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京都国立博物館の常設展示(2024年8月)
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前回の記事にしましたように、先週、京都国立博物館へ「藤原道長の経筒」を見に行きました。同時に見た他の常設展示についても文章に残しておこうと思います(京都国立博物館のWebサイトはコチラ→※1)。
この間、ボランティア活動で京都国立博物館のスタッフさんとお話する機会がある人とお話したんですが。
東京国立博物館が写真撮影可なのに対し、京都国立博物館では禁じられています。聞くところによれば「著作権の問題があるから」なのだそうです。
京都国立博物館は色んな寺社から委託されていたりするので、それででしょうかね……。
ともあれ、写真が撮影できないので、今回の記事は鷲生の記憶とメモによるものです。
京都国立博物館の展示は多岐にわたるので、道長の経筒と同じ「考古」の部屋を中心に述べていきます。
考古の部屋には、わりと大きめの埴輪が並んでいました。えーと、人型埴輪が鷲生より一回り小柄かな?くらいの大きさです。
先日、古代の服飾についての本を読みましたが、日本の埴輪は左前の着物の服を着ています。朝鮮半島もそうだそうですが、中国では左前(左衽)を夷狄の風俗としていたので、日本もそれに倣い、奈良時代から右前に着るようになりました。
Wikipedia「和服」の項目に「『続日本紀』(しょくにほんぎ)によると、719年に行った政策の記述の中に『初令天下百姓右襟』という一文がある。全ての人々は衿の合わせ方を右前(右衽)にしなさい、という意味である。これはその当時手本としていた中国において右前に着ることが定められたのでそれに倣ったものと言われている」とあります。
鷲生としてはつい最近まで古代の服飾の本を立て続けに読んでいたので、それで京博の埴輪が左前であることを確認して満足したのでしたw(※2)
馬の埴輪もありました。大きさは、うーん、ゴールデンレトリバーのような大型犬くらい?でしょうか。
鐙もついていました。鐙って単に足を乗っけるためのように見えて、コレがあるかないかで馬術の歴史がぐっと大きく変動したのだそうです。鐙が登場したことで生来の騎馬民族でなくても騎兵になることができ、これが世界史上でも大きな出来事なんだそうですね。
Wikipedia「鐙」によると、日本への伝来は「古墳時代に日本へ馬がもたらされ、6-7世紀頃には壺鐙と呼ばれる鐙が出土している。これは足の前半部分を掛けて踏み込む。平安時代に、踏込部が長い舌長鐙が作られ、踵を含む足裏全体で踏む鐙となった。これにより、立ち上がっても身体が安定し振れを防止できるようになった。立ち上がることも多い日本の騎射術に適している」のだそうです。
古代を舞台にしたファンタジーを書くものとしては、馬術に親しみたいものですが……。なかなか機会はないですね……、
京都の乗馬クラブで4回で2万円弱の体験コースがあるとネットで見つけたので、決心がついたらトライすることもあるかもしれません。
ちなみに。鷲生の出身高校には馬術部があり(神戸の六甲山麓にあり、近くに乗馬クラブがあったんです)、当時月額1500円の部費で所属で来たんですよね。今考えると入っておけばよかったですw
さて。話を京博に戻しますと。
石器が並ぶ陳列棚には、打製石器・磨製石器などがありました。教科書通りの特徴が印象的でした。
その並びに遮光式土偶があったのが鷲生には意外に感じられました。遮光式土偶=東北と思い込んでいたもので。東北地方から近畿にかけて、鷲生が思っていたよりも広い範囲で出土しているそうです。
奈良時代の土器の中に、ボウルのような椀型の土器に人の顔を描いたものがありました。説明によると、息を吹き込んで川に流すという呪術目的だったそうです。京博のものの画像は見つからないのですが、京都市埋蔵文化財研究所の画像は見つかりました(※)
その隣に、前回の記事に書きましたように、平安時代の道長が建てた法成寺の瓦や、経筒が展示されていました。
2階、1階と順にみていく中で、衣服の展示室に近世の雅楽の衣裳がかかっているのに目が行きました。先日風俗博物館で「陵王」の衣装を見たばかりだからでしょう。
風俗博物館がおっしゃるように、近世と古代とで襟の形や模様が異なっていました。
京博の展示の説明では、番舞のうち、右舞の高麗楽ではリズム、左舞の唐楽では旋律を重視する踊りとなっているそうです。もし見る機会があれば、その点に着目して見学したいです。
