5 / 69
ブライアン
5 地獄の始まり
しおりを挟む騙された?
「シャル、早く逃げろ…こいつと戦うのは無謀だ。」
倒れたオルクスが言う。
「逃げるのも無謀ですよ。」
銃口をこちらに向けるプロフェート。
ヨシュカである俺の力ならば、倒せる気がする。しかし、あのオルクスがこうして倒れている事はオルクスの言葉を裏付けていた。その上銃があっては下手に動けない。つまり、プロフェートから逃げる事も不可能だ。
オルクスの血は止まらない。いつの間にかhpが表示されている。この空間は謎だが、プロフェートが作ったというのなら仕様も自由自在なのだろう。オルクスは死ぬのか?今はあまりその事が気にならなかった。俺を助けてくれたけど、その命が今危ないのだから仕方ない。
自分の力を信じて戦うか?
オルクスの言葉を信じて逃げるか?
俺にはその選択が出来そうにない。
俺に関わった人は皆死んでいく。それならもういっそ、ここで終わらせようか?でも、俺にはそんな勇気も無い。
「お二人とも、さようなら。」
プロフェートが引き金に指を掛けた。
【剣士・メッサー『正義の剣』】
「…死ね。」
プロフェートの少年が、首から鮮血を撒き散らしながら倒れた。上から落ちてきたのは、ユスティーツだった。
「ユスティー…ツ…どうしてここに。」
「あ!シャルさん!…と、オルクス。」
彼は血がこびりついた顔で無邪気に笑った。笑顔のまま剣を少年に突き刺す。何度も何度も、狂ったように突き刺した。汚い音と共に血が広がっていく。
「大丈夫ぅ?二人とも。こんな所で何してたのぉ?」
「フェイ…!」
すると、オルクスが身を起こした。
「本体がいない…逃げたぞ。」
言われてみれば、ユスティーツが来た時から見当たらない。話しているのは少年の方だったから、つい忘れてしまっていた。
「紅糸を付けるよう、イデー嬢には頼んでおいたけど。」
「駄目だ。糸を切られた…絶対に防げない、あの紅糸を。」
ヴイッツに、イデー。これでヨシュカは全員揃ってしまった。
「シュピッツが教えてくれたんだ!シャルさん達がどこかに行く所を見たって!」
シュピッツが?あった覚えはない。どこかで見られていたのだろうか。それとも、ミスィオーンが見てシュピッツに報告したのだろうか。
「二人だけで正義のヒーローになるのは狡いよ!オレもヴェルトを救う!」
「状況は最悪だよ、オル君。シュティレ嬢が亡くなって…君も重症だ。ここから出る方法すら分からない。」
ヴイッツはオルクスに近付くと、綺麗な紫色の瓶を差し出した。
「シュティレ嬢の遺体から回収した。…回復薬だ、瀕死でも助かる程の強力な物。」
オルクスはそれを奪い取る様に受け取ると、一気に飲み干した。すぐに効果が出たのか立ち上がる。
「僕の推測では、あのヒビを壊せばどうにかなる気がする。違う?」
俺は慌てて答える。
「そ…そうです、何故かオルクスがあれを攻撃して…」
「オル君。」
見事にスルーされると、ヴィッツはオルクスを見詰めた。
「ヒビを壊すのは説明を聞いた後だ。…君は何を知っている?」
「シャル、早く逃げろ…こいつと戦うのは無謀だ。」
倒れたオルクスが言う。
「逃げるのも無謀ですよ。」
銃口をこちらに向けるプロフェート。
ヨシュカである俺の力ならば、倒せる気がする。しかし、あのオルクスがこうして倒れている事はオルクスの言葉を裏付けていた。その上銃があっては下手に動けない。つまり、プロフェートから逃げる事も不可能だ。
オルクスの血は止まらない。いつの間にかhpが表示されている。この空間は謎だが、プロフェートが作ったというのなら仕様も自由自在なのだろう。オルクスは死ぬのか?今はあまりその事が気にならなかった。俺を助けてくれたけど、その命が今危ないのだから仕方ない。
自分の力を信じて戦うか?
オルクスの言葉を信じて逃げるか?
俺にはその選択が出来そうにない。
俺に関わった人は皆死んでいく。それならもういっそ、ここで終わらせようか?でも、俺にはそんな勇気も無い。
「お二人とも、さようなら。」
プロフェートが引き金に指を掛けた。
【剣士・メッサー『正義の剣』】
「…死ね。」
プロフェートの少年が、首から鮮血を撒き散らしながら倒れた。上から落ちてきたのは、ユスティーツだった。
「ユスティー…ツ…どうしてここに。」
「あ!シャルさん!…と、オルクス。」
彼は血がこびりついた顔で無邪気に笑った。笑顔のまま剣を少年に突き刺す。何度も何度も、狂ったように突き刺した。汚い音と共に血が広がっていく。
「大丈夫ぅ?二人とも。こんな所で何してたのぉ?」
「フェイ…!」
すると、オルクスが身を起こした。
「本体がいない…逃げたぞ。」
言われてみれば、ユスティーツが来た時から見当たらない。話しているのは少年の方だったから、つい忘れてしまっていた。
「紅糸を付けるよう、イデー嬢には頼んでおいたけど。」
「駄目だ。糸を切られた…絶対に防げない、あの紅糸を。」
ヴイッツに、イデー。これでヨシュカは全員揃ってしまった。
「シュピッツが教えてくれたんだ!シャルさん達がどこかに行く所を見たって!」
シュピッツが?あった覚えはない。どこかで見られていたのだろうか。それとも、ミスィオーンが見てシュピッツに報告したのだろうか。
「二人だけで正義のヒーローになるのは狡いよ!オレもヴェルトを救う!」
「状況は最悪だよ、オル君。シュティレ嬢が亡くなって…君も重症だ。ここから出る方法すら分からない。」
ヴイッツはオルクスに近付くと、綺麗な紫色の瓶を差し出した。
「シュティレ嬢の遺体から回収した。…回復薬だ、瀕死でも助かる程の強力な物。」
オルクスはそれを奪い取る様に受け取ると、一気に飲み干した。すぐに効果が出たのか立ち上がる。
「僕の推測では、あのヒビを壊せばどうにかなる気がする。違う?」
俺は慌てて答える。
「そ…そうです、何故かオルクスがあれを攻撃して…」
「オル君。」
見事にスルーされると、ヴィッツはオルクスを見詰めた。
「ヒビを壊すのは説明を聞いた後だ。…君は何を知っている?」
90
お気に入りに追加
215
あなたにおすすめの小説

なにをおっしゃいますやら
基本二度寝
恋愛
本日、五年通った学び舎を卒業する。
エリクシア侯爵令嬢は、己をエスコートする男を見上げた。
微笑んで見せれば、男は目線を逸らす。
エブリシアは苦笑した。
今日までなのだから。
今日、エブリシアは婚約解消する事が決まっているのだから。

彼が愛した王女はもういない
黒猫子猫(猫子猫)
恋愛
シュリは子供の頃からずっと、年上のカイゼルに片想いをしてきた。彼はいつも優しく、まるで宝物のように大切にしてくれた。ただ、シュリの想いには応えてくれず、「もう少し大きくなったらな」と、はぐらかした。月日は流れ、シュリは大人になった。ようやく彼と結ばれる身体になれたと喜んだのも束の間、騎士になっていた彼は護衛を務めていた王女に恋をしていた。シュリは胸を痛めたが、彼の幸せを優先しようと、何も言わずに去る事に決めた。
どちらも叶わない恋をした――はずだった。
※関連作がありますが、これのみで読めます。
※全11話です。
【完結】捨ててください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。
でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。
分かっている。
貴方は私の事を愛していない。
私は貴方の側にいるだけで良かったのに。
貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。
もういいの。
ありがとう貴方。
もう私の事は、、、
捨ててください。
続編投稿しました。
初回完結6月25日
第2回目完結7月18日

【完結】え、別れましょう?
須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」
「は?え?別れましょう?」
何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。
ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?
だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。
※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。
ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる