24 / 62
24
しおりを挟む
夕飯を国王ご一家と頂くと聞いて、私はかなり動揺しました。朝食はアンディ様、昼食はエディ様、おやつは皇后様。王族の人とずっと食事をしています。できれば私は部屋の片隅でパンでも齧っていたいのです。今まで他人と接した経験はかなり前になります。孤児院で生活していた時まで遡ってしまうのです。今さら、他人と生活するのは苦痛に感じる時もあります。
しかし、慣れない環境をなんとか整えてくれようと皆様は尽力して下さっています。それがわかるので、私も何も言うことができません。
夕食のためのドレスに着替えます。めんどくさい、などと思ってはいけません。せっかくのお食事なのにお腹がキツくて入らなくても恨んではいけないのです。
「アリスは明日は何をするの?」
エディ様に聞かれて私は顔を上げました。ちょうど海老をどのようにナイフとフォークで切り分ければいいか格闘している最中でした。
「できればポーションの研究をしたいと思っています」
私は思っていたことを言いました。私の魔力を注げばそれなりの何かができるようです。魔力消費もできるし、必要ないいものができるのであれば一石二鳥というもの。私は有意義な目的ができて喜んでいます。できれば海老も簡単にナイフとフォークで解体されるともっと喜んでしまいます。
「ということは、また研究所に来ると言うことだね」
アンディ様がなぜだか嬉しいそうに言います。
「アリスは魔獣征伐のためにポーションの研究をしようとしてくれているのです」
エディ様もなぜだか張り切っています。このご兄弟のことはよくわかりませんが、やはりどこか張り合うものがあるのかもしれません。兄弟のいない私にはよくわかりませんが、そういうものだとどこかで聞いた気がします。
「出来上がったポーションに魔力を流せば上級ポーションになりました。どんな魔力を流せばいいのか調べたいと思うのですが」
「わかった、では明日も朝食は一緒に取ろう。今朝の場所で。明日の朝迎えに行くよ」
アンディ様に言われ、今朝の場所がどこか全くわからないので、迎えは嬉しいなと思います。
「そもそも、魔獣征伐ではどのようなポーションが必要なのでしょうか」
エディ様の方を向くと、エディ様はにっこりと笑いました。その後どういうわけだかアンディ様の方を見て、ニヤっと笑います。何かの合図でしょうか。
「そうだな。まずは回復系、魔力と体力。それから治癒もできるものがいいかな」
「水からではできませんか?」
私の問いにエディ様は喉を詰まらせました。ちょうどお肉を召し上がっていたところでした。
「ゲホ、ゴホン」
エディ様は水を飲まれると私に向かって尋ねました。
「水から?」
「はい、こうやって」
私はコップに入っていた水に魔力を流しました。
「魔力回復にしてみました」
恐る恐るという感じでエディ様が私の差し出したコップを手にしました。どうやら鑑定しているようです。
「・・・できてる」
「何と!」
遠くで陛下がおっしゃっています。テーブルが広いので陛下の場所は少し遠い位置なのです。
「アリス。明日は私と仕事をしよう」
叫ぶように陛下がおっしゃっています。遠いので聞こえるように話そうとなると少し大声で言わないとよく聞こえないのでした。
「ずるい!」
アンディ様とエディ様が同時にお話になりました。明日は陛下とお仕事のようです。
しかし、慣れない環境をなんとか整えてくれようと皆様は尽力して下さっています。それがわかるので、私も何も言うことができません。
夕食のためのドレスに着替えます。めんどくさい、などと思ってはいけません。せっかくのお食事なのにお腹がキツくて入らなくても恨んではいけないのです。
「アリスは明日は何をするの?」
エディ様に聞かれて私は顔を上げました。ちょうど海老をどのようにナイフとフォークで切り分ければいいか格闘している最中でした。
「できればポーションの研究をしたいと思っています」
私は思っていたことを言いました。私の魔力を注げばそれなりの何かができるようです。魔力消費もできるし、必要ないいものができるのであれば一石二鳥というもの。私は有意義な目的ができて喜んでいます。できれば海老も簡単にナイフとフォークで解体されるともっと喜んでしまいます。
「ということは、また研究所に来ると言うことだね」
アンディ様がなぜだか嬉しいそうに言います。
「アリスは魔獣征伐のためにポーションの研究をしようとしてくれているのです」
エディ様もなぜだか張り切っています。このご兄弟のことはよくわかりませんが、やはりどこか張り合うものがあるのかもしれません。兄弟のいない私にはよくわかりませんが、そういうものだとどこかで聞いた気がします。
「出来上がったポーションに魔力を流せば上級ポーションになりました。どんな魔力を流せばいいのか調べたいと思うのですが」
「わかった、では明日も朝食は一緒に取ろう。今朝の場所で。明日の朝迎えに行くよ」
アンディ様に言われ、今朝の場所がどこか全くわからないので、迎えは嬉しいなと思います。
「そもそも、魔獣征伐ではどのようなポーションが必要なのでしょうか」
エディ様の方を向くと、エディ様はにっこりと笑いました。その後どういうわけだかアンディ様の方を見て、ニヤっと笑います。何かの合図でしょうか。
「そうだな。まずは回復系、魔力と体力。それから治癒もできるものがいいかな」
「水からではできませんか?」
私の問いにエディ様は喉を詰まらせました。ちょうどお肉を召し上がっていたところでした。
「ゲホ、ゴホン」
エディ様は水を飲まれると私に向かって尋ねました。
「水から?」
「はい、こうやって」
私はコップに入っていた水に魔力を流しました。
「魔力回復にしてみました」
恐る恐るという感じでエディ様が私の差し出したコップを手にしました。どうやら鑑定しているようです。
「・・・できてる」
「何と!」
遠くで陛下がおっしゃっています。テーブルが広いので陛下の場所は少し遠い位置なのです。
「アリス。明日は私と仕事をしよう」
叫ぶように陛下がおっしゃっています。遠いので聞こえるように話そうとなると少し大声で言わないとよく聞こえないのでした。
「ずるい!」
アンディ様とエディ様が同時にお話になりました。明日は陛下とお仕事のようです。
11
お気に入りに追加
181
あなたにおすすめの小説
偽物の女神と陥れられ国を追われることになった聖女が、ざまぁのために虎視眈々と策略を練りながら、辺境の地でゆったり楽しく領地開拓ライフ!!
銀灰
ファンタジー
生まれたときからこの身に宿した聖女の力をもって、私はこの国を守り続けてきた。
人々は、私を女神の代理と呼ぶ。
だが――ふとした拍子に転落する様は、ただの人間と何も変わらないようだ。
ある日、私は悪女ルイーンの陰謀に陥れられ、偽物の女神という烙印を押されて国を追いやられることとなった。
……まあ、いいんだがな。
私が困ることではないのだから。
しかしせっかくだ、辺境の地を切り開いて、のんびりゆったりとするか。
今まで、そういった機会もなかったしな。
……だが、そうだな。
陥れられたこの借りは、返すことにするか。
女神などと呼ばれてはいるが、私も一人の人間だ。
企みの一つも、考えてみたりするさ。
さて、どうなるか――。
聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~
白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。
王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。
彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。
#表紙絵は、もふ様に描いていただきました。
#エブリスタにて連載しました。
聖女は魔女の濡れ衣を被せられ、魔女裁判に掛けられる。が、しかし──
naturalsoft
ファンタジー
聖女シオンはヒーリング聖王国に遥か昔から仕えて、聖女を輩出しているセイント伯爵家の当代の聖女である。
昔から政治には関与せず、国の結界を張り、周辺地域へ祈りの巡礼を日々行っていた。
そんな中、聖女を擁護するはずの教会から魔女裁判を宣告されたのだった。
そこには教会が腐敗し、邪魔になった聖女を退けて、教会の用意した従順な女を聖女にさせようと画策したのがきっかけだった。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
今さら帰ってこいなんて言われても。~森に移住した追放聖女は快適で優雅に暮らす~
ケンノジ
ファンタジー
「もうお前は要らない女だ!」
聖女として国に奉仕し続けてきたシルヴィは、第一王子ヴィンセントに婚約破棄と国外追放を言い渡される。
その理由は、シルヴィより強い力を持つ公爵家のご令嬢が現れたからだという。
ヴィンセントは態度を一変させシルヴィを蔑んだ。
王子で婚約者だから、と態度も物言いも目に余るすべてに耐えてきたが、シルヴィは我慢の限界に達した。
「では、そう仰るならそう致しましょう」
だが、真の聖女不在の国に一大事が起きるとは誰も知るよしもなかった……。
言われた通り国外に追放されたシルヴィは、聖女の力を駆使し、
森の奥で出会った魔物や動物たちと静かで快適な移住生活を送りはじめる。
これは虐げられた聖女が移住先の森の奥で楽しく幸せな生活を送る物語。
【完結】人々に魔女と呼ばれていた私が実は聖女でした。聖女様治療して下さい?誰がんな事すっかバーカ!
隣のカキ
ファンタジー
私は魔法が使える。そのせいで故郷の村では魔女と迫害され、悲しい思いをたくさんした。でも、村を出てからは聖女となり活躍しています。私の唯一の味方であったお母さん。またすぐに会いに行きますからね。あと村人、テメぇらはブッ叩く。
※三章からバトル多めです。
聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています
聖女の紋章 転生?少女は女神の加護と前世の知識で無双する わたしは聖女ではありません。公爵令嬢です!
幸之丞
ファンタジー
2023/11/22~11/23 女性向けホットランキング1位
2023/11/24 10:00 ファンタジーランキング1位 ありがとうございます。
「うわ~ 私を捨てないでー!」
声を出して私を捨てようとする父さんに叫ぼうとしました・・・
でも私は意識がはっきりしているけれど、体はまだ、生れて1週間くらいしか経っていないので
「ばぶ ばぶうう ばぶ だああ」
くらいにしか聞こえていないのね?
と思っていたけど ササッと 捨てられてしまいました~
誰か拾って~
私は、陽菜。数ヶ月前まで、日本で女子高生をしていました。
将来の為に良い大学に入学しようと塾にいっています。
塾の帰り道、車の事故に巻き込まれて、気づいてみたら何故か新しいお母さんのお腹の中。隣には姉妹もいる。そう双子なの。
私達が生まれたその後、私は魔力が少ないから、伯爵の娘として恥ずかしいとかで、捨てられた・・・
↑ここ冒頭
けれども、公爵家に拾われた。ああ 良かった・・・
そしてこれから私は捨てられないように、前世の記憶を使って知識チートで家族のため、公爵領にする人のために領地を豊かにします。
「この子ちょっとおかしいこと言ってるぞ」 と言われても、必殺 「女神様のお告げです。昨夜夢にでてきました」で大丈夫。
だって私には、愛と豊穣の女神様に愛されている証、聖女の紋章があるのです。
この物語は、魔法と剣の世界で主人公のエルーシアは魔法チートと知識チートで領地を豊かにするためにスライムや古竜と仲良くなって、お力をちょっと借りたりもします。
果たして、エルーシアは捨てられた本当の理由を知ることが出来るのか?
さあ! 物語が始まります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる