35 / 62
35
しおりを挟む
「やはり、魔獣征伐に私も参加させてください」
私は夕食の席で陛下に直接お願いしました。困ったような顔をして陛下は私を見ましたが、気にしません。
「わかった」
陛下は一言小さくでしたが、そう了承してくださいました。
「その代わり、エディの言うことはちゃんと聞くこと。グレンのそばから離れないこと。何かするときは必ず説明をして承諾されてからすること。きちんと守れるか?」
ずいぶんいろいろ言われました。子どものおでかけのような感じもしますが、仕方がありません。相手は魔獣です。私のせいで他の方が怪我をしたりしたら大変です。いくら私が治療できるとはいえ、怪我をした人は痛いし怖い思いをします。
「わかりました、エディ様のおっしゃることは絶対服従します。グレン様のお側を片時も離れません」
私は誓います。何なら手をあげて宣誓してもいいくらいです。
「そこまで決意しなくてもいいけど」
小声でアンディ様がおっしゃいますが、それを制するようにエディ様がアンディ様に笑顔を向けました。
「アリス、今日から俺に服従ね」
「嫌なことは嫌と言っていいからね」
アンディ様が慌てたように私におっしゃいます。ですが、エディ様の言うことは従わなければ魔獣征伐に同行できません。
魔獣は人間の力を遥かに超えた存在です。なぜ魔獣が存在するかはわかりませんが、人間が生きていく上で魔獣の存在が害であるなら多少なりとも征伐する必要があります。魔獣たちも必要以上に増えてしまうと逆に害になると聖女様に聞いたことがありました。増えすぎた魔獣たちがお互いを殺し合うのは大変な激闘で、人間が巻き込まれることもあるそうです。そうならないためにも魔獣征伐は必要なのだと言われました。
「早速明日から必要最低限でも準備をしよう」
今回の魔獣征伐は50人の専門部隊の人が参加するそうです。足手まといにならないように私にできることはしないといけません。
「女性は1人になってしまうからね。リズを連れて行くわけにいかないし」
私のお世話は必要ありません。ずっと自分のことは自分でしていました。料理だって掃除だって洗濯だってやっていました。問題ありません。
私は胸を張って言いました。自分のできることをアピールしないと、きっと何もできない子だと思われています。
「そう言ったことじゃないんだけど」
「逆に心配になってきた」
「グレンを信じて大丈夫?」
皇后様が言うと、アンディ様もエディ様も目が大きくなりました。
「確かに」
「ずっと小さい時から見ていたけど、あの子は女性の扱いが上手いのよね。アリスちゃんも懐いているし」
「俺たちは王族だから女性に対して一歩引いてしまうのをいいことに、あいつは横から掻っ攫うんだよな」
何だかグレン様の悪口が始まってしまいました。
「エディ、グレンに取られないようにね」
「グレンを信用していないわけじゃないけど、アリスちゃんは素直な子だし」
「グレンに言われれば、もしかして・・・」
グレン様はそんなに悪い人ではないと思うのですが、今度はグレン様に注意をするようにお達しを受けました。どうしたらいいのでしょうか。
私は夕食の席で陛下に直接お願いしました。困ったような顔をして陛下は私を見ましたが、気にしません。
「わかった」
陛下は一言小さくでしたが、そう了承してくださいました。
「その代わり、エディの言うことはちゃんと聞くこと。グレンのそばから離れないこと。何かするときは必ず説明をして承諾されてからすること。きちんと守れるか?」
ずいぶんいろいろ言われました。子どものおでかけのような感じもしますが、仕方がありません。相手は魔獣です。私のせいで他の方が怪我をしたりしたら大変です。いくら私が治療できるとはいえ、怪我をした人は痛いし怖い思いをします。
「わかりました、エディ様のおっしゃることは絶対服従します。グレン様のお側を片時も離れません」
私は誓います。何なら手をあげて宣誓してもいいくらいです。
「そこまで決意しなくてもいいけど」
小声でアンディ様がおっしゃいますが、それを制するようにエディ様がアンディ様に笑顔を向けました。
「アリス、今日から俺に服従ね」
「嫌なことは嫌と言っていいからね」
アンディ様が慌てたように私におっしゃいます。ですが、エディ様の言うことは従わなければ魔獣征伐に同行できません。
魔獣は人間の力を遥かに超えた存在です。なぜ魔獣が存在するかはわかりませんが、人間が生きていく上で魔獣の存在が害であるなら多少なりとも征伐する必要があります。魔獣たちも必要以上に増えてしまうと逆に害になると聖女様に聞いたことがありました。増えすぎた魔獣たちがお互いを殺し合うのは大変な激闘で、人間が巻き込まれることもあるそうです。そうならないためにも魔獣征伐は必要なのだと言われました。
「早速明日から必要最低限でも準備をしよう」
今回の魔獣征伐は50人の専門部隊の人が参加するそうです。足手まといにならないように私にできることはしないといけません。
「女性は1人になってしまうからね。リズを連れて行くわけにいかないし」
私のお世話は必要ありません。ずっと自分のことは自分でしていました。料理だって掃除だって洗濯だってやっていました。問題ありません。
私は胸を張って言いました。自分のできることをアピールしないと、きっと何もできない子だと思われています。
「そう言ったことじゃないんだけど」
「逆に心配になってきた」
「グレンを信じて大丈夫?」
皇后様が言うと、アンディ様もエディ様も目が大きくなりました。
「確かに」
「ずっと小さい時から見ていたけど、あの子は女性の扱いが上手いのよね。アリスちゃんも懐いているし」
「俺たちは王族だから女性に対して一歩引いてしまうのをいいことに、あいつは横から掻っ攫うんだよな」
何だかグレン様の悪口が始まってしまいました。
「エディ、グレンに取られないようにね」
「グレンを信用していないわけじゃないけど、アリスちゃんは素直な子だし」
「グレンに言われれば、もしかして・・・」
グレン様はそんなに悪い人ではないと思うのですが、今度はグレン様に注意をするようにお達しを受けました。どうしたらいいのでしょうか。
11
お気に入りに追加
181
あなたにおすすめの小説
【完結】家族から虐げられていた私、実は世界で唯一精霊を操れる治癒精霊術師でした〜王都で癒しの聖女と呼ばれ、聖騎士団長様に溺愛されています〜
津ヶ谷
恋愛
「アリーセ、お前を男爵家から勘当する!」
理不尽に厳しい家系に生まれたアリーセは常に虐げられて来た。
身内からの暴力や暴言は絶えることが無かった。
そして16歳の誕生日にアリーセは男爵家を勘当された。
アリーセは思った。
「これでようやく好きな様に生きられる!」
アリーセには特別な力があった。
癒しの力が人より強かったのだ。
そして、聖騎士ダイス・エステールと出会い、なぜか溺愛されて行く。
ずっと勉強してきた医学の知識と治癒力で、世界の医療技術を革命的に進歩させる。
これは虐げられてきた令嬢が医学と治癒魔法で人々を救い、幸せになる物語。
今さら帰ってこいなんて言われても。~森に移住した追放聖女は快適で優雅に暮らす~
ケンノジ
ファンタジー
「もうお前は要らない女だ!」
聖女として国に奉仕し続けてきたシルヴィは、第一王子ヴィンセントに婚約破棄と国外追放を言い渡される。
その理由は、シルヴィより強い力を持つ公爵家のご令嬢が現れたからだという。
ヴィンセントは態度を一変させシルヴィを蔑んだ。
王子で婚約者だから、と態度も物言いも目に余るすべてに耐えてきたが、シルヴィは我慢の限界に達した。
「では、そう仰るならそう致しましょう」
だが、真の聖女不在の国に一大事が起きるとは誰も知るよしもなかった……。
言われた通り国外に追放されたシルヴィは、聖女の力を駆使し、
森の奥で出会った魔物や動物たちと静かで快適な移住生活を送りはじめる。
これは虐げられた聖女が移住先の森の奥で楽しく幸せな生活を送る物語。
妹が真の聖女だったので、偽りの聖女である私は追放されました。でも、聖女の役目はものすごく退屈だったので、最高に嬉しいです【完結】
小平ニコ
ファンタジー
「お姉様、よくも私から夢を奪ってくれたわね。絶対に許さない」
私の妹――シャノーラはそう言うと、計略を巡らし、私から聖女の座を奪った。……でも、私は最高に良い気分だった。だって私、もともと聖女なんかになりたくなかったから。
退職金を貰い、大喜びで国を出た私は、『真の聖女』として国を守る立場になったシャノーラのことを思った。……あの子、聖女になって、一日の休みもなく国を守るのがどれだけ大変なことか、ちゃんと分かってるのかしら?
案の定、シャノーラはよく理解していなかった。
聖女として役目を果たしていくのが、とてつもなく困難な道であることを……
神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>
ラララキヲ
ファンタジー
フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。
それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。
彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。
そしてフライアルド聖国の歴史は動く。
『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……
神「プンスコ(`3´)」
!!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!!
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇ちょっと【恋愛】もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
婚約破棄され、聖女を騙った罪で国外追放されました。家族も同罪だから家も取り潰すと言われたので、領民と一緒に国から出ていきます。
SHEILA
ファンタジー
ベイリンガル侯爵家唯一の姫として生まれたエレノア・ベイリンガルは、前世の記憶を持つ転生者で、侯爵領はエレノアの転生知識チートで、とんでもないことになっていた。
そんなエレノアには、本人も家族も嫌々ながら、国から強制的に婚約を結ばされた婚約者がいた。
国内で領地を持つすべての貴族が王城に集まる「豊穣の宴」の席で、エレノアは婚約者である第一王子のゲイルに、異世界から転移してきた聖女との真実の愛を見つけたからと、婚約破棄を言い渡される。
ゲイルはエレノアを聖女を騙る詐欺師だと糾弾し、エレノアには国外追放を、ベイリンガル侯爵家にはお家取り潰しを言い渡した。
お読みいただき、ありがとうございます。
追放聖女。自由気ままに生きていく ~聖魔法?そんなの知らないのです!~
夕姫
ファンタジー
「アリーゼ=ホーリーロック。お前をカトリーナ教会の聖女の任務から破門にする。話しは以上だ。荷物をまとめてここから立ち去れこの「異端の魔女」が!」
カトリーナ教会の聖女として在籍していたアリーゼは聖女の証である「聖痕」と言う身体のどこかに刻まれている痣がなくなり、聖魔法が使えなくなってしまう。
それを同じカトリーナ教会の聖女マルセナにオイゲン大司教に密告されることで、「異端の魔女」扱いを受け教会から破門にされてしまった。そう聖魔法が使えない聖女など「いらん」と。
でもアリーゼはめげなかった。逆にそんな小さな教会の聖女ではなく、逆に世界を旅して世界の聖女になればいいのだと。そして自分を追い出したこと後悔させてやる。聖魔法?そんなの知らないのです!と。
そんなアリーゼは誰よりも「本」で培った知識が豊富だった。自分の意識の中に「世界書庫」と呼ばれる今まで読んだ本の内容を記憶する能力があり、その知識を生かし、時には人類の叡知と呼ばれる崇高な知識、熟練冒険者のようなサバイバル知識、子供が知っているような知識、そして間違った知識など……旅先の人々を助けながら冒険をしていく。そうこれは世界中の人々を助ける存在の『聖女』になるための物語。
※追放物なので多少『ざまぁ』要素はありますが、W主人公なのでタグはありません。
※基本はアリーゼ様のほのぼの旅がメインです。
※追放側のマルセナsideもよろしくです。
【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。
藍生蕗
恋愛
かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。
そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……
偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。
※ 設定は甘めです
※ 他のサイトにも投稿しています
私をこき使って「役立たず!」と理不尽に国を追放した王子に馬鹿にした《聖女》の力で復讐したいと思います。
水垣するめ
ファンタジー
アメリア・ガーデンは《聖女》としての激務をこなす日々を過ごしていた。
ある日突然国王が倒れ、クロード・ベルト皇太子が権力を握る事になる。
翌日王宮へ行くと皇太子からいきなり「お前はクビだ!」と宣告された。
アメリアは聖女の必要性を必死に訴えるが、皇太子は聞く耳を持たずに解雇して国から追放する。
追放されるアメリアを馬鹿にして笑う皇太子。
しかし皇太子は知らなかった。
聖女がどれほどこの国に貢献していたのか。どれだけの人を癒やしていたのか。どれほど魔物の力を弱体化させていたのかを……。
散々こき使っておいて「役立たず」として解雇されたアメリアは、聖女の力を使い国に対して復讐しようと決意する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる