15 / 55
【和風F】【中華F】『新陰陽道叢書 古代』から、古代の天文学や若杉家文書の話など。
しおりを挟む
前回の記事でもご紹介した『新陰陽道叢書』。
2020年時点の一線級の研究者様の論文が読めるだけでなく、それまでの研究史や参考文献についても情報が豊富で有難いです(定価が9000円もするのでなければ買いたいくらいですw)
ここで、特設サイトから、『新陰陽道叢書 古代』の内容紹介を引用しておきます(
※1)。
*****
■内容目次■
第一巻 古代
総論 古代陰陽道研究の成果と課題(細井浩志)
Ⅰ 「陰陽道」概念と陰陽道の成立
「陰陽道」概念と陰陽道の成立について(細井浩志)
法師陰陽師と平安時代中期の民間呪術的職能者たち(繁田信一)
日本古代の陰陽道と神祇信仰・仏教(山口えり)
Ⅱ 占い・呪術・方違え
古代陰陽道の占いと物忌(中島和歌子)
式神の実態と説話をめぐって(山下克明)
陰陽道祭祀について(宮崎真由)
陰陽道の方違えについて(詫間直樹)
Ⅲ 陰陽道の制度
陰陽頭と「陰陽師第一者」 ―十世紀から十三世紀初頭に於ける陰陽頭の位置―(中村晃子)
陰陽道の組織と秩序(高田義人)
Ⅳ 暦・天文・漏刻
日本古代の天文知識 ―高松塚古墳・キトラ古墳の天文図―(宮島一彦)
符天暦法の復元(竹迫 忍)
日本暦法史への招待 ―宣明暦と貞享暦を中心として―(大橋由紀夫)
中国古代における天文思想(田中良明)
古代日本の漏刻と時刻制(木下正史)
Ⅴ 史料論
古代東アジアの術数書について(水口幹記)
考古資料と陰陽道(門田誠一)
******
総論からⅢまでは日本の陰陽道が中心ですが(中国の太史令などとの比較もちょこちょこ出てきますが)、Ⅳ「暦・天文・漏刻」あたりは日本だけではなく東アジアについて共通する部分が多いように思います。
日本の高松塚古墳やキトラ古墳には星図(天文図)がありますが、こういった古墳天文図は朝鮮半島や中国にもあり、論文「日本古代の天文知識」の中に、ざっとしたリストが挙げられています。
中には新疆吐魯番阿斯塔那(トルファンアスターナ)唐墓星象図なんてのも。
頑張って読んでいますが、鷲生はそもそも近代的な天文の知識も今一つあやふやなうえに中国のそれには全く不案内なので……。
参考に上がっていた別の本にトライしてみようかと思います。
大崎正次1987『中国の星座の歴史』(※2)
橋本恵三1993『中国占星術の世界』(※3)
どちらも京都府立図書館にあるのだそうで、借りに行こうかと思います。あ、ついでに『日本的時空観の形成 』(吉川真司・倉本一宏/編 2017年)も読みたいです。
ただ、ここのところ京都は毎日雨か酷暑かなので……府立図書館まで地下鉄に行くにせよ自転車で行くにせよ、ちょっと覚悟が必要ですw
一方、これらの本をネットで検索したところ、『古代の星空を読み解く キトラ古墳の天文図とアジアの星図』(中村士)という本が市立図書館にあるのが見つかりました(※4)。
まずは最寄の市立図書館でこの本をゲットするのが先かもしれません。
*****
今日は「古代東アジアの術数書について」を読んでいたら、「京都在住の若杉家(陰陽家土御門家の家司数家の一つであったという家柄)で発見された資料群」について言及がありました。
その中の「星官簿讃・日月星災異卜記」は、遡れば中国の正統的天文書の系譜を引いているとのこと(『新陰陽道叢書 古代』546頁)
これを含む若杉家の文書は京都府に寄贈され、今は「京都府立京都学・歴彩館」のWebサイト(※5)で公開されているのだそうです。
「京都府立京都学・歴彩館 京の記憶アーカイブ」https://www.archives.kyoto.jp/
このサイトで「若杉家文書 石氏簿讃」「若杉家 雑卦法」で検索すると当該の史料の画像が見られます。
「若杉家 雑卦法」で検索して出てきた6枚目の画像がこれです↓
https://www.archives.kyoto.jp/websearchpe/mediaOriginal?cls=112_komonjo_catalog&pkey=0000031103&lCls=110_media_komonjo&lPkey=0000000257
