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部屋から出るとレオポール兄様が走ってきた。
「リリン、大丈夫だったか?」
「はい」
嬉しくなって思い切り抱きつく。
「兄様は怪我はないですか?他の人は大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だ」
それを聞いて安心した。
「怖かっただろう。もう大丈夫だ。敵は全員捕まえたから」
全員って何人いたのだろうか。その人たちは気づかれずにこの国で生活してたのか。それがスパイというものだろうけど、何だか怖い。
「キュリロス大臣はどこですか?」
彼は私を守るために1人で戦ってくれた。怪我はしていないだろうか。
「大臣は・・・」
すると兄様が言いづらそうに言葉を選んでいる。まさか・・・。悪い予感がした。私を守るために命を・・・?
「大臣は大丈夫だ。ただ怪我をして救護室にいる」
私が顔をひきつらせたのがわかり、慌てて兄様が言った。
「怪我?」
やはり怪我をしたんだ!それは私のせいだ。どうしよう、大怪我なんだろうか?
「救護室ってどこですか?」
少しでいいから顔を見てお礼を言いたい。私の命を救ってくれたのだ。
「リリンは行かないほうがいい」
「どうして?」
「怪我をしたことを知られるのを恥と思うだろうからね」
「そんな!」
そうは言っても譲れない。こっそり顔を見るだけでいい。私も食い下がる。
「いくら30人相手に1人で戦ったとしても、あのキュリロス大臣が怪我をしたんだ。大臣は落ち込んでるかもしれない」
は?30人?1人で戦った?
「他の人は何をしてたのですか?」
30人を相手にして怪我で済んだの?というか、どういうことだか理解できない。
「知らせを聞いて駆けつけたときは、全ては終わってた」
私を誘い出した時、キュリロス大臣はマーサにこっそりとメモを渡したそうだ。マーサはすぐにそれを兄様へ渡し、ドミニク様へ届けられた。騎士団はすぐに応援に向かったのだが、その時すでにキュリロス大臣は1人で戦い、部屋中にリンゴンからのスパイたちが倒れていたとのこと。
そんな状況で怪我して恥と思うかな?名誉の負傷ってやつじゃないの?
「とにかく、リリンは明日のこともあるんだ。今日はゆっくり休まないと」
兄様は私を諦めさせようとなおも必死に説得してくる。こうなったら根比べだ。
「では顔だけ見に行こう」
私たちのやりとりを聞いて、陛下が提案してくれた。
「陛下が仰せになるなら・・・」
そこでようやく兄様は諦めてくれた。
「ありがとうございます。お礼だけ言わせてください」
勝利を手にして私は嬉しくなったが、でもキュリロス大臣は怪我で落ち込んでいるのだ。神妙にお礼を言うべきであろう。
【よし、俺様がハゲ親父を助けてやる】
すると突然、レオポール兄様の胸元からクロが顔を出してきた。
「クロ・・・、兄様と一緒だったの?」
【そうだ、こいつはこう見えて人を傷つける術は身につけているからな。お前らが言う敵をバッタバッタと切りつけて戦力を見せつけていた。そうするとそいつらが弱っちい声を出して苦しむわけよ。俺様はそいつらを魔力でより一層苦しませてやったわ】
カカカ、と悪魔らしい笑い声を聞かせるクロ。人を傷つける術とは・・・。人を守る術と言ってほしい。しかし、兄様はクロが邪魔じゃなかったのか。
「クロニャンがいると思うと張り切らないとと思って。いつもより体も軽かったんだ」
と、兄様はクロを頬擦りした。体が軽いって、おそらくクロの魔力のせいだよね。なんか変な目で周りの人が兄様を見ているが、兄様は気にしない。私ももう気にしないことにした。
「リリン、大丈夫だったか?」
「はい」
嬉しくなって思い切り抱きつく。
「兄様は怪我はないですか?他の人は大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だ」
それを聞いて安心した。
「怖かっただろう。もう大丈夫だ。敵は全員捕まえたから」
全員って何人いたのだろうか。その人たちは気づかれずにこの国で生活してたのか。それがスパイというものだろうけど、何だか怖い。
「キュリロス大臣はどこですか?」
彼は私を守るために1人で戦ってくれた。怪我はしていないだろうか。
「大臣は・・・」
すると兄様が言いづらそうに言葉を選んでいる。まさか・・・。悪い予感がした。私を守るために命を・・・?
「大臣は大丈夫だ。ただ怪我をして救護室にいる」
私が顔をひきつらせたのがわかり、慌てて兄様が言った。
「怪我?」
やはり怪我をしたんだ!それは私のせいだ。どうしよう、大怪我なんだろうか?
「救護室ってどこですか?」
少しでいいから顔を見てお礼を言いたい。私の命を救ってくれたのだ。
「リリンは行かないほうがいい」
「どうして?」
「怪我をしたことを知られるのを恥と思うだろうからね」
「そんな!」
そうは言っても譲れない。こっそり顔を見るだけでいい。私も食い下がる。
「いくら30人相手に1人で戦ったとしても、あのキュリロス大臣が怪我をしたんだ。大臣は落ち込んでるかもしれない」
は?30人?1人で戦った?
「他の人は何をしてたのですか?」
30人を相手にして怪我で済んだの?というか、どういうことだか理解できない。
「知らせを聞いて駆けつけたときは、全ては終わってた」
私を誘い出した時、キュリロス大臣はマーサにこっそりとメモを渡したそうだ。マーサはすぐにそれを兄様へ渡し、ドミニク様へ届けられた。騎士団はすぐに応援に向かったのだが、その時すでにキュリロス大臣は1人で戦い、部屋中にリンゴンからのスパイたちが倒れていたとのこと。
そんな状況で怪我して恥と思うかな?名誉の負傷ってやつじゃないの?
「とにかく、リリンは明日のこともあるんだ。今日はゆっくり休まないと」
兄様は私を諦めさせようとなおも必死に説得してくる。こうなったら根比べだ。
「では顔だけ見に行こう」
私たちのやりとりを聞いて、陛下が提案してくれた。
「陛下が仰せになるなら・・・」
そこでようやく兄様は諦めてくれた。
「ありがとうございます。お礼だけ言わせてください」
勝利を手にして私は嬉しくなったが、でもキュリロス大臣は怪我で落ち込んでいるのだ。神妙にお礼を言うべきであろう。
【よし、俺様がハゲ親父を助けてやる】
すると突然、レオポール兄様の胸元からクロが顔を出してきた。
「クロ・・・、兄様と一緒だったの?」
【そうだ、こいつはこう見えて人を傷つける術は身につけているからな。お前らが言う敵をバッタバッタと切りつけて戦力を見せつけていた。そうするとそいつらが弱っちい声を出して苦しむわけよ。俺様はそいつらを魔力でより一層苦しませてやったわ】
カカカ、と悪魔らしい笑い声を聞かせるクロ。人を傷つける術とは・・・。人を守る術と言ってほしい。しかし、兄様はクロが邪魔じゃなかったのか。
「クロニャンがいると思うと張り切らないとと思って。いつもより体も軽かったんだ」
と、兄様はクロを頬擦りした。体が軽いって、おそらくクロの魔力のせいだよね。なんか変な目で周りの人が兄様を見ているが、兄様は気にしない。私ももう気にしないことにした。
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