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藤原道長の経筒見てきました!
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鷲生はX(旧Twitter)で、京都国立博物館のアカウントをフォローしており、先日「藤原道長の経筒を展示します」とのお知らせを見かけました。
藤原道長が娘の彰子の妊娠を願い、金峰山に詣で、そこでお経を収納して地面に埋めた経筒です。
道長の日記(「御堂関白記」)にもその様子が(万事大雑把な道長にしてはまめまめしく)書かれているそうです。
倉本一宏さん(日文研名誉教授・「光る君へ」時代考証ご担当)の『平安貴族とは何か 三つの日記で読む実像』という本に詳しいです(※1)。
その本によると、「このとき埋納された経は、元禄四年(一六九一)に山上ケ岳から出土した経筒のなかから発見されました。道長が奉納した経だとすぐに判明し、経は再度埋められ」「この経筒は近代になって再び掘り出され、その大部分は京都国立博物館に収蔵されています」とのこと。ちなみに国宝です!(※2)
その収蔵品が8月18日まで展示されているということです。
倉本一宏さんは別の本で(※3)、道長と同じ年齢と同じ日程で金峰山に登ったと述べておられます。
「なお、私は、道長と同じ四十二歳の年の八月十一日、金峯山に登った。その日も雨降りで、急峻な山道や断崖を雨をおして登った道長の執念を、すぐに実感することになったものである」
鷲生も史跡を自分の足で巡ったり、ミュージアムで実物を見たりして理解を深めようとする傾向がありますが、倉本一宏さんもまた実際に同じ旅程をこなすことで藤原道長という歴史上の人物の言動を深く理解なさっていらっしゃるのだなあと思います(偉い先生とやっていることが似ていて嬉しいですw)。
また、京都国立博物館の展示はこの経筒だけではなく、「青磁水注」もありました(※4)。これも倉本一宏さんの本で紹介されているものです!
「(道長の墓として有力視されている場所から出土した)と伝える秘色の青磁水注(高二十一・七センチ、底径八センチ、口径九・六センチ、京都国立博物館蔵)は、五代(九〇七ー九六〇)もしくは北宋時代(九六〇ー一一二七)のごく初期に、中国浙江省の越州窯で焼かれたものと考えられ」
「越州窯青磁の輸入品でも、これほどの大型品は多くなく、これを道長の骨壺であると指摘する考えもあることを付記しておく」
ほええ~。じゃあ、鷲生は道長の骨壺を見てたのかもしれないのですね!(興奮!)
これらと並んで、道長が建てた法成寺の瓦も展示されていました。
瓦には緑釉がかかっていますが、平安京で瓦に緑釉がかかっていたのは宮殿など特別な建物に限られており、しかも法成寺の瓦は重なって見えない部分にまでふんだんに緑釉がかかっていることから、道長が特別な権力を持っていたことがうかがえるそうです。
この道長の経筒などの展示、Xでは京都国立博物館のどの部屋なのかお知らせがなく、当日1階の窓口で場所を尋ねました。3階の2つ目の部屋とのことで、そこに行ってみるとその部屋は「考古」の部屋でした。土偶とか埴輪とか石器とかが並んでる部屋ですね。
文献だけでなく、このような考古遺物でも藤原道長という人物の存在を実感できて感慨深いです。
京都国立博物館には地下鉄九条駅から市バスに乗りましたが、途中で泉涌寺の前を通ります。
この泉涌寺、晩年の清少納言がこの辺りで暮らしていたかもしれないということで、「光る君へ」紀行でも紹介された場所です(※5)。
「光る君へ」で清少納言を演じてらっしゃるファーストサマーウイカさんのインタビュー動画を見たことがあるのですが、泉涌寺の前を通る時に、「定子様!私の推しッ」と熱く語る声が自動再生されましたw
次回の光る君へは次の日曜日ですね(先週はお休みでした)。楽しみです!!!
