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しおりを挟む家に戻ると、昼寝を続けようとするクロを無理やり起こして色の意味を聞く。
【あー、特に意味はないな】
大きく伸びをして答える。
【んー、信頼?・・・とかかな】
あくびをしてしばらくぼんやりしてから答える。何を聞いてもこんな感じ。適当に答えているのが丸わかりである。
「ちょっと、やる気あるの?」
クロを揺すぶり目を覚まさせる。
【やめろー】
そう言いながらもクロの目は閉じようとしている。
【眠いんだー】
「何で眠いのよ、寝すぎじゃないの?」
【この色は眠気を誘うんだ!】
薄いグレーの色の石。どうやらそれは眠くなる石らしい。
「意味のあるなしってどう決まるの?」
よくわからず聞いてみたら、クロは眠すぎるのか頭がグラグラしていた。それでも何とか答えてくれようと必死で耐えている。健気である。
【石に魔力があるかどうかだな。いろんな魔力が自然界に漂っているから、それをうまく石が吸収したのだろう】
つまり紫の色が全て敬意を表すわけではなく、敬意の魔力を取り入れた石がたまたまあの石だったらしい。ということは、もしかしたらゲルリーは勘違いしているかもしれない。教えるべきなのかもしれないが、そうするとクロの言葉がわかることを言わないとならない。それは面倒である。魔獣の言葉がわかるなんて言いたくない。
【放っておけ】
私がどうしようと青くなって考えていたら、クロは大あくびをしながら言った。
【魔力を読む奴は人間でもいるし、研究するなら自力で発見するだろう】
「そうは言っても・・・」
【あいつらはそういうことを調べるのが好きなんだろうし、それが仕事だろ?】
クロはそう言うと窓辺に向かって行き、ゴロンと横になった。兄様が言っていたクッションには乗らずに直で寝ている。
「クッションは?」
聞いてみたがすでに寝てしまったのか返事がなかった。秒で寝てしまった。よほど眠たかったらしい。私も無視して意味のないという石を使い作業に没頭する。
しばらくして。
「できたー」
お父様には薄いブルーを基本に濃いブルーをアクセントに、お母様は薄いブルーとピンクを組み合わせた。レオポール兄様には魔獣が眠くなるという薄いグレーの石と魔獣が服従するという緑の石を組み合わせ、フランツ兄様は黄色を基本に作ってみた。
【できたのか】
気がつくと横にクロがいた。
【これ以外は特に意味はないな】
レオポール兄様用のブレスレット以外は大丈夫のようだ。
【これはあいつにはちょうどいいだろう。魔獣も無意味に命を落とす必要はないからな】
魔獣が寝て服従してくれるなら騎士も楽だろう。兄様も安全に仕事ができるはず。
【今日の飯はたらふく食べてやるからな】
目覚めたクロは機嫌良く、私も嬉しくなったのだった。
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