美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

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 そんなわけでキッチンに戻りクロのためのアイスとアップルパイを用意する。あんなに食べて大丈夫なのだろうかと心配になるが、自分で何とかするだろう。

「はい、お待たせ」

 お皿を持って戻ると、なんとクロは私のアイスとアップルパイを完食していた。

【うまいな、これは俺様ベストワンだ。もっとよこせ。お代わりだ】
「ダメだよ、これは私の」
【何だと、俺様を誰だと心得る。さっさとよこすのだ】

 皿に飛び乗りガツガツと食べている。アイスを一口で食べ、クゥゥと唸った。冷たいものをがっついたので頭が痛くなったようだ。しかしすぐに復活。

【もっとだ、もっと持って来い】
「ダメだよ、食べ過ぎは良くないから」

 そんなやりとりをしていたら。

「マリアンヌ様、魔獣の言葉がわかるのですか?」

 ダニエル様から言われてしまう。こんなやり取りしていたらバレてしまう。

「ま、まさか。適当に合わせただけ。でもそう言ってるように聞こえてくるでしょ」

 適当に誤魔化す。

「そうですね、まさかわかるわけないですよね」

 ダニエル様は納得したようでアップルパイの上にアイスを乗せて口にいれた。

「んー、美味しい」

 頬を押さえて満面の笑み。可愛い。天使がここにいる。ダニエル様の笑顔を見ながら私もアップルパイとアイスを食べる。我ながら上出来。ゆっくり味わう。口の中でアイスが溶けていくのを楽しむ。久しぶりの感覚だ。

 私が優雅に楽しんでいるその横では黒い悪魔が騒いでいるが、気にしない。気にしたら負けだ。

【食わせろー、よこせー、呪うぞー】

 相変わらず口が悪い。

「静かにしなさい」

 毅然とした態度で言う。甘やかしてはいけない。自分のアイスは自分で守る。

【わかった、お前の兄貴のを横取りしてやる】

 私が無視するのでそんなことを言う。言っても気にしない。勝手に横取りすればいい。ふと視線を感じて顔を上げると、殿下が見ていた。目が合うと穏やかに微笑まれた。

「なんか、いいなと思って」

 ニャーニャーとしか聞こえていない人はのどかでいいなと思うであろう。しかし、私にははっきりと人間の言葉で聞こえるのだ。

「魔獣がこんなに可愛いと思わなかったよ」

 殿下はスプーンを手にしたままそんな感想を言った。確かに、今まで魔獣は恐れるべき害獣という扱いだったようだ。クロは中身は悪魔であるが、外見は子猫。可愛いに決まっている。

「それに良く食べるんだね」

 ほんと、それ。いくらでも食べる。多分レオポール兄様と同じくらい食べている。

「リィの料理は魔力が増えるらしいから、魔獣の魔力も増えてるんだろうか。それとも魔力が必要だからリィの料理を食べたがるんだろうか。いや、リィ以外の料理ならどうなるか調べてみなけりゃわからないか」

 殿下はブツブツと言いながら、アップルパイを口に入れた。

【俺様に不味いものを食べさせようとしてるのか。もしそうなら殺すぞ】

 クロが殿下を睨みつけている。でも外見は子猫なので怖くない。

「クロニャン、まだ食べたいんでしゅか?ポンポン痛たになるから、もうナイナイでしゅよ」

 レオポール兄様がやってきてクロを抱き上げた。我が家ではもうレオポール兄様の怪しい赤ちゃん言葉は慣れているが、ドミニク様は初めてだったらしい。目が点になっている。が、殿下は聞こえていないようで、ブツブツと何かを言い続けている。

 うん、なんかもうどうでも良くなってきた。










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