京都に住んで和風ファンタジー(時には中華風)の取材などする日記

washusatomi

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晴耕雨読・最近は平安時代関係の本を読んでます。

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 例年よりもかなり遅かったものの、京都も梅雨に入りました。

 ここ2,3日は晴天(暑い!)ですが、しばらく雨が続いた日に、鷲生はせっせと読書にいそしんでおりました。

 ちょっと前から、次の平安ファンタジー小説を書くにあたってネタ探しをするため今昔物語集関連の本を読んでいたのですが(芥川龍之介みたいですねw)。
 最近になって、そこから「陰陽師」関係の本に手を出すようになりました。

 鷲生は平安ファンタジーを書いていますが、過去作に陰陽師は登場させませんでした。
 まあ、別に登場させる必要がなかったからというのが主な理由なのですが。
 それに加え、陰陽師を取り上げるのにビビっていたというのも理由です。

 何にビビっていたかというと、平安時代をモチーフにしたファンタジー小説を書くなら、自分の作品に出すかどうかはともかく、ブームとなった「陰陽師」について把握しておかねばと思い、夢枕獏さんの小説と岡野玲子さんの漫画を読んだのです。
 で。凄いなあ……と。陰陽師を取り上げるなら膨大な量の知識がいるのだなあ……とビビってしまっていたのです。

 特に岡野玲子さんの漫画はかなりオカルト面に踏み込んでいるので……鷲生はファンタジー小説が好きで、都市伝説なんかも面白がって見聞きしますが、あそこまでガチなのは引いてしまうのです……。

 というわけで、今まで陰陽師関連は避けて通ってきたのですが。
 今昔物語集に出てくる怪異の在り方が興味深かったのと、今年の2024年大河ドラマの「光る君へ」にでてくる安倍晴明のキャラが鷲生には程よくとっつきやすいのとで、鷲生もちょっとは陰陽師について知ってみようかなという気になったのです。

 まずは 、 山下克明さんの「陰陽道の発見」(※1)を読了。
 歴史学から見た陰陽道についての知見がコンパクトにまとまった良書だと思います。

 それから、『新陰陽道叢書 古代』(※2)を途中まで読んでいるところです。

 この『新陰陽道叢書』は多数の一線級の研究者様がたの論文が収まれており、この本だけでも勉強になりますが、それだけでなく、過去の研究についての言及もたくさんあって、これに目を通せば先行研究も辿っていきやすいお役立ち本だと思います。

 陰陽道という一種の宗教が社会的に共有されていた史実の研究は、時間や空間などについての当時の世界観を知ることでもあり、古代の人々の心性についても考察が広がっていく題材です。
 特に陰陽師を登場させるわけでなくても、古代史を小説の題材に扱うのなら、この本を見て参考になりそうな先行研究を探してみるのもいいのではないかと思います。

 というか、鷲生がこの本の途中で紹介されていた本に寄り道しているところです。

 三宅和朗さんの『時間の古代史 霊魂の夜、秩序の昼』(※3)です。

 手に取るまでは古代の十二時辰についての本かなと思っていたのですが、日本に漏刻に基づく十二時辰が導入されるより以前の時間間隔についての内容の方が多かったですね(漏刻以後も後ろの三分の一あたりから取り上げられています)。

「日本霊異記」などを挙げながら、当時の夜は視覚に頼ることができず、聴覚などで怪異と対峙していたことが指摘されます。

 鷲生は、この本の「夜についての解説」が割と小説の参考になる気がしました。
 現代社会では、ガス灯や電気照明が全く無かった時代を想像することがむずかしいと思います。

 男の方でアウトドアが好きなら、どこかの山の中で実体験できるかもしれませんが……。
 鷲生は女性で別にアウトドアが好きなわけでも、好きな知人もいないので……。
 それに。鷲生は結構なオバハンなんですが、若い人みたいなカジュアルな服装で人気のない夜道を歩いていたら(広大なお寺の境内)、ちょっと痴漢っぽい人に付きまとわれて気味の悪い思いをしましたし。
 だから鷲生が平安ファンタジーの夜の世界を体験(夜に明かりのない場所にお出かけ)するのは困難です。

 ですから、この本みたいに「古代の人にとって夜はどのようなものであったか」を解説して下さるのが助かるのです。

 こうして『新陰陽道叢書』とそこで紹介されていた本を読みつつ、他にも吉川弘文館の人物叢書の『藤原彰子』(※3)を読み、今は『一条天皇』(※4)を読んでます。

 大河ドラマ「光る君へ」では、先週、見上愛さんが彰子役で初登場でしたね。

 定子と比べると大人しい性格だったそうで、ドラマの「光る君へ」でも、父の道長に何を言われても「仰せのままに……」と無気力に応えるお人形のようなお姫様といった感じでした(見上愛さんは全く違う役柄を演じたこともおありだそうで、無気力お姫様をとても上手く演じられているのでしょう)。

 ところが。
 吉川弘文館人物叢書『藤原彰子』を執筆した服藤早苗さんもおっしゃるとおり、彰子は若い頃はともかく、夫や父の亡き後、天皇家・藤原家の家長として大きな役割を果たします。

 鷲生も、次回作のキャラにこういった成長ぶりを反映したいと思って読みました。

 また、『一条天皇』の執筆者は倉本一宏さん。「光る君へ」の時代考証の先生です。

 この方のお書きになったこの本の「彰子入内」はまさに「光る君へ」の最新話のあたりですから、ワクワクしながら読みました~。

 残念ながら今週末は「光る君へ」の放送はありません(東京都知事選の番組をやるそうです)。

(私は別に東京都に住んでいるわけではないので)来週の「光る君へ」の放送が待ち遠しいです。

 あ、今週末平安ドラマが無くて寂しいとお思いの方。

 ぜひぜひ、鷲生の書いた平安ファンタジー小説でもご覧になってみてくださいませ!
 女東宮とその存在を喜ばない勢力との政争、女東宮をお守りする女武人と癖あるイケメン近衛大将の恋、それから元野盗と高貴な姫君の身分差の恋もご好評いただいておりますよ~。

「錦濤宮物語 女武人ノ宮仕ヘ或ハ近衛大将ノ大詐術」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/161111112/665799598

 *****

 ※1 『陰陽道の発見』
 https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000911592010.html

 ※2 『新陰陽道叢書』
 https://sites.google.com/view/shin-onmyodo#h.u3rbpp8r3ma

 ※3 『時間の古代史 霊魂の夜、秩序の昼』
 https://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b67922.html

 ※4 『藤原彰子』
 https://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b451559.html

 ※5 『一条天皇』
 https://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b33582.html
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