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    しばらくしてエディ様とフフル様の光が消えました。

『アリス、我はまた成長したようだ』

「成長するってどういうことですか」

 私は聞いてみました。

『今までできなかったことができるようになるということだ』
「では何ができるようになったのですか」
『ふむ』

 フフル様は少し考えるように首を傾げました。その姿はとても可愛らしいオオカミ、というより大型犬の様子です。

『今まで聞こえなかった遠くの声が聞こえたり、遠くの仲間と話ができたりする』
『僕たちの話は人間みたいに声に出したりするんじゃないからね』

 なるほど、それは便利ですね。私は魔獣って凄いなと感心していましたが、ではエディ様はどうなるのでしょうか。何故エディ様も白く光ったのでしょうか。

『その者はアリスの魔力を通して、我の力が入ってしまったのだ』

 え?フフル様の力?魔獣の力が入ったらエディ様はどうなってしまうのでしょうか。

「アリス。俺の魔力がすごい上がったみたいなんだけど」

 エディ様を見ると、確かに魔力が上がっています。体から溢れ出そうになっているのが見えました。

『人間は剣という武器を使うのだろう。剣に魔力を流して魔物に対峙すると魔物はすぐに消滅するだろう』

 私はフフル様の話をエディ様に伝えました。エディ様は驚いていましたが、すぐににっこりと笑いました。

「それじゃ、魔獣征伐はうまくいきそうだね」

 その言葉を聞いて私も安心しました。でもすぐにエディ様が厳しい顔になります。

「アリス。俺のいうことを聞くって言ったのに言いつけを破ったね」

 あぁ、そうでした。咄嗟にグレン様を見たら、グレン様に目を逸らされてしまいました。

「後でお説教だね」

 あくまでもエディ様は笑顔でした。紳士的な態度です。その様子が何故だか怖いとも思いました。

『魔獣征伐に行くのか。では手合わせしてやろう』

 フフル様がエディ様に向かいました。それを伝えるとエディ様も剣を手にします。剣が魔力を宿していくのがわかります。

 その瞬間、フフル様がエディ様に飛びかかりました。エディ様が剣を構えると、フフル様が動きを止めます。

『すごい、あの剣。あれのせいでフフル様が動けなくなっている』

 ラビさんの言葉に私が剣を見ると、剣からは不思議な魔力が出ていてフフル様の体を包んでいるのがわかりました。フフル様は金縛りにあったように身動きができなくなっていると思います。

 しばらくそうしていたら、エディ様は剣を下ろしました。フフル様も動けるようになったのか大きく伸びをしました。

「これなら征伐もうまくいく」

    エディ様が興奮したように手のひらを見つめていました。

「アリス、ありがとう」

   エディ様にお礼を言われ、私は嬉しくなりました。魔獣の魔力を入れてしまうなんてひどい話です。エディ様に嫌われなくて良かったと思いました。ついでに、このままお説教のことを忘れてくれるといいなと思ったのですが

「お説教は別だからね」

と、しっかり言われてしまったのでした。
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