美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

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 お母様方女性陣も含まれて宴会がスタートした。私としてはきちんと日本酒を味わってもらいたい。あれは本当に高価で希少なものなのだ。酔っ払う前に出そう。最初はビールの段階はすでに過ぎている。

 煮魚、豚の角煮、野菜の煮物などを新たに用意する。男性陣と女性陣に出したものも再度出す。料理がずらりと並ぶと全員が唖然としていた。自分で見ても圧巻だったが、本当はお刺身も出したかった。おそらく生の魚は抵抗があるだろうと思い断念したのだ。

 ダニエル様とノートルも呼ばれたらしく室内に入ってきた。が、2人は驚いたように立ち尽くしている。この料理に驚いているのだろう。確かに脈略もなくさまざまな料理が並べられている。

「な、何ですか?皆様の服装は」
「・・・変わっていますね」

 そうだ、忘れていたが全員が簡素なチュニックとイージーパンツを履いていた。私から見たら温泉街でよく見る光景でもあるのだが、彼らにとっては奇妙奇天烈な服装だろう。

「ノートル、これは大変素晴らしい服装なのだ」
「そう、まさしく自由を感じる新しい服だ」
「何を隠そうマリアンヌ様の発案なのです」

 奇妙な服を発案したのは私?そんな印象をつけないでほしい。ノートルが呆れたような目で私を見ている。

「稽古後に湯を浴びた後、これに着替えたら最高だぞ」

 レオポール兄様がノートルの肩をガシッと掴んで言った。

「不思議なことに脱ぎたくなくなるのだ。俺はこのまま生涯を終えても構わない」

 レオポール兄様のおかしな発言をノートルは黙って聞いている。いい人だな。

「美味しいわね、このお酒。シュワっとしてるわ」
「このお酒にこれを食べると永遠に続けられそうですわ」

 お母様とステファニー様がビールを飲みながら唐揚げを食べている。

「私はこちらが気に入りましたわ」

 バーンヒル夫人は枝豆を摘んでいる。そしてビールをぐびぐびと飲み干していく。あぁ、もう日本酒を出してしまおう。

「お母様、皆様、こちらを飲んでみてください」

 おちょこをダニエル様以外の全員に配り、日本酒を注いでいく。

「えー、何これ」
「お水?もうお酒はおしまい?」
「殺生ですわ。これからって時に」

 女性陣が騒ぎ出す。

「マリアンヌ様らしい、可愛らしいグラスですな」
「やはりまだ成人ではありませんし」
「女性はこういった演出が好ましいのでしょう」

 対して男性陣はおちょこの小ささに油断している。

「はいはい、お水だよね」
「ふふっ、おままごとみたいだね」

 お兄様たちはどこか馬鹿にしているようだ。ちなみにビールを一番飲んでいるのは、レオポール兄様とフランツ兄様である。日本酒を入れて大丈夫だろうか。

「では飲もうか」

 お父様が一声かけ、全員がクイっとおちょこを飲み干した。

「な、何これ」

 最初に声を出したのはお母様だった。

「お水かと思えば、熱いものが喉を通って下りていくのがわかったわ」
「美味しい・・・」
「こんなの初めて」
「素晴らしい」
「こんな美味しいお酒、聞いたこともない」
「水ではないのだな」

 おおむね好評の様子で何よりだ。しかし・・・。

「若様!」
「フランツ様!」

 レオポール兄様とフランツ兄様が2人ともソファに突っ伏してしまった。セバスチャンと使用人たちが慌てて駆け寄る。レオポール兄様の膝の上に乗せられていたクロが逃げ出して私のところに走ってきた。

【潰れてしまったぞ。お前の兄貴】

 どうやら日本酒には弱かったみたいである。

「だらしないわね、お酒で潰れるなんて」
「飲み方を知らないのだな、レオもフランツも」
「明日から特訓しないと」

 お父様とお母様がプリプリ怒りながら日本酒を勝手に注いで飲んでいる。

「僕も大人になったらお酒を特訓しますね」

 ダニエル様がキラキラした笑顔を振り撒きながら料理を食べている。

「飲んでも飲まれるなということですね」

 ノートルはそう言っておちょこを口にした。どうやら一気に飲まずに様子を見たようである。慎重なところも騎士には必要条件であろう。結局兄様2人はリタイヤということで使用人たちに運ばれていった。

「天使ちゃん、どんどんお酒注いでちょうだい!」

 お母様は元気よく、私を指名したのだった。


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