今回見に行った道長の経筒の展示は今月18日に終わったのですが、京博から今度は「藤原彰子さまの経箱」が9月1日まで展示されるとお知らせがXでありました。
鷲生は次回作を彰子をモデルとしたヒロインの平安ファンタジーを書くつもりなんですよ……。暑いですが、また頑張って強迫に見に行きたいです。クッソ暑いんですけど!w
そうそう、京博の中の人のお話によると、なかなか来場者が増えないのが悩みの種なのだそうです。
開館スケジュールが不規則で、そのため宿泊客の予定に組み込みにくく、それでインバウンド客が来ないからだとか。
場所も微妙に行きづらいというか。京都駅からバスでわりとすぐですが、そのバスが激混みするので。
京都の交通網に詳しければ、京阪電車を使うとか、鷲生みたいに地下鉄九条駅からの市バスを使うとか「抜け道」があるのは知っていますが、外国からの人はどうしても京都駅を起点にしてしまいますからね……。
あと、京博は歴史ある本館がずっと閉鎖中です。東京の赤坂迎賓館と同じ建築家の片山東熊の設計で、とても趣ある建物なのですが……。
京博の中の人と話す機会がある友人によると、耐震問題があるからという理由のようです。
こちらが使えれば、展示替えなどで閉鎖する期間も減り、一年中どこかの展示室は開いている状態となり、インバウンド客も見込めるかと思いますが……。
とまれかくあれ、先立つものが必要で。京博に行く機会のある方、せっせと足を運んで入場料を払いましょうw!
そして国や自治体はこういうところにお金をかけてほしいですね!
*****
※1 京都国立博物館Webサイト https://www.kyohaku.go.jp/jp/
※2 それらの本については「中華ファンタジーにもとても!参考になる古代服飾についての本3冊をご紹介!」https://kakuyomu.jp/works/16817139556995512679/episodes/16818093082233149739。
※3 京都市埋蔵文化財研究所 「京都市指定文化財『長岡京東南境界祭祀遺跡出土墨書人面土器』の展示を開始しました」https://www.kyoto-arc.or.jp/blog/jp-res-info/965.html
※4 京都国立博物館X
https://x.com/KyotoNatMuseum/status/1826177887818694772
この間、ボランティア活動で京都国立博物館のスタッフさんとお話する機会がある人とお話したんですが。
東京国立博物館が写真撮影可なのに対し、京都国立博物館では禁じられています。聞くところによれば「著作権の問題があるから」なのだそうです。
京都国立博物館は色んな寺社から委託されていたりするので、それででしょうかね……。
ともあれ、写真が撮影できないので、今回の記事は鷲生の記憶とメモによるものです。
京都国立博物館の展示は多岐にわたるので、道長の経筒と同じ「考古」の部屋を中心に述べていきます。
考古の部屋には、わりと大きめの埴輪が並んでいました。えーと、人型埴輪が鷲生より一回り小柄かな?くらいの大きさです。
先日、古代の服飾についての本を読みましたが、日本の埴輪は左前の着物の服を着ています。朝鮮半島もそうだそうですが、中国では左前(左衽)を夷狄の風俗としていたので、日本もそれに倣い、奈良時代から右前に着るようになりました。
Wikipedia「和服」の項目に「『続日本紀』(しょくにほんぎ)によると、719年に行った政策の記述の中に『初令天下百姓右襟』という一文がある。全ての人々は衿の合わせ方を右前(右衽)にしなさい、という意味である。これはその当時手本としていた中国において右前に着ることが定められたのでそれに倣ったものと言われている」とあります。
鷲生としてはつい最近まで古代の服飾の本を立て続けに読んでいたので、それで京博の埴輪が左前であることを確認して満足したのでしたw(※2)
馬の埴輪もありました。大きさは、うーん、ゴールデンレトリバーのような大型犬くらい?でしょうか。
鐙もついていました。鐙って単に足を乗っけるためのように見えて、コレがあるかないかで馬術の歴史がぐっと大きく変動したのだそうです。鐙が登場したことで生来の騎馬民族でなくても騎兵になることができ、これが世界史上でも大きな出来事なんだそうですね。
Wikipedia「鐙」によると、日本への伝来は「古墳時代に日本へ馬がもたらされ、6-7世紀頃には壺鐙と呼ばれる鐙が出土している。これは足の前半部分を掛けて踏み込む。平安時代に、踏込部が長い舌長鐙が作られ、踵を含む足裏全体で踏む鐙となった。これにより、立ち上がっても身体が安定し振れを防止できるようになった。立ち上がることも多い日本の騎射術に適している」のだそうです。
古代を舞台にしたファンタジーを書くものとしては、馬術に親しみたいものですが……。なかなか機会はないですね……、
京都の乗馬クラブで4回で2万円弱の体験コースがあるとネットで見つけたので、決心がついたらトライすることもあるかもしれません。
ちなみに。鷲生の出身高校には馬術部があり(神戸の六甲山麓にあり、近くに乗馬クラブがあったんです)、当時月額1500円の部費で所属で来たんですよね。今考えると入っておけばよかったですw
さて。話を京博に戻しますと。
石器が並ぶ陳列棚には、打製石器・磨製石器などがありました。教科書通りの特徴が印象的でした。
その並びに遮光式土偶があったのが鷲生には意外に感じられました。遮光式土偶=東北と思い込んでいたもので。東北地方から近畿にかけて、鷲生が思っていたよりも広い範囲で出土しているそうです。
奈良時代の土器の中に、ボウルのような椀型の土器に人の顔を描いたものがありました。説明によると、息を吹き込んで川に流すという呪術目的だったそうです。京博のものの画像は見つからないのですが、京都市埋蔵文化財研究所の画像は見つかりました(※)
その隣に、前回の記事に書きましたように、平安時代の道長が建てた法成寺の瓦や、経筒が展示されていました。
2階、1階と順にみていく中で、衣服の展示室に近世の雅楽の衣裳がかかっているのに目が行きました。先日風俗博物館で「陵王」の衣装を見たばかりだからでしょう。
風俗博物館がおっしゃるように、近世と古代とで襟の形や模様が異なっていました。
京博の展示の説明では、番舞のうち、右舞の高麗楽ではリズム、左舞の唐楽では旋律を重視する踊りとなっているそうです。もし見る機会があれば、その点に着目して見学したいです。
今回見に行った道長の経筒の展示は今月18日に終わったのですが、京博から今度は「藤原彰子さまの経箱」が9月1日まで展示されるとお知らせがXでありました。
鷲生は次回作を彰子をモデルとしたヒロインの平安ファンタジーを書くつもりなんですよ……。暑いですが、また頑張って強迫に見に行きたいです。クッソ暑いんですけど!w
そうそう、京博の中の人のお話によると、なかなか来場者が増えないのが悩みの種なのだそうです。
開館スケジュールが不規則で、そのため宿泊客の予定に組み込みにくく、それでインバウンド客が来ないからだとか。
場所も微妙に行きづらいというか。京都駅からバスでわりとすぐですが、そのバスが激混みするので。
京都の交通網に詳しければ、京阪電車を使うとか、鷲生みたいに地下鉄九条駅からの市バスを使うとか「抜け道」があるのは知っていますが、外国からの人はどうしても京都駅を起点にしてしまいますからね……。
あと、京博は歴史ある本館がずっと閉鎖中です。東京の赤坂迎賓館と同じ建築家の片山東熊の設計で、とても趣ある建物なのですが……。
京博の中の人と話す機会がある友人によると、耐震問題があるからという理由のようです。
こちらが使えれば、展示替えなどで閉鎖する期間も減り、一年中どこかの展示室は開いている状態となり、インバウンド客も見込めるかと思いますが……。
とまれかくあれ、先立つものが必要で。京博に行く機会のある方、せっせと足を運んで入場料を払いましょうw!
そして国や自治体はこういうところにお金をかけてほしいですね!
*****
※1 京都国立博物館Webサイト https://www.kyohaku.go.jp/jp/
※2 それらの本については「中華ファンタジーにもとても!参考になる古代服飾についての本3冊をご紹介!」https://kakuyomu.jp/works/16817139556995512679/episodes/16818093082233149739。
※3 京都市埋蔵文化財研究所 「京都市指定文化財『長岡京東南境界祭祀遺跡出土墨書人面土器』の展示を開始しました」https://www.kyoto-arc.or.jp/blog/jp-res-info/965.html
※4 京都国立博物館X
https://x.com/KyotoNatMuseum/status/1826177887818694772
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