部の女子メンバー5人が自転車で行ったんですよ。で、自転車を片手で運転しながら片手でくるくる縄を回して友人の家まで帰りましてねw 
 夜道を5台の自転車が縦に並んで火を回しながら走っていたのを、道行く人に「うわあ! 自転車暴走族やぁ!」と指さされましたよw
 当時はイロイロゆるかったですね……良い子は絶対にマネをしてはイケマセン。

 今回の風俗博物館では女童の装束をすぐ間近で見られましたので、とてもよく理解できました!

 女童が汗衫というものを着るのは前から知っていたのですが(以前、平安ファンタジー小説を書くのに少女の装束について調べたのです。※3)、「汗衫」で検索しても、「単仕立ての汗取りの肌着」という説明が出てきて、なんでそれが宮中で着る衣装なのかがよく分からなかったんですよね。

 今回の風俗博物館の資料によりますと。元は肌着だったのが、童女のケの装束として使われるようになり、やがてはハレの儀に着用する衣裳に形を変えて昇格した衣裳なのだそうです。

『満佐須計装束抄』による、汗衫の形の特徴は。
 ・身二巾仕立て
 ・後身の長さは曲尺で1丈5尺(4.5m)、 は1丈2尺(3.6m) という長大な仕立てで、裾が長い
 ・闕腋袍
 ・袴は、未婚女性の濃色の長袴に表袴(束帯 する袴)を重ねてはく。
 ・単と衵を重ねた上に闕腋袍を重ね、円領の袍を垂領に着付ける。
  ・右の端袖を折り返し、袖口の襲が美しく見えるようにする。

 ↑これらの特徴、人形で一つ一つ確認しましたし、noteの写真でもお分かりいただけると思います。

 風俗博物館の資料ではこの装束について「 童女の晴の汗衫姿は、男性と女性の正装である束帯と唐衣裳姿を取り混ぜたような姿で、大人になりきれていない童女の魅力を存分に華やかに飾り立てる装束であった」とまとめていらっしゃいます。
 なるほど!

 風俗博物館の展示は他にもありましたが、今回はいったんここで終わります。

 階に光源氏と紫上が立っている光景がとてもフォトジェニックで、エエ写真が撮れて良かったです!


 *****
 ※1 https://note.com/monmonsiteru/n/n41b8ac3dc5b0

 ※2 八坂神社Webサイト 
 https://www.yasaka-jinja.or.jp/event/
 京都観光オフィシャルサイト 京都観光Navi 「をけら詣り」
 https://ja.kyoto.travel/event/single.php?event_id=5148

 ※3 鷲生の平安ファンタジー小説はコチラです。
「錦濤宮物語 女武人ノ宮仕ヘ或ハ近衛大将ノ大詐術」
https://kakuyomu.jp/works/16816927860647624393
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