2 / 11
2
しおりを挟む
前世の記憶かどうかはっきりわからないが、少なくともこの世界ではない世界で生きていたと言う記憶が私にはあった。そこで、平民出身のピンク色の髪の男爵令嬢が王族や高位貴族の方々と交際するというゲームがあった。
ゲームでは男性には婚約者がいるが、それは親が決めた政略結婚であって愛があるわけではない。義務のような結婚は間違いだと諭し、自分を選ぶようにしていくのである。
あくまでもゲームなので私も楽しんでいた。ゲームは男爵令嬢が主役なので彼女目線で話は進む。平民出身の彼女が行動していることが貴族世界ではNGだったりするので注意を受けるのだが、「私悪くない、貴族の女子ひどい」とばかりに受け取る。
そうだ、当時の私は社会人で後輩の女性に注意をしたら「重箱の隅を突くような注意」と言われたのだった。「上司には、おっはーと言わずにおはようございますと挨拶しましょう」と言っただけなのだが。
話の程度は違うのだが、当時私はそのゲームをやりながら「こういう場をわきまえない女は嫌だな」と思ったものだった。
そこまで思い出し、改めて目の前の女の子を見た。
「今日からうちの子になる、ミアだよ。マギー、デイジー、仲良くするんだよ」
父はそういった。私が7歳、デイジーが3歳、ミアは5歳だった。
ミアは父の弟の子どもだそうだ。父の弟、つまり叔父さんであるが、私は会ったことがない。父と母が結婚する前に叔父さんは家出をして行方不明になった。成人しているのに仕事もせず、当時祖父の会社だった金庫から大金を盗み祖父と父にこっぴどく叱られたのが原因である。その事情を知ったのはずいぶん後になってから。当時は叔父さんがいたんだ、と思っただけだった。
その叔父さんがどうやら亡くなってミアが1人になったそうだ。叔母さんはいないのかと思ったが、そのあたりはよくわかっていない。とにかく叔父さんが亡くなり、叔父さんが「自分はモロー家の次男。何かあればモロー家を頼れ」と言う手紙を残していたそうだ。
男爵とはいえ元は庶民。それほどの贅沢はできないが、子どもが1人増えてもなんとかなる。それに貴族の端くれなら養女は当たり前、と両親は思ったのか、とにかくミアは今日から私の義妹、デイジーの義姉になった。
ゲームでは男性には婚約者がいるが、それは親が決めた政略結婚であって愛があるわけではない。義務のような結婚は間違いだと諭し、自分を選ぶようにしていくのである。
あくまでもゲームなので私も楽しんでいた。ゲームは男爵令嬢が主役なので彼女目線で話は進む。平民出身の彼女が行動していることが貴族世界ではNGだったりするので注意を受けるのだが、「私悪くない、貴族の女子ひどい」とばかりに受け取る。
そうだ、当時の私は社会人で後輩の女性に注意をしたら「重箱の隅を突くような注意」と言われたのだった。「上司には、おっはーと言わずにおはようございますと挨拶しましょう」と言っただけなのだが。
話の程度は違うのだが、当時私はそのゲームをやりながら「こういう場をわきまえない女は嫌だな」と思ったものだった。
そこまで思い出し、改めて目の前の女の子を見た。
「今日からうちの子になる、ミアだよ。マギー、デイジー、仲良くするんだよ」
父はそういった。私が7歳、デイジーが3歳、ミアは5歳だった。
ミアは父の弟の子どもだそうだ。父の弟、つまり叔父さんであるが、私は会ったことがない。父と母が結婚する前に叔父さんは家出をして行方不明になった。成人しているのに仕事もせず、当時祖父の会社だった金庫から大金を盗み祖父と父にこっぴどく叱られたのが原因である。その事情を知ったのはずいぶん後になってから。当時は叔父さんがいたんだ、と思っただけだった。
その叔父さんがどうやら亡くなってミアが1人になったそうだ。叔母さんはいないのかと思ったが、そのあたりはよくわかっていない。とにかく叔父さんが亡くなり、叔父さんが「自分はモロー家の次男。何かあればモロー家を頼れ」と言う手紙を残していたそうだ。
男爵とはいえ元は庶民。それほどの贅沢はできないが、子どもが1人増えてもなんとかなる。それに貴族の端くれなら養女は当たり前、と両親は思ったのか、とにかくミアは今日から私の義妹、デイジーの義姉になった。
10
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
婚約破棄感謝します!~え!?なんだか思ってたのと違う~
あゆむ
ファンタジー
ラージエナ王国の公爵令嬢である、シーナ・カルヴァネルには野望があった。
「せっかく転生出来たんだし、目一杯楽しく生きなきゃ!!」
だがどうやらこの世界は『君は儚くも美しき華』という乙女ゲームで、シーナが悪役令嬢、自分がヒロインらしい。(姉談)
シーナは婚約破棄されて国外追放になるように努めるが……
突然伯爵令嬢になってお姉様が出来ました!え、家の義父もお姉様の婚約者もクズしかいなくない??
シャチ
ファンタジー
母の再婚で伯爵令嬢になってしまったアリアは、とっても素敵なお姉様が出来たのに、実の母も含めて、家族がクズ過ぎるし、素敵なお姉様の婚約者すらとんでもない人物。
何とかお姉様を救わなくては!
日曜学校で文字書き計算を習っていたアリアは、お仕事を手伝いながらお姉様を何とか手助けする!
小説家になろうで日間総合1位を取れました~
転載防止のためにこちらでも投稿します。
【完結】化け物と言われ続けた令嬢は、追放された先で真実を知る
紫宛
ファンタジー
もぅ~無理~!!っと、書きなぐった作品なので、色々荒いです。見苦しく読みにくいかも?です。
魔力が高く、胸元に宝石を宿すティアナ
侯爵家の令嬢だったが、化け物だからという理由で婚約破棄を言い渡された。
何故ティアナが化け物と言われ始めたのか……
それは……高い魔力と胸の宝石、そして化け物に姿を変えるから。
家族にも疎まれたティアナは、追放され辿り着いた国で本当の家族と真実を知る。
※素人作品、ご都合主義、ゆるふわ設定※
そして、彼はいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたとの婚約を破棄するっ!」
王都、社交シーズン終わりの王宮主催の舞踏会。
その会場に王太子のよく通る声が響きわたった。
王太子は婚約者がいかに不出来かを滔々と述べ立てて、だから自分には、将来の王妃には相応しくないと彼女を断罪する。そして心当たりがあり過ぎる彼女は特に反論もしない。
だが自分の代わりに婚約すると王太子が告げた人物を見て唖然とする。
なぜならば、その令嬢は⸺!?
◆例によって思いつきの即興作品です。
そしてちょこっとだけ闇が見えます(爆)。
恋愛要素が薄いのでファンタジージャンルで。本当はファンタジー要素も薄いけど。
◆婚約破棄する王子があり得ないほどおバカに描かれることが多いので、ちょっと理由をひねってみました。
約6500字、3話構成で投稿します。
◆つい過去作品と類似したタイトル付けてしまいましたが、直接の関係はありません。
◆この作品は小説家になろうでも公開しています。
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。
辺境伯令嬢は婚約破棄されたようです
くまのこ
ファンタジー
身に覚えのない罪を着せられ、王子から婚約破棄された辺境伯令嬢は……
※息抜きに書いてみたものです※
※この作品は「ノベルアッププラス」様、「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる