3 / 62
3
しおりを挟む
父上がようやく逝ってくれた。床に伏してから2週間。長かった。
口うるさい父上が死に、ようやく自分の時代がやってきた。まずは聖女を追い出さなくては。
代々我が国では聖女に祈らせてきた。天女の加護を持つという聖女に国を守らせるそうだが、そんな迷信を誰が信じると言うのだ。聖女のお陰で魔物の被害がないというが、我が国の立地上、魔物が出にくいだけなのだ。
それを分からず有難がって「祈りの間」なんて建物を建ててやるから、図に乗るバカが出てくるのだ。
近隣諸国からは「聖女の秘密を教えて下さい」など半笑いで聞いてくる。父上は他国からバカにされてることに気づいていなかったのだ。
祈りの間は壊して、何か別の建物を建てよう。いい場所だから、自分専用のゲストルームはどうだろう。専用ベッドルーム、と言ってやれば女たちは喜んでドレスを脱ぐだろうな。
バカ聖女はレートレースにでも追放すればいい。あの国はなかなか厳しい国だ。ちょっと女を酒に酔わせただけで、厳重注意をされた。
バカ聖女は世間知らずだ。5歳から聖女だとその気にさせて、父上はろくな教育もさせなかったからな。きっと字も読めないに違いない。いっそレートレースで犯罪者にでもなって投獄されればいい。
最初は詐欺罪にでもして投獄してやろうかと思ったが、父上の側近が反対するであろう。あいつらは昔から居座ってるだけあって腹黒い。次代の国王である俺に対しても口うるさかった。あいつらと話すだけ時間の無駄というものだ。
これから我がインディアル王国は最先端の国になろう。流行は我が国から。公爵令嬢のマリアンヌにモデルをやらせようか。そうすると伯爵令嬢のサーニャが黙っていないだろうか。それなら誰がモデルをやるか、競わせてみるのもいいだろう。
国王は一夫多妻にしよう。国王の相手は20歳までにして、婚姻制度は廃止してもいいな。いっそ国中の女は、まずは国王の俺に身を捧げることにしたらどうだろうか。
俺は国王だから、どんな夢も叶うはずだ。明日からは忙しくなるぞ。
△▲△▲△▲△▲△▲△▲
「アジャール」
俺が国の未来に思いを馳せていると、母上が部屋に来た。
「宰相はどうするのですか」
分かっている。母上はお気に入りのハイマスを宰相にしたいのだ。父上がハイマスを嫌っていたのは知っている。ハイマスができる男だから嫉妬していたのだろう。
「ハイマスはいかがでしょうか?」
俺がそう言ってやると、母上はニンマリと笑う。
「そうですね、ハイマスは適任です」
そうして、俺と母上は大臣を決めていく。今までと全く違う人事になるが、俺が国王になるのだ。以前と同じであってはならない。新しいインディアル王国になるためには、新しい人事が必要なのだ。
口うるさい父上が死に、ようやく自分の時代がやってきた。まずは聖女を追い出さなくては。
代々我が国では聖女に祈らせてきた。天女の加護を持つという聖女に国を守らせるそうだが、そんな迷信を誰が信じると言うのだ。聖女のお陰で魔物の被害がないというが、我が国の立地上、魔物が出にくいだけなのだ。
それを分からず有難がって「祈りの間」なんて建物を建ててやるから、図に乗るバカが出てくるのだ。
近隣諸国からは「聖女の秘密を教えて下さい」など半笑いで聞いてくる。父上は他国からバカにされてることに気づいていなかったのだ。
祈りの間は壊して、何か別の建物を建てよう。いい場所だから、自分専用のゲストルームはどうだろう。専用ベッドルーム、と言ってやれば女たちは喜んでドレスを脱ぐだろうな。
バカ聖女はレートレースにでも追放すればいい。あの国はなかなか厳しい国だ。ちょっと女を酒に酔わせただけで、厳重注意をされた。
バカ聖女は世間知らずだ。5歳から聖女だとその気にさせて、父上はろくな教育もさせなかったからな。きっと字も読めないに違いない。いっそレートレースで犯罪者にでもなって投獄されればいい。
最初は詐欺罪にでもして投獄してやろうかと思ったが、父上の側近が反対するであろう。あいつらは昔から居座ってるだけあって腹黒い。次代の国王である俺に対しても口うるさかった。あいつらと話すだけ時間の無駄というものだ。
これから我がインディアル王国は最先端の国になろう。流行は我が国から。公爵令嬢のマリアンヌにモデルをやらせようか。そうすると伯爵令嬢のサーニャが黙っていないだろうか。それなら誰がモデルをやるか、競わせてみるのもいいだろう。
国王は一夫多妻にしよう。国王の相手は20歳までにして、婚姻制度は廃止してもいいな。いっそ国中の女は、まずは国王の俺に身を捧げることにしたらどうだろうか。
俺は国王だから、どんな夢も叶うはずだ。明日からは忙しくなるぞ。
△▲△▲△▲△▲△▲△▲
「アジャール」
俺が国の未来に思いを馳せていると、母上が部屋に来た。
「宰相はどうするのですか」
分かっている。母上はお気に入りのハイマスを宰相にしたいのだ。父上がハイマスを嫌っていたのは知っている。ハイマスができる男だから嫉妬していたのだろう。
「ハイマスはいかがでしょうか?」
俺がそう言ってやると、母上はニンマリと笑う。
「そうですね、ハイマスは適任です」
そうして、俺と母上は大臣を決めていく。今までと全く違う人事になるが、俺が国王になるのだ。以前と同じであってはならない。新しいインディアル王国になるためには、新しい人事が必要なのだ。
13
お気に入りに追加
184
あなたにおすすめの小説
ラウリーは夢を見ない
ひづき
ファンタジー
公爵家に生まれたラウリーは失敗作だと両親に評価された。
ラウリーの婚約者は男爵家の跡取り息子で、不良物件を押し付けられたとご立腹。お前に使わせる金は一切ないと言う。
父である公爵は、ラウリーの婚約者の言い分を汲んで清貧を覚えさせるためにラウリーへの予算を半分に削れと言い出した。
「───お嬢様を餓死でもさせるおつもりですか?」
ないものを削れだなんて無理難題、大変ね。と、ラウリーは他人事である。
私をこき使って「役立たず!」と理不尽に国を追放した王子に馬鹿にした《聖女》の力で復讐したいと思います。
水垣するめ
ファンタジー
アメリア・ガーデンは《聖女》としての激務をこなす日々を過ごしていた。
ある日突然国王が倒れ、クロード・ベルト皇太子が権力を握る事になる。
翌日王宮へ行くと皇太子からいきなり「お前はクビだ!」と宣告された。
アメリアは聖女の必要性を必死に訴えるが、皇太子は聞く耳を持たずに解雇して国から追放する。
追放されるアメリアを馬鹿にして笑う皇太子。
しかし皇太子は知らなかった。
聖女がどれほどこの国に貢献していたのか。どれだけの人を癒やしていたのか。どれほど魔物の力を弱体化させていたのかを……。
散々こき使っておいて「役立たず」として解雇されたアメリアは、聖女の力を使い国に対して復讐しようと決意する。
一人暮らしのおばさん薬師を黒髪の青年は崇めたてる
朝山みどり
ファンタジー
冤罪で辺境に追放された元聖女。のんびりまったり平和に暮らしていたが、過去が彼女の生活を壊そうとしてきた。
彼女を慕う青年はこっそり彼女を守り続ける。
聖女なんて御免です
章槻雅希
ファンタジー
「聖女様」
「聖女ではありません! 回復術師ですわ!!」
辺境の地ではそんな会話が繰り返されている。治癒・回復術師のアルセリナは聖女と呼ばれるたびに否定し訂正する。そう、何度も何十度も何百度も何千度も。
聖女断罪ものを読んでて思いついた小ネタ。
軽度のざまぁというか、自業自得の没落があります。
『小説家になろう』様・『Pixiv』様に重複投稿。
聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>
ラララキヲ
ファンタジー
フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。
それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。
彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。
そしてフライアルド聖国の歴史は動く。
『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……
神「プンスコ(`3´)」
!!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!!
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇ちょっと【恋愛】もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる