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第2話 ロマンスでたどる中国史『皇帝と皇后から見る中国の歴史』
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前回は『古代中国と中華風の創作事典』をご紹介しました。
とてもいい本ですが、後宮や女性についての情報が少なく、「全体に男性向けかなあ」という印象を受けると述べました。
今回は、「後宮ドラマを書きたい人にはこちらが向いているかも」という本をご紹介します。
『中国時代劇がさらに楽しくなる! 皇帝と皇后から見る中国の歴史』(菊池 昌彦 著、 関 眞興監修 辰巳出版 2021)です。
2022年11月現在、定価で手に入ります(1320円)。
もともとは、中国時代劇が好きな人向けです。
出版社の紹介文から引用します。
” 本書は、堅い中国史の本ではなく、中国時代劇で中国史に興味を持った方たちに向けた一冊です。ドラマに出てくる皇帝と皇后たちの愛と運命、中国の歴代王朝の成立から崩壊、当時の生活様式や社会制度などを分かりやすく紹介していきます。 ”
(スミマセン、URLはここではあげられません。サイトから購入できてしまうのです。以前カクヨムでネット書店のURLを貼ったときに注意されてしまったことがありました。ですので、今回も貼らないようにします。タイトルなどから各自ご検索ください)
表紙を捲って目次の次にすぐに始まる「Ⅰ これは必見!中国時代劇10選」は、有名中国ドラマの紹介なので、興味が無ければ読み飛ばしていいと思います。
私はドラマを見る習慣がないので、全く中国時代劇を見たことがありません。
ただ、活字を目で追うのが好きなので、なんとなくこの章も読みました。
ドラマ未見でも、ドラマに興味が無くても、読みやすいし面白かったですよ。
「Ⅱ」は「サクッと分かる中国4000年の王朝史」です。
この部分は、前回取り上げた『古代中国と中華風の創作事典』と似ていますね。
好みによるかと思いますが、段組みは1段のこちらの方が読み易いです(あちらは2段組でした)。
あと、適宜地図などの資料がこまめに挟まっており、分かりやすいですね。
「Ⅲ」も「Ⅰ」同様、この本らしいといいますか。
「Ⅲ 中国歴代王朝 皇帝・皇后たちの真実」というタイトルです。
ページ数から見てもメインの内容と言えるでしょう。
有名どころでは……。
「紂王と妲己」「項羽と虞美人」「高宗と武則天」「玄宗と楊貴妃」などなど。
小見出しもキャッチーなので、「どんな女性なんだろう?」と興味が惹かれます。
例えば「王亡き後キングメーカーとなった宣太后」「武帝を名君にも暴君にも変えた皇妃たち」「嫉妬深い皇后に代え憧れのマドンナを皇后に」「流浪の末に謀反に巻き込まれながらも二人の皇后を愛す」などなど……。
↑それぞれどんな皇帝と妻だったのかは本書でご覧くださいね。
私が興味を覚えるのは「抜群の政治力で北魏を担った文成文明皇后」あたりでしょうか。
また「時には慎み深く、時には勇敢に戦う建国の王妃」にもそそられますね~。
女性が歴史に名を残すのは「美しかった」からという理由が定番ですが、外見だけでなく賢さや強さについても言及されている方が人間らしくて読んでて面白いですよね。
多面的な情報を得られた方が、より立体感を持ってイメージできるので、「よし、創作するなら、この人物を深堀りしてみようか!」というヤル気もでます。
こうして中国歴史のヒロインを一覧できる本は(私が知る限り)あまりありません。
私も中華後宮モノを書こうかと思って中国史などの資料をあたっていますが、ちゃんとした資料にあたればあたるほど、女性キャラを知る機会が遠ざかっていく……。。
政治経済なんかはどうしても歴史的には男性が動かしていましたから……。
女性に特化した専門書でもない限り(例えば『大唐帝国の女性たち』とかですね)、
女性の人物が取り上げられても、男性の偉人に「その美貌で愛された」という登場の仕方がほとんどです。
例外として、最初にして最後の女帝になった武則天=則天武后がいるくらいでしょうか……。
ここで紹介している本でもそういう傾向はありますが、取り上げている女性たちの数が多いためか、美貌以外のそれぞれの女性達の特徴について記述にバラエティがあります。
(出てくる女性出てくる女性を全て「美しかった」の一言で済ませてしまうと、差異化できず、この本が成り立ちませんw)
女性が複数出てくる内容の小説を書きたい人、特に中華後宮モノを書きたい人に参考になると思います。
この辺りは、純粋な歴史学とドラマで、日本史なんかでも同じことが言えるんじゃないでしょうかね……。
例えば、日本史で例を挙げると……。
戦国時代から徳川の江戸幕府にかけて、豊臣秀吉の刀狩りによる兵農分離や、幕藩体制の確立といったことの方が歴史学的に重大なトピックだとしても。
織田信長の美貌の姉妹の「お市の方」の悲劇的な生涯、同じく美貌を受け継いだ「淀君」の波乱に満ちた人生、姉の影に隠れがちでも最後は高い地位に昇った「お江の方」、豊臣と徳川の両家を結んでいた「千姫」、秀吉の糟糠の妻「ねね」……などなどのストーリーの方がドラマですよね。
そこから既存のイメージを膨らませるもよし。別の解釈をぶつけるもよし。
史実に近ければ「歴史・伝奇」ジャンルにしてもよし。題材にするだけでぐっと大胆にアレンジするなら歴史ファンタジーにしてもよし。
今、「既存のイメージ」と述べましたが。
私たちは物心つく頃から、例えばNHKの大河ドラマや歴史漫画などでおおまかなイメージはついているんですよね(悪く言えば「先入観」ですがw)。
どんな創作にも、それに先立つ創作があります。
中国のロマンスものを書くなら、中国のロマンスの先達を知るのも有用なことでしょう。
この点からも、今回ご紹介している「中国時代劇がさらに楽しくなる! 皇帝皇后から見る中国の歴史」はとーっても役に立つんですよ!
