美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

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 うわぁ・・・というなんとも言えない気持ちのまま私は陛下の護衛の人たちがいる部屋に向かった。お忍びで来られたはずだが、護衛と御者で10人。いつ陛下が帰るかわからないのでずっと起きて待っていたのだろう。ドアを開けると全員が勢いよく立ち上がった。

「あ、マリアンヌ様」
「おはようございます。ご苦労様です」

 声をかけると全員明るい笑顔だった。

「おはようございます。昨日は美味しい食事をありがとうございます」
「あんなに美味しい食事は初めてでした」
「こんなに気遣ってもらったのは初めてですよ」
「外で立ちっぱなしということはザラですからね」

 屋敷にいる人は全員同じ食事を食べること。それが我が家のルール。お酒は出せないが、食事は出す。

「もしかしたら陛下のご準備ができるまでもう少しかかるかもしれません」

 まさか酔い潰れて寝てるとは言えない。待つのが仕事かもしれないけど、なんとなく申し訳ない。

「いえ、大丈夫ですよ」
「むしろまだまだお引き留めくださって」

 彼らはにこやかに言ってくれるのだが、こちらとしては陛下を酔いつぶしてしまったという気持ちがある。酔っ払ったのは陛下なので自業自得だけどさ。でも国で一番権力のある人物だ。今もし有事でも起きたら一大事である。

 とりあえず時間稼ぎでもあるが、コーヒーとハンバーガーを用意した。朝食である。

「えぇ?朝食?」
「こんな豪華な・・・」
「当番でよかった」

 彼らの喜ぶ声を聞きながら、どうぞごゆっくりと声をかけた。陛下も皇后様も多分ちょっとご飯食べてすぐ帰る予定だったと思う。しかしあんなに酔い潰れちゃったら仕事はどうなるのだろうか。国務だよ。

 戻る途中で外を見たら馬たちが数頭出ていた。馬専用の使用人たちが厩舎から馬を引っ張っている。

「おはよう、ご苦労様」
「あ、お嬢様、おはようございます」

 彼らが連れているのは王様方の馬である。

「急遽仕事を増やして悪かったわ」
「何おっしゃってるんです」

 馬は生き物だから車みたいに置いとくだけというわけにはいかない。ましてや王様の馬なので丁重に扱わなくてはならない。いつ出立するかわからないのでずっと番をしてくれたのだろう。彼らはいきなり残業になったのだ。家にも帰れずご家族も心配されたかもしれない。

 こんなときのためにお菓子の詰め合わせ。クッキーやパウンドケーキ、アップルパイなどを詰め合わせたものを常に用意している。

「ご家族に」

 そう言いながら渡す。

「えっ、いいのですか?」
「我々はこれが仕事なんです。給金以外は・・・」

 遠慮する彼らに押し付ける。

「あなた方のではないの。ご家族のためよ」

 そう付け加えると全員喜んで受け取ってくれた。ついでに馬たちにも人参を出す。

「おやつに持って帰ろうね」

 そう言いながら一頭の馬を撫でてやっていたら、ワラワラと他の馬たちも集まってきた。お城の馬だけではなく我が家の馬もである。

「お嬢様は馬にも人気だなぁ」
「動物は慈愛がわかるからな」

 呑気に使用人たちは言っているのだが、私は馬に迫られていた。馬に囲まれるって、かなり怖いぞ。

「今食べたいのね」

 ものすごい圧を感じてしまい、人参を差し出す。一頭一本ずつ。彼らは喜んで食べてくれている。ボリンボリンと軽快な音をさせて噛み砕いている様子を見ていたら、何だかとても癒された。
 
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