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「やはり、魔獣征伐に私も参加させてください」

 私は夕食の席で陛下に直接お願いしました。困ったような顔をして陛下は私を見ましたが、気にしません。

「わかった」

 陛下は一言小さくでしたが、そう了承してくださいました。

「その代わり、エディの言うことはちゃんと聞くこと。グレンのそばから離れないこと。何かするときは必ず説明をして承諾されてからすること。きちんと守れるか?」

 ずいぶんいろいろ言われました。子どものおでかけのような感じもしますが、仕方がありません。相手は魔獣です。私のせいで他の方が怪我をしたりしたら大変です。いくら私が治療できるとはいえ、怪我をした人は痛いし怖い思いをします。

「わかりました、エディ様のおっしゃることは絶対服従します。グレン様のお側を片時も離れません」

 私は誓います。何なら手をあげて宣誓してもいいくらいです。

「そこまで決意しなくてもいいけど」

 小声でアンディ様がおっしゃいますが、それを制するようにエディ様がアンディ様に笑顔を向けました。

「アリス、今日から俺に服従ね」
「嫌なことは嫌と言っていいからね」

 アンディ様が慌てたように私におっしゃいます。ですが、エディ様の言うことは従わなければ魔獣征伐に同行できません。

 魔獣は人間の力を遥かに超えた存在です。なぜ魔獣が存在するかはわかりませんが、人間が生きていく上で魔獣の存在が害であるなら多少なりとも征伐する必要があります。魔獣たちも必要以上に増えてしまうと逆に害になると聖女様に聞いたことがありました。増えすぎた魔獣たちがお互いを殺し合うのは大変な激闘で、人間が巻き込まれることもあるそうです。そうならないためにも魔獣征伐は必要なのだと言われました。

「早速明日から必要最低限でも準備をしよう」

 今回の魔獣征伐は50人の専門部隊の人が参加するそうです。足手まといにならないように私にできることはしないといけません。

「女性は1人になってしまうからね。リズを連れて行くわけにいかないし」

 私のお世話は必要ありません。ずっと自分のことは自分でしていました。料理だって掃除だって洗濯だってやっていました。問題ありません。

 私は胸を張って言いました。自分のできることをアピールしないと、きっと何もできない子だと思われています。

「そう言ったことじゃないんだけど」
「逆に心配になってきた」
「グレンを信じて大丈夫?」

 皇后様が言うと、アンディ様もエディ様も目が大きくなりました。

「確かに」
「ずっと小さい時から見ていたけど、あの子は女性の扱いが上手いのよね。アリスちゃんも懐いているし」
「俺たちは王族だから女性に対して一歩引いてしまうのをいいことに、あいつは横から掻っ攫うんだよな」

 何だかグレン様の悪口が始まってしまいました。

「エディ、グレンに取られないようにね」
「グレンを信用していないわけじゃないけど、アリスちゃんは素直な子だし」
「グレンに言われれば、もしかして・・・」

 グレン様はそんなに悪い人ではないと思うのですが、今度はグレン様に注意をするようにお達しを受けました。どうしたらいいのでしょうか。
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