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 早速フフル様の背中に乗ってゲートに向かおうと思ったのですが、エディ様に止められました。魔獣に乗っていくなんてダメらしいです。馬車で向かうか、エディ様に乗せられて馬で行くしかないと言われました。

「馬が良くて、フフル様がダメなんて横暴だ!」

 ラビさんが必死に抗議しました。2本の尻尾をブルンブルンと振り回しています。しかしエディ様には言葉が通じないのでニコニコしながら

「この子は何を言ってるんだろうね。可愛らしくキュイキュイ言ってるけど」

と、のほほんとおっしゃいました。グレン様もラビさんの尻尾を器用に避けながら

「こうして見てみると、可愛い動物だな」

などとおっしゃっています。

    エディ様たちにはラビさんの言葉は全てキュイキュイと聞こえるらしいです。ラビさんも散々文句を言ったのですが、やはりキュイキュイとしか聞こえていないようなので

「人間はバカだ」

と言った後は黙ってしまいました。諦めて寝ることにしたみたいで、その場にゴロンと横たわりました。

    その姿を見て、エディ様、グレン様はニコニコ笑っています。言葉がわかる私からしたら、かわいそうやらおかしいやらで複雑な気持ちになりました。

「とりあえずはお昼を食べることにしよう。ゲートに向かうにも父上の許可が必要だからね」

 ちょっと行って幕を張ってすぐ帰ればいいのだし、私は簡単にすむと思っていました。ですが、万が一でもインディアル側から攻撃があった場合に備えて、万全の体制にするとのことなのです。護衛の人を選抜したり、いつ行くかなど色々考えなくてはいけないと言われました。

「護衛など必要はない。我に任せれば」

 今度はフフル様が言ったのですが無駄でした。フフル様の言葉は、エディ様にはガウガウとしか聞こえないそうなのです。色々難しいものです。

    仕方がないのでお昼を食べに戻ることにしました。ゲートに行くのは何日か後になりそうです。

    お昼のために違うドレスに着替えます。エディ様をお待たせできないので、私は薄いピンク色のドレスを選びました。このドレスが1番簡単に着られることを私は以前試着した時に気づいたのでした。

    お城で生活することは大変なことが多いです。私は気軽にあちこちに出かけて幕を張ったり、具合の悪い人を治したりしたいのですが、インディアルの状況が落ち着かないと危険だからダメだと言われました。

    もういらないと追い出されたのですから今さら危害を加えることはないと思うのですが、そんなことはないとアンディ様もエディ様もおっしゃいます。

 リズさんはドレスを見ると私を少し見つめました。私はにっこり笑います。リズさんはため息をつきながら「ヘアスタイルは時間をかけます」と小さくつぶやいたのでした。




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