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食事が終わりデザートをどうしようかと考えていた。実はバニラアイスが手に入ったのだ。アップルパイに添えたら・・・。想像するだけでもよだれが出そうだ。でも。
新作のアイスを初めて食べるのがこの2人でいいのだろうか。と、考えてしまった。どうせみんなにあげるのだから誰が最初でもいいわけなのだが、なんとなく問題が起きそうだ。誰ならいいかと聞かれるとすぐには答えられないけど。
「お腹いっぱいです」
ダニエル様がお腹をさすっている。
「つい食べすぎてしまいましたね」
と、ノートルも言いながら大きく伸びをしている。そうなるとデザートは後でもいいだろうか。2人は図書館に行くと相談し合っているので、デザートは午後のおやつでいいかなと思い2人を見送ることにした。
アイスは単独で出してもいいけど、やっぱりアップルパイが最高だよね。でもパフェにしてもいいかな。考えると色々思い浮かんでしまう。女神様、ありがとう。アイスは有効利用致します。
「そろそろ奥様方がお昼を召し上がるようです」
セバスチャンに言われて私もお母様たちが集まる部屋に向かう。部屋に入ると、エステでツヤツヤになったお母様たちは少し気だるそうな様子である。
3人は別々の色や柄のチュニックとイージーパンツを履いている。
「マリアンヌちゃん、これあなたが考えたのですって?」
私の顔を見るなり、バーンヒル様が言った。
「は、はい・・・」
「素晴らしいわっ!」
お母様とステファニー様はしてやったりとほくそ笑んでいる。
「最初はね、躊躇したの。私の母は厳しい人だったし、嫁いだ先でも礼儀やマナーにうるさくて。どんな時でもコルセットを外してはいけない、そう教わってきたのよ。近頃では夫の前でコルセットを外す女性が増えたそうだけど、私の時代じゃ考えられないことだわ。それが今日、コルセットを外したの!それがどんなに開放的なことだったか!」
興奮したようにバーンヒル様は話し続ける。
「お二人が着て見せて下さったの。私、こんなはしたないことできないって思ったわ。そうしたら魔獣に襲われそうになったあの日のことを思いだしたのよ。死なずに生きられたんだから、このくらいいいじゃない。そう思って。思い切ったの。そうしたら!」
たかだかチュニックとイージーパンツに着替えるのに、死ぬか生きるかくらいの出来事と比較した。驚いたが彼女の興奮はまだ続く。
「こんなに素晴らしい経験は滅多にできないわ。うちのメイドにも作り方を教えてもらえないかしら。もちろんお金を支払うわ。老い先短いんですもの。好きなことにお金を使うべきよね」
なおも話は続きそうだったが、そろそろお食事をしてもらわないと。お母様たちのランチは洋食を中心に用意した。おちょぼ口でせいぜい三口くらいで食べ切れるくらいのサイズで色々用意。女性なのでそこは考えた。それを一皿に盛り付ける。
「まぁぁ!」
「素敵ですわぁ」
「うふふ、うちの天使ちゃん、すごいでしょ」
喜ぶお母様たち。3人の前にグラスが置かれ、ためらうことなく口にする。
「まっ、これ美味しいわ」
「本当ですわね、もっと頂きたくなります」
「いつもこのようなものをお飲みになっているのね、羨ましいわ」
口々に飲んだものを褒めている。
「こちら、ビタ茶とスウィです」
ホットじゃなくてアイスにしたほうがいいと思い用意しておいた。言われてお母様はグラスをガン見している。
「本当?」
バーンヒル様に手をガシッと握られる。
「本当です。冷たくしたほうが美味しいんじゃないかと思って」
私を見るバーンヒル様の目が潤んでいる。
「ご存じのとおり、ビタ茶はものすごく苦いしスウィはものすごく甘いでしょう?敬遠されてるのはわかってたのよ。でもこんなに美味しいなんて知らなかったわ。ありがとう」