陰陽道っつーたらコレという非常に有名な画(この『新陰陽道叢書 古代』の表紙にも使われている画像)もここで見られます。
「小反閇作法」で検索して3枚目です。
https://www.archives.kyoto.jp/websearchpe/mediaDetail?cls=112_komonjo_catalog&pkey=0000031057&lCls=110_media_komonjo&lPkey=0000000121&detaillnkIdx=1
この歴彩館、鷲生もしょっちゅう利用してますし、また、鷲生がよく足を運んでいる京都府立植物園のすぐ東隣です(アジサイ園と隣接してます)。
鷲生にとってはこんなに身近な場所が中国古代と繋がっているなんて……とちょっと感慨に耽っているところです。
っつーても、文書そのものを見ていても何が書いてあるのかさっぱりわからないので(泣)、まずは先に挙げた参考本を市立図書館や府立図書館(これは歴彩館や植物園とは別のエリアにあるんですよ……)に借りに行かなくては!です。
*****
※1 新陰陽道叢書(全五巻)特設ページ|名著出版
https://sites.google.com/view/shin-onmyodo/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0
※2『中国の星座の歴史』大崎正次1987
https://www.yuzankaku.co.jp/products/detail.php?product_id=8922
※3『中国占星術の世界』橋本恵三1993
https://www.toho-shoten.co.jp/toho-web/search/detail?id=4497923703&bookType=jp
※4『古代の星空を読み解く キトラ古墳の天文うとアジアの星図』中村士 2018
https://www.utp.or.jp/book/b378014.html
※5 京都府立京都学・歴彩舘
https://rekisaikan.jp/
2020年時点の一線級の研究者様の論文が読めるだけでなく、それまでの研究史や参考文献についても情報が豊富で有難いです(定価が9000円もするのでなければ買いたいくらいですw)
ここで、特設サイトから、『新陰陽道叢書 古代』の内容紹介を引用しておきます(
※1)。
*****
■内容目次■
第一巻 古代
総論 古代陰陽道研究の成果と課題(細井浩志)
Ⅰ 「陰陽道」概念と陰陽道の成立
「陰陽道」概念と陰陽道の成立について(細井浩志)
法師陰陽師と平安時代中期の民間呪術的職能者たち(繁田信一)
日本古代の陰陽道と神祇信仰・仏教(山口えり)
Ⅱ 占い・呪術・方違え
古代陰陽道の占いと物忌(中島和歌子)
式神の実態と説話をめぐって(山下克明)
陰陽道祭祀について(宮崎真由)
陰陽道の方違えについて(詫間直樹)
Ⅲ 陰陽道の制度
陰陽頭と「陰陽師第一者」 ―十世紀から十三世紀初頭に於ける陰陽頭の位置―(中村晃子)
陰陽道の組織と秩序(高田義人)
Ⅳ 暦・天文・漏刻
日本古代の天文知識 ―高松塚古墳・キトラ古墳の天文図―(宮島一彦)
符天暦法の復元(竹迫 忍)
日本暦法史への招待 ―宣明暦と貞享暦を中心として―(大橋由紀夫)
中国古代における天文思想(田中良明)
古代日本の漏刻と時刻制(木下正史)
Ⅴ 史料論
古代東アジアの術数書について(水口幹記)
考古資料と陰陽道(門田誠一)
******
総論からⅢまでは日本の陰陽道が中心ですが(中国の太史令などとの比較もちょこちょこ出てきますが)、Ⅳ「暦・天文・漏刻」あたりは日本だけではなく東アジアについて共通する部分が多いように思います。
日本の高松塚古墳やキトラ古墳には星図(天文図)がありますが、こういった古墳天文図は朝鮮半島や中国にもあり、論文「日本古代の天文知識」の中に、ざっとしたリストが挙げられています。
中には新疆吐魯番阿斯塔那(トルファンアスターナ)唐墓星象図なんてのも。
頑張って読んでいますが、鷲生はそもそも近代的な天文の知識も今一つあやふやなうえに中国のそれには全く不案内なので……。
参考に上がっていた別の本にトライしてみようかと思います。
大崎正次1987『中国の星座の歴史』(※2)
橋本恵三1993『中国占星術の世界』(※3)
どちらも京都府立図書館にあるのだそうで、借りに行こうかと思います。あ、ついでに『日本的時空観の形成 』(吉川真司・倉本一宏/編 2017年)も読みたいです。
ただ、ここのところ京都は毎日雨か酷暑かなので……府立図書館まで地下鉄に行くにせよ自転車で行くにせよ、ちょっと覚悟が必要ですw
一方、これらの本をネットで検索したところ、『古代の星空を読み解く キトラ古墳の天文図とアジアの星図』(中村士)という本が市立図書館にあるのが見つかりました(※4)。
まずは最寄の市立図書館でこの本をゲットするのが先かもしれません。
*****
今日は「古代東アジアの術数書について」を読んでいたら、「京都在住の若杉家(陰陽家土御門家の家司数家の一つであったという家柄)で発見された資料群」について言及がありました。
その中の「星官簿讃・日月星災異卜記」は、遡れば中国の正統的天文書の系譜を引いているとのこと(『新陰陽道叢書 古代』546頁)
これを含む若杉家の文書は京都府に寄贈され、今は「京都府立京都学・歴彩館」のWebサイト(※5)で公開されているのだそうです。
「京都府立京都学・歴彩館 京の記憶アーカイブ」https://www.archives.kyoto.jp/
このサイトで「若杉家文書 石氏簿讃」「若杉家 雑卦法」で検索すると当該の史料の画像が見られます。
「若杉家 雑卦法」で検索して出てきた6枚目の画像がこれです↓
https://www.archives.kyoto.jp/websearchpe/mediaOriginal?cls=112_komonjo_catalog&pkey=0000031103&lCls=110_media_komonjo&lPkey=0000000257
陰陽道っつーたらコレという非常に有名な画(この『新陰陽道叢書 古代』の表紙にも使われている画像)もここで見られます。
「小反閇作法」で検索して3枚目です。
https://www.archives.kyoto.jp/websearchpe/mediaDetail?cls=112_komonjo_catalog&pkey=0000031057&lCls=110_media_komonjo&lPkey=0000000121&detaillnkIdx=1
この歴彩館、鷲生もしょっちゅう利用してますし、また、鷲生がよく足を運んでいる京都府立植物園のすぐ東隣です(アジサイ園と隣接してます)。
鷲生にとってはこんなに身近な場所が中国古代と繋がっているなんて……とちょっと感慨に耽っているところです。
っつーても、文書そのものを見ていても何が書いてあるのかさっぱりわからないので(泣)、まずは先に挙げた参考本を市立図書館や府立図書館(これは歴彩館や植物園とは別のエリアにあるんですよ……)に借りに行かなくては!です。
*****
※1 新陰陽道叢書(全五巻)特設ページ|名著出版
https://sites.google.com/view/shin-onmyodo/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0
※2『中国の星座の歴史』大崎正次1987
https://www.yuzankaku.co.jp/products/detail.php?product_id=8922
※3『中国占星術の世界』橋本恵三1993
https://www.toho-shoten.co.jp/toho-web/search/detail?id=4497923703&bookType=jp
※4『古代の星空を読み解く キトラ古墳の天文うとアジアの星図』中村士 2018
https://www.utp.or.jp/book/b378014.html
※5 京都府立京都学・歴彩舘
https://rekisaikan.jp/
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説


ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる