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「リィ、本当にありがとう」
素直にお礼を言ってもらえて私も嬉しいが、殿下は何度も自分と私の腕にあるブレスレットを見てニマニマと笑っている。その笑顔が少々気になるが、喜んでいるのだと解釈する。やはり、他の人の分も早急に作りたい。でも色の意味を考えると組合わせが難しい。たまたまうまく行ったけど、他の色で作ったら魔獣を寄せ付ける可能性もある。クロと要相談である。
「まだいたのか」
お父様と陛下が歩いてきた。お父様は眉間に皺を寄せている。
「殿下、節度ある行動を心がけていただきたいですな。娘はまだ婚約発表前です。傷がついたらどうしてくださるのですか」
私たちは特に何かしていたわけではない。厳密に言えば2人だけでもない。護衛の人が何人もいる。いつもうるさいアレンがいないので存在感を感じないのが救いである。そういえばアレンはどうしたのだろうか。聞けば教えてくれるだろうけど、聞いたら聞いたで面倒なことになる気もするのでスルーする。
「全く、レオポールはどうしたのだ」
お父様はプリプリ怒っている。しかし殿下を見て動きが止まった。
「そ、それは殿下のものだったのか・・・」
殿下の腕を見て落胆した声を出すお父様。
「あっ・・・!」
その上、私の腕も見て声を上げた。
「マリアンヌ・・・」
確かお父様もブレスレットを見て報告を受けたはず。お父様とお母様の分は別にあるのだが、色の意味をクロに確認しないといけない。結果次第では作り直すことになるだろうけど、すぐにでも作らないといけないと思う。
そう考えたらとっとと帰りたい。
「陛下、本日はこれで失礼致します」
丁寧にお辞儀をして、私は馬車に向かう。
「マリアンヌちゅあん、まだいいではないか」
しかし陛下は駄々っ子のような口ぶりで唇が僅かにとんがっている。いい大人がそれはないでしょ。
「ゆっくり話してないし。よし、向こうでお茶でも飲みながら話そう」
いや、話なんてないし。というか、仕事はどうした。
「陛下、執務がまだ残っています」
お父様は完全な仕事モード。しかも殿下の腕のブレスレットを見て機嫌が悪くなってしまった。
「えー、だって、マリアンヌちゅあんと親子の会話したいし」
「親子ではありません」
陛下、自由すぎるよね。こんな人と長年よくやってるよね、うちのお父様。
「陛下、娘は色々やることがありますから」
お父様のこめかみがピクピクしている。そろそろ限界かな。
「リィ、明日また会おう」
何かを察したのか殿下が笑顔で見送ってくれた。それで仕方なく、という感じで陛下も
「そうか、ではまた明日」
と、見送ってくれた。明日会うつもりはないんだけど。そもそも国王陛下って簡単に会える人じゃないよね。謁見をお願いしてようやくお会いできるとかじゃないの?フレンドリーすぎない?
ようやく馬車に乗り込んだときはぐったりしてしまった。クロがあくびをして起き上がった。寝てたようだ。
【渡せたな】
「うん、私もつけてみたよ」
クロの前で腕をブンブンと振ってみせた。
【よかったな、では俺様は寝る】
そう言ってクロは寝てしまった。馬車の中で私はブレスレットをどうしようかと考えていたのだった。
素直にお礼を言ってもらえて私も嬉しいが、殿下は何度も自分と私の腕にあるブレスレットを見てニマニマと笑っている。その笑顔が少々気になるが、喜んでいるのだと解釈する。やはり、他の人の分も早急に作りたい。でも色の意味を考えると組合わせが難しい。たまたまうまく行ったけど、他の色で作ったら魔獣を寄せ付ける可能性もある。クロと要相談である。
「まだいたのか」
お父様と陛下が歩いてきた。お父様は眉間に皺を寄せている。
「殿下、節度ある行動を心がけていただきたいですな。娘はまだ婚約発表前です。傷がついたらどうしてくださるのですか」
私たちは特に何かしていたわけではない。厳密に言えば2人だけでもない。護衛の人が何人もいる。いつもうるさいアレンがいないので存在感を感じないのが救いである。そういえばアレンはどうしたのだろうか。聞けば教えてくれるだろうけど、聞いたら聞いたで面倒なことになる気もするのでスルーする。
「全く、レオポールはどうしたのだ」
お父様はプリプリ怒っている。しかし殿下を見て動きが止まった。
「そ、それは殿下のものだったのか・・・」
殿下の腕を見て落胆した声を出すお父様。
「あっ・・・!」
その上、私の腕も見て声を上げた。
「マリアンヌ・・・」
確かお父様もブレスレットを見て報告を受けたはず。お父様とお母様の分は別にあるのだが、色の意味をクロに確認しないといけない。結果次第では作り直すことになるだろうけど、すぐにでも作らないといけないと思う。
そう考えたらとっとと帰りたい。
「陛下、本日はこれで失礼致します」
丁寧にお辞儀をして、私は馬車に向かう。
「マリアンヌちゅあん、まだいいではないか」
しかし陛下は駄々っ子のような口ぶりで唇が僅かにとんがっている。いい大人がそれはないでしょ。
「ゆっくり話してないし。よし、向こうでお茶でも飲みながら話そう」
いや、話なんてないし。というか、仕事はどうした。
「陛下、執務がまだ残っています」
お父様は完全な仕事モード。しかも殿下の腕のブレスレットを見て機嫌が悪くなってしまった。
「えー、だって、マリアンヌちゅあんと親子の会話したいし」
「親子ではありません」
陛下、自由すぎるよね。こんな人と長年よくやってるよね、うちのお父様。
「陛下、娘は色々やることがありますから」
お父様のこめかみがピクピクしている。そろそろ限界かな。
「リィ、明日また会おう」
何かを察したのか殿下が笑顔で見送ってくれた。それで仕方なく、という感じで陛下も
「そうか、ではまた明日」
と、見送ってくれた。明日会うつもりはないんだけど。そもそも国王陛下って簡単に会える人じゃないよね。謁見をお願いしてようやくお会いできるとかじゃないの?フレンドリーすぎない?
ようやく馬車に乗り込んだときはぐったりしてしまった。クロがあくびをして起き上がった。寝てたようだ。
【渡せたな】
「うん、私もつけてみたよ」
クロの前で腕をブンブンと振ってみせた。
【よかったな、では俺様は寝る】
そう言ってクロは寝てしまった。馬車の中で私はブレスレットをどうしようかと考えていたのだった。
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