美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

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「おはよう、マリアンヌ」
「おはようございます、お父様」

 一番に降りてこられたのはお父様だ。お父様の朝ごはんも用意できている。あまり熱いと食べられないので適度に冷ましてある。

「ん、今日の朝ごはんも美味しそうだ」

 お父様の目が笑っている。

「これのおかげかよく眠れたよ。朝もスッキリ目覚めたし」

 お父様が満足げにブレスレットを撫でている。そんな効力はないはずだけど。

「おはよう、リリン」
「おはようございます、お兄様」

 次に降りてこられたのはレオポール兄様だ。

「クロニャンはもう来てるのかな?」

 いきなりクロか?クロは寝るときは仕方なくレオポール兄様の部屋の「お気に入り」のベッドで寝る。が、レオポール兄様が寝たらすぐに起き出しているようだ。朝起きたらクロがいつもいないわけなので、レオポール兄様はまず起きたらクロを探す。これはもう朝の恒例行事である。

「ニャー」

 クロがぶりっ子状態でレオポール兄様の足にまとわりついた。

「なぁにぃ?クロニャン、にいにゃんのこと探してたのぉ?」

 レオポール兄様が気持ち悪いくらいの猫撫で声を出している。お父様は何も言わず、セバスチャンと今日の打ち合わせを交わしている。2人ともよく平気でいられるな。感心しながら生温かくクロと兄様を眺める。

「さ、にいにゃんと美味しいご飯を食べようねぇ。ん、今日のご飯は豪勢だねぇ」
【ご飯を食べるためには我を捨てなくてはならんのだ。ご飯のためには仕方がない】

 クロは聞いてもいないのにそんな言い訳を言いながら、レオポール兄様の過剰なスキンシップに耐えている。

「おはよう、マリ」
「おはよう、天使ちゃん」
「おはようございます。お母様、フランツ兄様」

 お母様とフランツ兄様が同時に現れた。お母様、昨夜もワインを2本開けていたけど朝から元気だ。

「んまぁ、これは素敵な朝ごはんね。今日もありがとう」
「本当だ、朝から全員違う食事なんて、大丈夫なのか。ずいぶん早起きしたんだね。マリ」

 お母様の目が輝いているし、フランツ兄様も笑顔だ。全員揃ったので食事が始まった。

「んー、これは温かくて食べると気持ちよくなる」
 
 お父様が雑炊を一口食べ目を細めている。

「ずいぶん煮込んだので柔らかく出来上がったんです。セバスチャンもあとで食べてね」

 横にいたセバスチャンに声をかけると、胸に手を当てフルフルと小刻みに震え出した。

「お嬢様、旦那様と同じお食事をこの私めにも。なんという幸運でしょう」

 雑炊ぐらいで大袈裟であるが、これがセバスチャンというものとスルーする。

「朝から力が漲ってくるよ。リリン、ありがとう」

 レオポール兄様がハムステーキを頬張りながら微笑んでくれた。横でクロも同じものを食べている。

【うむ、今日も美味い。これからも精進するように】

 何さまだよ、あぁ悪魔様か。ちょっとむかついたけど無視する。

「マリ、このスープは美味しいね」
「本当、私このスープ大好きよ」

 フランツ兄様とお母様にコーンスープを褒められる。本当だ、甘くて美味しい。

「あらあら、天使ちゃんたら」
「え?」
「ふふっ、嬉しそうに笑ってるから」

 朝から全員揃ってご飯が食べられて、お礼言われて褒めてもらえて。すごくすごく幸せだ。だから自然に笑顔が出てしまう。

「マリの笑顔でご飯が美味しくなったね」
「リリンの笑顔は最高だからな」

 そんなふうに言われると照れてしまう。今日もご飯が美味しくて何よりだ。


 

 

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