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「つまり、石によって反応が違うということなのか?」
陛下が身を乗り出している。手には私が作ったブレスレットがいくつか。お父様、殿下、ドミニク様も交えて、ゲルリーから調査結果を聞いて皆一様に驚いている。
魔獣よけになると昔から言われ、宝石のかけらを色々混ぜて袋に入れて保存されてきた。それはクロ曰く「まぁ、効くっちゃ効くかな」程度のものだった。
「はい、ほかの魔獣でも試したのですが、反応は同じでした」
私が色を揃えてブレスレットを作ったら、それを見た魔獣の反応が変わるそうだ。怖がる石もあれば、酔っ払ったみたいになったり、近づいてきたりする石もあるらしい。石のかけらでそうなるなら、大きな塊の石ならどうなるのかと思ったが、かけらで試せるならそれでやったほうがいいとのことだ。
「これは新発見だ」
「そうですね、魔獣避けにもできますし、征伐の時にも使えます」
「かけらならたくさんありますし、比較的安価です」
「これを機に魔獣研究の部署を新たに立ち上げましょう」
あっという間に話が進んでいく。魔獣の生態とかを調べれば、無駄な争いも起きなくなるし安全に暮らせるはずだ。
「それからクロちゃんの癒しの力の件ですが」
そうだ、元々はクロが二日酔いだったみんなを治したということになっていた。単にクロが悪魔で人のマイナス感情が好物なのだが、いつの間にかクロには癒しの力があるとされてしまった。
「できればもう一度同じ状況を作って調査したいのですが」
確かに、ゲルリーはその場にいなかった。調査するには同じような状況を作らなければならない。つまりもう一度お酒を飲んでもらうしかない?いや、また二日酔いになるまで飲んでもらうのはちょっと困る。
「うーん、それは・・・」
お父様が険しい表情をしている。
「確かに、もう一度飲まないといけないな」
ドミニク様はどこか嬉しそうな様子だ。
「仕方がないな、これは調査なのだから」
陛下、ノリノリだ。
「これから予算会議があるのでしょう?」
そこにキッパリと殿下が断りを入れてくれた。
「それに陛下や宰相が二日酔いになるのは色々と良くないです」
殿下がハキハキと答えている。さてはまたお酒を飲みたいのだろう。もしくは仕事をサボりたいとか。堂々とお酒を飲んでサボれるならサボりたいよね。それはわかるのだが。
「いや、でも・・・」
「そうだ、確かに二日酔いになるのは困る」
「でも調査を進めないと・・・」
全員の歯切れが悪い。しかし、クロがもう一度二日酔いを治してくれるという保証はない。もし治してもらえなければ苦しいだけなのだ。
「ではこの件はまた別の機会に」
ゲルリーはそう言って終わらせようとした。おそらく石の研究の方を先にしたいのだと思う。
「いや、でも。例えば魔獣征伐で大量に怪我人が出た時とか、一気に癒しの力で治してもらえるならありがたいし」
「そ、そうだな。できるかどうかがわかれば」
なかなか諦めない。予算会議があるなら、こんなことでグジグジしていられないと思う。今日のところは諦めて欲しい。
「別に陛下でなくてもいいですよね」
殿下は笑顔だ。まさか自分が飲むつもり?未成年だからダメだと思う。
「へ?」
「ま、まさか・・・」
「仕事終わりの騎士たちで実験しましょう」
「き、騎士たち・・・」
殿下が立ち上がった。
「リィ、少し協力してくれるか?」
「は、はい・・・」
勢いで思わず答えてしまった。
「騎士団の食堂で試しましょう。クロを連れて、レオポールも来てくれ」
陛下やドミニク様があっけに取られているうちに殿下はテキパキと指示を出した。
「では、これで」
そして、私たちは騎士団の食堂に向かったのだった。
陛下が身を乗り出している。手には私が作ったブレスレットがいくつか。お父様、殿下、ドミニク様も交えて、ゲルリーから調査結果を聞いて皆一様に驚いている。
魔獣よけになると昔から言われ、宝石のかけらを色々混ぜて袋に入れて保存されてきた。それはクロ曰く「まぁ、効くっちゃ効くかな」程度のものだった。
「はい、ほかの魔獣でも試したのですが、反応は同じでした」
私が色を揃えてブレスレットを作ったら、それを見た魔獣の反応が変わるそうだ。怖がる石もあれば、酔っ払ったみたいになったり、近づいてきたりする石もあるらしい。石のかけらでそうなるなら、大きな塊の石ならどうなるのかと思ったが、かけらで試せるならそれでやったほうがいいとのことだ。
「これは新発見だ」
「そうですね、魔獣避けにもできますし、征伐の時にも使えます」
「かけらならたくさんありますし、比較的安価です」
「これを機に魔獣研究の部署を新たに立ち上げましょう」
あっという間に話が進んでいく。魔獣の生態とかを調べれば、無駄な争いも起きなくなるし安全に暮らせるはずだ。
「それからクロちゃんの癒しの力の件ですが」
そうだ、元々はクロが二日酔いだったみんなを治したということになっていた。単にクロが悪魔で人のマイナス感情が好物なのだが、いつの間にかクロには癒しの力があるとされてしまった。
「できればもう一度同じ状況を作って調査したいのですが」
確かに、ゲルリーはその場にいなかった。調査するには同じような状況を作らなければならない。つまりもう一度お酒を飲んでもらうしかない?いや、また二日酔いになるまで飲んでもらうのはちょっと困る。
「うーん、それは・・・」
お父様が険しい表情をしている。
「確かに、もう一度飲まないといけないな」
ドミニク様はどこか嬉しそうな様子だ。
「仕方がないな、これは調査なのだから」
陛下、ノリノリだ。
「これから予算会議があるのでしょう?」
そこにキッパリと殿下が断りを入れてくれた。
「それに陛下や宰相が二日酔いになるのは色々と良くないです」
殿下がハキハキと答えている。さてはまたお酒を飲みたいのだろう。もしくは仕事をサボりたいとか。堂々とお酒を飲んでサボれるならサボりたいよね。それはわかるのだが。
「いや、でも・・・」
「そうだ、確かに二日酔いになるのは困る」
「でも調査を進めないと・・・」
全員の歯切れが悪い。しかし、クロがもう一度二日酔いを治してくれるという保証はない。もし治してもらえなければ苦しいだけなのだ。
「ではこの件はまた別の機会に」
ゲルリーはそう言って終わらせようとした。おそらく石の研究の方を先にしたいのだと思う。
「いや、でも。例えば魔獣征伐で大量に怪我人が出た時とか、一気に癒しの力で治してもらえるならありがたいし」
「そ、そうだな。できるかどうかがわかれば」
なかなか諦めない。予算会議があるなら、こんなことでグジグジしていられないと思う。今日のところは諦めて欲しい。
「別に陛下でなくてもいいですよね」
殿下は笑顔だ。まさか自分が飲むつもり?未成年だからダメだと思う。
「へ?」
「ま、まさか・・・」
「仕事終わりの騎士たちで実験しましょう」
「き、騎士たち・・・」
殿下が立ち上がった。
「リィ、少し協力してくれるか?」
「は、はい・・・」
勢いで思わず答えてしまった。
「騎士団の食堂で試しましょう。クロを連れて、レオポールも来てくれ」
陛下やドミニク様があっけに取られているうちに殿下はテキパキと指示を出した。
「では、これで」
そして、私たちは騎士団の食堂に向かったのだった。
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