中国時代劇の有名どころを「1」で紹介してくれますし、「Ⅲ」でも中国社会で歴史上の人物がどうイメージされているかも紹介してくれています。
(日本史の上で言えば、淀君に「勝気」「驕慢」というイメージが既にあるという感じでしょうか)。
さて。この本の最後の「Ⅳ」は「図解で解き明かす中国歴代王朝の文化」です。
これも前回ご紹介した『古代中国と中華風の創作事典』と内容がかぶります。
分量はこちらが少ないのですが……。
やはり「ドラマ」鑑賞に役立つように話題がセレクトされているように思います。
この本で取り上げられているドラマが大体「宮廷もの」なので、宮廷ドラマ・ロマンス・後宮モノを書きたい人は、分量が少なくとも、求めていた内容がピンポイントで手に入りやすいのではないかと思います。
かくいう私(鷲生智美)も中華後宮モノを書きたいと思っているので、この本は購入予定です。
蛍光マーカーとか塗りたい箇所がいくつもあるのでw
あ。ちゃんと堅めの中国史などの資料本も読んでますから、今後ご紹介してまいります。
どうか今後ともお読みいただければ幸いです。
*****
2024年7月日追記
中華ファンタジー「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」の投稿を始めました!
是非お越し下さいませ!
「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」https://www.alphapolis.co.jp/novel/161111112/878803039
とてもいい本ですが、後宮や女性についての情報が少なく、「全体に男性向けかなあ」という印象を受けると述べました。
今回は、「後宮ドラマを書きたい人にはこちらが向いているかも」という本をご紹介します。
『中国時代劇がさらに楽しくなる! 皇帝と皇后から見る中国の歴史』(菊池 昌彦 著、 関 眞興監修 辰巳出版 2021)です。
2022年11月現在、定価で手に入ります(1320円)。
もともとは、中国時代劇が好きな人向けです。
出版社の紹介文から引用します。
” 本書は、堅い中国史の本ではなく、中国時代劇で中国史に興味を持った方たちに向けた一冊です。ドラマに出てくる皇帝と皇后たちの愛と運命、中国の歴代王朝の成立から崩壊、当時の生活様式や社会制度などを分かりやすく紹介していきます。 ”
(スミマセン、URLはここではあげられません。サイトから購入できてしまうのです。以前カクヨムでネット書店のURLを貼ったときに注意されてしまったことがありました。ですので、今回も貼らないようにします。タイトルなどから各自ご検索ください)
表紙を捲って目次の次にすぐに始まる「Ⅰ これは必見!中国時代劇10選」は、有名中国ドラマの紹介なので、興味が無ければ読み飛ばしていいと思います。
私はドラマを見る習慣がないので、全く中国時代劇を見たことがありません。
ただ、活字を目で追うのが好きなので、なんとなくこの章も読みました。
ドラマ未見でも、ドラマに興味が無くても、読みやすいし面白かったですよ。
「Ⅱ」は「サクッと分かる中国4000年の王朝史」です。
この部分は、前回取り上げた『古代中国と中華風の創作事典』と似ていますね。
好みによるかと思いますが、段組みは1段のこちらの方が読み易いです(あちらは2段組でした)。
あと、適宜地図などの資料がこまめに挟まっており、分かりやすいですね。
「Ⅲ」も「Ⅰ」同様、この本らしいといいますか。
「Ⅲ 中国歴代王朝 皇帝・皇后たちの真実」というタイトルです。
ページ数から見てもメインの内容と言えるでしょう。
有名どころでは……。
「紂王と妲己」「項羽と虞美人」「高宗と武則天」「玄宗と楊貴妃」などなど。
小見出しもキャッチーなので、「どんな女性なんだろう?」と興味が惹かれます。
例えば「王亡き後キングメーカーとなった宣太后」「武帝を名君にも暴君にも変えた皇妃たち」「嫉妬深い皇后に代え憧れのマドンナを皇后に」「流浪の末に謀反に巻き込まれながらも二人の皇后を愛す」などなど……。
↑それぞれどんな皇帝と妻だったのかは本書でご覧くださいね。
私が興味を覚えるのは「抜群の政治力で北魏を担った文成文明皇后」あたりでしょうか。
また「時には慎み深く、時には勇敢に戦う建国の王妃」にもそそられますね~。
女性が歴史に名を残すのは「美しかった」からという理由が定番ですが、外見だけでなく賢さや強さについても言及されている方が人間らしくて読んでて面白いですよね。
多面的な情報を得られた方が、より立体感を持ってイメージできるので、「よし、創作するなら、この人物を深堀りしてみようか!」というヤル気もでます。
こうして中国歴史のヒロインを一覧できる本は(私が知る限り)あまりありません。
私も中華後宮モノを書こうかと思って中国史などの資料をあたっていますが、ちゃんとした資料にあたればあたるほど、女性キャラを知る機会が遠ざかっていく……。。
政治経済なんかはどうしても歴史的には男性が動かしていましたから……。
女性に特化した専門書でもない限り(例えば『大唐帝国の女性たち』とかですね)、
女性の人物が取り上げられても、男性の偉人に「その美貌で愛された」という登場の仕方がほとんどです。
例外として、最初にして最後の女帝になった武則天=則天武后がいるくらいでしょうか……。
ここで紹介している本でもそういう傾向はありますが、取り上げている女性たちの数が多いためか、美貌以外のそれぞれの女性達の特徴について記述にバラエティがあります。
(出てくる女性出てくる女性を全て「美しかった」の一言で済ませてしまうと、差異化できず、この本が成り立ちませんw)
女性が複数出てくる内容の小説を書きたい人、特に中華後宮モノを書きたい人に参考になると思います。
この辺りは、純粋な歴史学とドラマで、日本史なんかでも同じことが言えるんじゃないでしょうかね……。
例えば、日本史で例を挙げると……。
戦国時代から徳川の江戸幕府にかけて、豊臣秀吉の刀狩りによる兵農分離や、幕藩体制の確立といったことの方が歴史学的に重大なトピックだとしても。
織田信長の美貌の姉妹の「お市の方」の悲劇的な生涯、同じく美貌を受け継いだ「淀君」の波乱に満ちた人生、姉の影に隠れがちでも最後は高い地位に昇った「お江の方」、豊臣と徳川の両家を結んでいた「千姫」、秀吉の糟糠の妻「ねね」……などなどのストーリーの方がドラマですよね。
そこから既存のイメージを膨らませるもよし。別の解釈をぶつけるもよし。
史実に近ければ「歴史・伝奇」ジャンルにしてもよし。題材にするだけでぐっと大胆にアレンジするなら歴史ファンタジーにしてもよし。
今、「既存のイメージ」と述べましたが。
私たちは物心つく頃から、例えばNHKの大河ドラマや歴史漫画などでおおまかなイメージはついているんですよね(悪く言えば「先入観」ですがw)。
どんな創作にも、それに先立つ創作があります。
中国のロマンスものを書くなら、中国のロマンスの先達を知るのも有用なことでしょう。
この点からも、今回ご紹介している「中国時代劇がさらに楽しくなる! 皇帝皇后から見る中国の歴史」はとーっても役に立つんですよ!
中国時代劇の有名どころを「1」で紹介してくれますし、「Ⅲ」でも中国社会で歴史上の人物がどうイメージされているかも紹介してくれています。
(日本史の上で言えば、淀君に「勝気」「驕慢」というイメージが既にあるという感じでしょうか)。
さて。この本の最後の「Ⅳ」は「図解で解き明かす中国歴代王朝の文化」です。
これも前回ご紹介した『古代中国と中華風の創作事典』と内容がかぶります。
分量はこちらが少ないのですが……。
やはり「ドラマ」鑑賞に役立つように話題がセレクトされているように思います。
この本で取り上げられているドラマが大体「宮廷もの」なので、宮廷ドラマ・ロマンス・後宮モノを書きたい人は、分量が少なくとも、求めていた内容がピンポイントで手に入りやすいのではないかと思います。
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どうか今後ともお読みいただければ幸いです。
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2024年7月日追記
中華ファンタジー「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」の投稿を始めました!
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