美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

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「ところで、さっき話していたお店のことだけど」

 レオポール兄様がビールのジョッキに手を伸ばしかけて慌てて引っ込めた。水を飲みながら、目は料理を見ている。

「何の話だ?」

 それを聞きつけたお父様はおちょこに口をつけている。おそらく唇に酒をつけた程度であろうが、酒を楽しんでいると見なされたようでお母様は満足げである。セバスチャンにお父様へ酒を注ぐように指示していた。

「このビールを仕事終わりに楽しめればと思ったんです。酒と料理を出す店があれば楽しいだろうと思って」
「それはいいですな!」

 身を乗り出したのはエイアール様である。

「私も楽しみたいですな」

 バーンヒル様もお腹をさすりながら、角煮を一口食べ酒を飲んでいる。

「お酒1杯と決まった料理だけを出す店にしたら、あまり手間がかからないと思うのです」

 と、私は考えていたことを話す。

「料金も一律同じ金額にする。入り口でお金を支払ってお酒と料理を受けとる。帰る時は食器を決まった場所に置いて帰るんです」

    フードコートみたいに基本セルフにすれば店員の労力も減らせるだろう。長居をされるとお母様の危惧する問題が増えるだろうから、一杯しか飲めないようにしたらどうだろうか。

「なるほど」
「いいですわね!」

 バーンヒル夫人が大きく手を叩いた。みんな夫人に注目する。

「あなた、騎士団の宿舎の前のあの家。あれに少し手を加えたらどうでしょう?」
「あれか」

 聞けばバーンヒル夫人の親族の財産分与で騎士団の宿舎の前に建つ家を相続したそうなのだが、王都には別に屋敷があるしバーンヒル様も持て余していたらしい。

    元の世界から考えたら都心の一戸建てを相続なんて夢みたいだが、この世界ではけっこうある話のようだ。住まないなら売ったらいいと思うが、そうするとお金に困っているなどあらぬ疑いを持たれるらしい。「ではないか」という話が「そうに違いない」になるというのは、よくあることなので注意が必要になるのだ。

「私にもぜひ協力させていただきたいですな」

 エイアール様が挙手して話し出す。酔っているのでそんな仕草をしているのか、それとも真面目な性格だからなのかわからない。挙手しなくてもいいと思うのだが、手を上げたまま彼は話を続ける。

「親族に改築などを専門に請け負う者がおります。もちろん費用はお任せください」
「それはいいですな」
「室内装飾なら私もお話したいですわ」
「ステファニー様はセンスがよろしいから、おまかせしがいがありますわ」

 4人で盛り上がり出した。


「ちょっと待ってください」

 そこにお父様が割って入る。

「ビールはともかく、料理はマリアンヌが担当するということですか」

 そのつもりで私はいたのだが。でも私未成年だし、無理か。見るとお父様の目が少しつり上がっている。お店、やってみたいと思ったんだけど。
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