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しおりを挟む王立の寄宿学校。決して学費は安くない。うちの収入で支払えるのかと言う話でもある。
だが両親は了承した。寄宿学校なので家から出て行ってくれるからである。
おそらくそこでうちの躾がなっていない、と悪役令嬢様に言われるのだろう。だが、躾けたくても無理だったのだ。分かって欲しい。そして、なんとか少しでもミアをまともにして欲しい。攻略対象の方々、愛の力でよろしくお願い。
ミアが散財してくれたおかげで我が家は貧乏だった。うちは貧乏だから、と笑っていたのはミアが来る前。今ではすっかり笑うこともできなくなっていた。事実貧乏だから仕方がない。
私はまともに洋服も新調できず、母のお古を繕って誤魔化している。デイジーはやむなくミアのお古を着ていたが、ミアが着られなくなった服なのに「私の服を奪った」と言うので私のお古を着ている。ミアだけがいつも新しい高い服を着ている。
食事も私たち4人は1日1食。それもミアに隠れて立って食べる。私たちはミアの召使い状態になっていた。
私もデイジーも無料の平民専用の学校に通った。本来男爵の家の子は有料の貴族学校に行くものだ。だがうちには3人がその学校に通うためのお金がなかった。年長の私が平民の学校に行けばミアは納得するかもしれないと思ったが、やはり私立の貴族学校に行きたいと駄々をこねた。長女の私も行かなかったのだから、と言っても「自分は賢いから勉強させるべきだ」などと言いだした。長女の私は勉強嫌いのバカらしい。
貴族学校に行ったのだから勉強を頑張るかと思えばそうではなかった。そこは女子校で低位貴族専門なので高位貴族の男性とは出会えなかったらしい。そのうえ、そこで出会った同級生たちにもいろいろとやらかした。
家では虐げられてると嘘を並べたて、我が家にやってくる女生徒やその親たちがいた。しかし痩せ衰えた私やディジーの姿を見て仰天し、話を聞いて今度はミアを糾弾する。糾弾されたミアは今度は私たちを攻撃した。階段から突き落とされたり、上から植木鉢や花瓶を落とされたり。
ミアがいる限り我が家に平穏は訪れない。いつか殺される、そんなことを思うようになった頃のことだったので正直安心した。
ミアがいなくなった日はお祝いをした。ご馳走が買える財力は残っていなかったが、4人で食卓を囲むのが何よりのご馳走だった。そこまで我が家は堕ちてしまっていた。
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