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リズさんの後についていき、綺麗なお城の最上階のお部屋に入りました。ここで私は生活するそうです。正直びっくりするくらいに豪華なお部屋で、私はドキドキしています。
「お着替えなさいますか?」
別のドアをスッと開けると、そこにはたくさんのドレスがずらっと並んでいました。
「皇后様がご用意されたお召し物です」
皇后様が?と思うと何も言えません。こんなにたくさんのドレス、一生かかっても着られないかと思います。
「あの、楽なお洋服ないですか。こんなピラピラとかフワフワがついていないような」
「ピラピラやフワフワですか?」
リズさんは首を傾げながら、ドレスを見ていきます。私の意見が言えるなら、リズさんが来ているメイドさんのワンピースが着たいです。が、皇后様がご用意されたドレスの文句を言うわけにいきません。
結局、あまり装飾のない地味めなドレスに着替えました。少しだけホッとしました。
「どうぞ、おくつろぎください」
リズさんにそう言われましたが、今までずっと儀式をして生活してきたので大人しく座っていることが耐えられません。そこでリズさんにも魔力を流すことにしました。
「えっ?私はそんな」
遠慮するリズさんの手を少しだけ強引に握ります。
「あっ」
リズさんの顔が穏やかになっていきます。おそらく皇后陛下のご命令で私のお世話をすることになったので、非常に緊張されていたと思います。私なんかに緊張する必要はそもそもないのですが、そういうわけにはいかないのでしょう。
「凄い力ですね」
リズさんはそう言って息を吐きました。肩の力が抜けたみたいです。
「そう言ってもらえたら嬉しいです」
インディアルにいた頃、必死に儀式を続けてきました。私の仕事は意義があると思っていたし、インディアルで幕を張り続けないと大変なことになると思っていました。しかし、追い出された今、本当に幕は必要だったのか疑問に感じるようになったのです。私のやってきたことは本当に意味のあることだったのか。
確かに魔力を感じる人は大勢います。しかし感じない人も大勢いるのです。アジャール殿下のように何も感じない人ばかりなら、やはり私が幕を張る意味はないでしょう。それなら私が追い出されるのは仕方がないことと言えます。彼にとって、幕は必要のないものだからです。
そう思うとこの国で色々な人に出会えて、私の力の意味を感じてもらえるなら幸せです。私はもっと自分の力を有意義に使いたいと思いました。
「お着替えなさいますか?」
別のドアをスッと開けると、そこにはたくさんのドレスがずらっと並んでいました。
「皇后様がご用意されたお召し物です」
皇后様が?と思うと何も言えません。こんなにたくさんのドレス、一生かかっても着られないかと思います。
「あの、楽なお洋服ないですか。こんなピラピラとかフワフワがついていないような」
「ピラピラやフワフワですか?」
リズさんは首を傾げながら、ドレスを見ていきます。私の意見が言えるなら、リズさんが来ているメイドさんのワンピースが着たいです。が、皇后様がご用意されたドレスの文句を言うわけにいきません。
結局、あまり装飾のない地味めなドレスに着替えました。少しだけホッとしました。
「どうぞ、おくつろぎください」
リズさんにそう言われましたが、今までずっと儀式をして生活してきたので大人しく座っていることが耐えられません。そこでリズさんにも魔力を流すことにしました。
「えっ?私はそんな」
遠慮するリズさんの手を少しだけ強引に握ります。
「あっ」
リズさんの顔が穏やかになっていきます。おそらく皇后陛下のご命令で私のお世話をすることになったので、非常に緊張されていたと思います。私なんかに緊張する必要はそもそもないのですが、そういうわけにはいかないのでしょう。
「凄い力ですね」
リズさんはそう言って息を吐きました。肩の力が抜けたみたいです。
「そう言ってもらえたら嬉しいです」
インディアルにいた頃、必死に儀式を続けてきました。私の仕事は意義があると思っていたし、インディアルで幕を張り続けないと大変なことになると思っていました。しかし、追い出された今、本当に幕は必要だったのか疑問に感じるようになったのです。私のやってきたことは本当に意味のあることだったのか。
確かに魔力を感じる人は大勢います。しかし感じない人も大勢いるのです。アジャール殿下のように何も感じない人ばかりなら、やはり私が幕を張る意味はないでしょう。それなら私が追い出されるのは仕方がないことと言えます。彼にとって、幕は必要のないものだからです。
そう思うとこの国で色々な人に出会えて、私の力の意味を感じてもらえるなら幸せです。私はもっと自分の力を有意義に使いたいと思いました。
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