*****
※1 『平安貴族とは何か 三つの日記で読む実像』 2023 倉本一宏 NHK出版https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000887072023.html
※2 京都国立博物館「金色に輝く藤原道長の経筒」
https://www.kyohaku.go.jp/jp/learn/home/dictio/kouko/88kiniro/
※3『増補版 藤原道長の権力と欲望 紫式部の時代』2023 文春新書 96頁
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166614233
※4 前掲書243頁
京都国立博物館 青磁水注
https://www.kyohaku.go.jp/jp/learn/home/dictio/touji/seiji/
※5 「光る君へ」紀行 第二十八回https://www.nhk.jp/p/hikarukimie/ts/1YM111N6KW/blog/bl/ppzGkv7kAZ/bp/pbGmjVlGnD/
藤原道長が娘の彰子の妊娠を願い、金峰山に詣で、そこでお経を収納して地面に埋めた経筒です。
道長の日記(「御堂関白記」)にもその様子が(万事大雑把な道長にしてはまめまめしく)書かれているそうです。
倉本一宏さん(日文研名誉教授・「光る君へ」時代考証ご担当)の『平安貴族とは何か 三つの日記で読む実像』という本に詳しいです(※1)。
その本によると、「このとき埋納された経は、元禄四年(一六九一)に山上ケ岳から出土した経筒のなかから発見されました。道長が奉納した経だとすぐに判明し、経は再度埋められ」「この経筒は近代になって再び掘り出され、その大部分は京都国立博物館に収蔵されています」とのこと。ちなみに国宝です!(※2)
その収蔵品が8月18日まで展示されているということです。
倉本一宏さんは別の本で(※3)、道長と同じ年齢と同じ日程で金峰山に登ったと述べておられます。
「なお、私は、道長と同じ四十二歳の年の八月十一日、金峯山に登った。その日も雨降りで、急峻な山道や断崖を雨をおして登った道長の執念を、すぐに実感することになったものである」
鷲生も史跡を自分の足で巡ったり、ミュージアムで実物を見たりして理解を深めようとする傾向がありますが、倉本一宏さんもまた実際に同じ旅程をこなすことで藤原道長という歴史上の人物の言動を深く理解なさっていらっしゃるのだなあと思います(偉い先生とやっていることが似ていて嬉しいですw)。
また、京都国立博物館の展示はこの経筒だけではなく、「青磁水注」もありました(※4)。これも倉本一宏さんの本で紹介されているものです!
「(道長の墓として有力視されている場所から出土した)と伝える秘色の青磁水注(高二十一・七センチ、底径八センチ、口径九・六センチ、京都国立博物館蔵)は、五代(九〇七ー九六〇)もしくは北宋時代(九六〇ー一一二七)のごく初期に、中国浙江省の越州窯で焼かれたものと考えられ」
「越州窯青磁の輸入品でも、これほどの大型品は多くなく、これを道長の骨壺であると指摘する考えもあることを付記しておく」
ほええ~。じゃあ、鷲生は道長の骨壺を見てたのかもしれないのですね!(興奮!)
これらと並んで、道長が建てた法成寺の瓦も展示されていました。
瓦には緑釉がかかっていますが、平安京で瓦に緑釉がかかっていたのは宮殿など特別な建物に限られており、しかも法成寺の瓦は重なって見えない部分にまでふんだんに緑釉がかかっていることから、道長が特別な権力を持っていたことがうかがえるそうです。
この道長の経筒などの展示、Xでは京都国立博物館のどの部屋なのかお知らせがなく、当日1階の窓口で場所を尋ねました。3階の2つ目の部屋とのことで、そこに行ってみるとその部屋は「考古」の部屋でした。土偶とか埴輪とか石器とかが並んでる部屋ですね。
文献だけでなく、このような考古遺物でも藤原道長という人物の存在を実感できて感慨深いです。
京都国立博物館には地下鉄九条駅から市バスに乗りましたが、途中で泉涌寺の前を通ります。
この泉涌寺、晩年の清少納言がこの辺りで暮らしていたかもしれないということで、「光る君へ」紀行でも紹介された場所です(※5)。
「光る君へ」で清少納言を演じてらっしゃるファーストサマーウイカさんのインタビュー動画を見たことがあるのですが、泉涌寺の前を通る時に、「定子様!私の推しッ」と熱く語る声が自動再生されましたw
次回の光る君へは次の日曜日ですね(先週はお休みでした)。楽しみです!!!
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※1 『平安貴族とは何か 三つの日記で読む実像』 2023 倉本一宏 NHK出版https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000887072023.html
※2 京都国立博物館「金色に輝く藤原道長の経筒」
https://www.kyohaku.go.jp/jp/learn/home/dictio/kouko/88kiniro/
※3『増補版 藤原道長の権力と欲望 紫式部の時代』2023 文春新書 96頁
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166614233
※4 前掲書243頁
京都国立博物館 青磁水注
https://www.kyohaku.go.jp/jp/learn/home/dictio/touji/seiji/
※5 「光る君へ」紀行 第二十八回https://www.nhk.jp/p/hikarukimie/ts/1YM111N6KW/blog/bl/ppzGkv7kAZ/bp/pbGmjVlGnD/
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