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晩御飯はハンバーグにした。全員揃って頂きます。全員、とは我が家のみ。バーンヒル様とエイアール様方は別室で召し上がっている。
「実は婚約発表の儀が1週間後に決まった」
食べ始めてしばらくしてお父様に言われた。
「1週間後?早すぎですわ」
「もう少し時間をかけるはずではありませんでしたか?」
「国内もまだ落ち着いていないところがあるでしょう?」
全員が驚いてお父様へ問いただした。それをお父様は穏やかにうなづきながら聞いている。
「確かにまだ早すぎという意見もあった。しかし・・・実は・・・」
言いにくそうにお父様が私をチラリと見た。
「マリアンヌが料理だけではなく色々な才能を見せていることがどうやらリンゴン国に知られてしまったのだ。おそらく近いうちにリンゴン国の使者が来てマリアンヌに留学を持ちかけるはずだ」
隣国のリンゴン国は陛下の妹であるユティシア様が嫁がれている。我が国とは友好関係にあるのだが、何で私を留学させようとするのだ?
「あちらにはマリアンヌと同じ歳のドナ王女がいる。おそらく交換留学を持ちかけるつもりらしい」
「なるほど、表立って2代続けて我が国から嫁を娶るわけにはあちらもいかないのだろうが、留学させて親しくなって、という魂胆ですね」
「マリならどこの国でも欲しがるからな」
全員がうんうん、とうなづいている。キュリロス大臣が言っていた、陛下が懸念されてることってこのことだったのか。交換留学の話が出たら、断るわけにはいかないだろう。
「それで婚約していると発表するわけか」
外にはやらんぞという牽制はわかったけど、私留学しないといけないのかな。それはちょっと・・・、いや、かなり嫌だ。
大体、自分の国の学校にも通っていないのに何でよその国の学校に行かないといけないのだ。そもそもこの国に学校はあるが、絶対通わないといけないわけではない。基本、貴族の男子は全員15歳になると学校に通うが女子は違う。貴族の女子は家で家庭教師をつけられて勉強するのだ。
とはいえ、学ぶ内容はそれぞれで定まっていない。女は嫁げばそれでいいと思われているところがあるようで、字も読み書きできない貴族の女性は少なくない。自分の名前だけは読み書きできるが、それは結婚後自分の名前をサインすることが多々あるかららしい。
でも文字を読めなくて困らないのか。それは代読する使用人がいるから大丈夫らしい。騙されることはないのかと思うけど、もしかしたら騙されていることにも気づいていないのかもしれない。
前の国王陛下は愛人を大量に作っただけあって貴族女性は学校に通う必要なしと考えていたらしい。通わなくても困らないように女性にはお金を与えて男性が保護しろと思っていたようだけど、女性の選択肢を無くさせている。それはダメだと今の国王陛下が即位した時に女性も学校に通うように提案したのだが、あまり効果は出ていないそうだ。
ということを考えると、ドナ王女が我が国に留学しに来てもあまり実りはないのではないか?リンゴン国の教育制度がどうなのかわからないけど、留学は嫌だ。家族から離れたくない。
「わ、私、留学なんて嫌です。お父様やお母様、兄様たちと離れて暮らすなんてできません!」
思わず立ち上がってしまった。勢い良すぎて椅子が大きな音を立てて倒れてしまう。お行儀の悪いことだが気にしていられない。ようやくマリアンヌとして慣れてきたのだ。留学なんてしたら、絶対何かやらかす。お父様たちはマリアンヌの家族として私を守ってくれるが、よその国の他人の方々はそうは行かない。
「マリアンヌ!」
「天使ちゃん。大丈夫よ」
「リリン、俺たちがついている。留学なんてさせるわけないだろう」
「そうだ、リンゴン国め。マリをたぶらかそうなんてさせるものか」
みんなそう言うけど、本当に大丈夫だろうか。心配ではあるけど、陛下が何とかしてくれる。そう信じることにした。
「実は婚約発表の儀が1週間後に決まった」
食べ始めてしばらくしてお父様に言われた。
「1週間後?早すぎですわ」
「もう少し時間をかけるはずではありませんでしたか?」
「国内もまだ落ち着いていないところがあるでしょう?」
全員が驚いてお父様へ問いただした。それをお父様は穏やかにうなづきながら聞いている。
「確かにまだ早すぎという意見もあった。しかし・・・実は・・・」
言いにくそうにお父様が私をチラリと見た。
「マリアンヌが料理だけではなく色々な才能を見せていることがどうやらリンゴン国に知られてしまったのだ。おそらく近いうちにリンゴン国の使者が来てマリアンヌに留学を持ちかけるはずだ」
隣国のリンゴン国は陛下の妹であるユティシア様が嫁がれている。我が国とは友好関係にあるのだが、何で私を留学させようとするのだ?
「あちらにはマリアンヌと同じ歳のドナ王女がいる。おそらく交換留学を持ちかけるつもりらしい」
「なるほど、表立って2代続けて我が国から嫁を娶るわけにはあちらもいかないのだろうが、留学させて親しくなって、という魂胆ですね」
「マリならどこの国でも欲しがるからな」
全員がうんうん、とうなづいている。キュリロス大臣が言っていた、陛下が懸念されてることってこのことだったのか。交換留学の話が出たら、断るわけにはいかないだろう。
「それで婚約していると発表するわけか」
外にはやらんぞという牽制はわかったけど、私留学しないといけないのかな。それはちょっと・・・、いや、かなり嫌だ。
大体、自分の国の学校にも通っていないのに何でよその国の学校に行かないといけないのだ。そもそもこの国に学校はあるが、絶対通わないといけないわけではない。基本、貴族の男子は全員15歳になると学校に通うが女子は違う。貴族の女子は家で家庭教師をつけられて勉強するのだ。
とはいえ、学ぶ内容はそれぞれで定まっていない。女は嫁げばそれでいいと思われているところがあるようで、字も読み書きできない貴族の女性は少なくない。自分の名前だけは読み書きできるが、それは結婚後自分の名前をサインすることが多々あるかららしい。
でも文字を読めなくて困らないのか。それは代読する使用人がいるから大丈夫らしい。騙されることはないのかと思うけど、もしかしたら騙されていることにも気づいていないのかもしれない。
前の国王陛下は愛人を大量に作っただけあって貴族女性は学校に通う必要なしと考えていたらしい。通わなくても困らないように女性にはお金を与えて男性が保護しろと思っていたようだけど、女性の選択肢を無くさせている。それはダメだと今の国王陛下が即位した時に女性も学校に通うように提案したのだが、あまり効果は出ていないそうだ。
ということを考えると、ドナ王女が我が国に留学しに来てもあまり実りはないのではないか?リンゴン国の教育制度がどうなのかわからないけど、留学は嫌だ。家族から離れたくない。
「わ、私、留学なんて嫌です。お父様やお母様、兄様たちと離れて暮らすなんてできません!」
思わず立ち上がってしまった。勢い良すぎて椅子が大きな音を立てて倒れてしまう。お行儀の悪いことだが気にしていられない。ようやくマリアンヌとして慣れてきたのだ。留学なんてしたら、絶対何かやらかす。お父様たちはマリアンヌの家族として私を守ってくれるが、よその国の他人の方々はそうは行かない。
「マリアンヌ!」
「天使ちゃん。大丈夫よ」
「リリン、俺たちがついている。留学なんてさせるわけないだろう」
「そうだ、リンゴン国め。マリをたぶらかそうなんてさせるものか」
みんなそう言うけど、本当に大丈夫だろうか。心配ではあるけど、陛下が何とかしてくれる。そう信じることにした。
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