私も飲んでみたけどアイスの方はゴクゴクと飲んでしまう。使用人にも好評だったし、飲みやすいので常備しておこうと考えていた。こちらこそお礼を言いたいくらいである。
「大変ですわよ、奥様。これが広まれば注文が殺到しますわ」
「そうですわ。お忙しくなりますわね」
「とりあえず在庫が大量にあるのでそれが無くなればいいわ。ビタ茶もスウィも栽培しやすいの。それで今まで在庫を抱えることになっていたのだけど」
そんな話をしながら、お母様たちは料理を口にした。
「まっ、これは!こんなに美味しいお食事、私初めてだわ」
バーンヒル様が口にしたのはグラタンだった。
「そうでしょう?マリアンヌ様は本当に素晴らしいお方なんですのよ」
ステファニー様は言いながらもサンドイッチを丁寧に摘んで口に入れた。モグモグしながら目が大きく見開いている。ゴクン、と飲み込んでから呟く。
「私、マリアンヌ様に出会えなければ死んだも同然だったと思いますの」
確かにスティラート家の陰謀に巻き込まれてステファニー様は大変だった。今ではお母様と仲良くしてくれている。
「マリアンヌ様は本当に天使ですのよ」
「本当に。マリアンヌちゃんがいなかったらこの世が闇ね」
ステファニー様とバーンヒル様がそんなことを言いながら料理を食べている。お母様は適度に相槌を打っている。褒めすぎではないだろうか。でも人は褒められすぎると麻痺するものだ。それを今実感していた。
新作のアイスを初めて食べるのがこの2人でいいのだろうか。と、考えてしまった。どうせみんなにあげるのだから誰が最初でもいいわけなのだが、なんとなく問題が起きそうだ。誰ならいいかと聞かれるとすぐには答えられないけど。
「お腹いっぱいです」
ダニエル様がお腹をさすっている。
「つい食べすぎてしまいましたね」
と、ノートルも言いながら大きく伸びをしている。そうなるとデザートは後でもいいだろうか。2人は図書館に行くと相談し合っているので、デザートは午後のおやつでいいかなと思い2人を見送ることにした。
アイスは単独で出してもいいけど、やっぱりアップルパイが最高だよね。でもパフェにしてもいいかな。考えると色々思い浮かんでしまう。女神様、ありがとう。アイスは有効利用致します。
「そろそろ奥様方がお昼を召し上がるようです」
セバスチャンに言われて私もお母様たちが集まる部屋に向かう。部屋に入ると、エステでツヤツヤになったお母様たちは少し気だるそうな様子である。
3人は別々の色や柄のチュニックとイージーパンツを履いている。
「マリアンヌちゃん、これあなたが考えたのですって?」
私の顔を見るなり、バーンヒル様が言った。
「は、はい・・・」
「素晴らしいわっ!」
お母様とステファニー様はしてやったりとほくそ笑んでいる。
「最初はね、躊躇したの。私の母は厳しい人だったし、嫁いだ先でも礼儀やマナーにうるさくて。どんな時でもコルセットを外してはいけない、そう教わってきたのよ。近頃では夫の前でコルセットを外す女性が増えたそうだけど、私の時代じゃ考えられないことだわ。それが今日、コルセットを外したの!それがどんなに開放的なことだったか!」
興奮したようにバーンヒル様は話し続ける。
「お二人が着て見せて下さったの。私、こんなはしたないことできないって思ったわ。そうしたら魔獣に襲われそうになったあの日のことを思いだしたのよ。死なずに生きられたんだから、このくらいいいじゃない。そう思って。思い切ったの。そうしたら!」
たかだかチュニックとイージーパンツに着替えるのに、死ぬか生きるかくらいの出来事と比較した。驚いたが彼女の興奮はまだ続く。
「こんなに素晴らしい経験は滅多にできないわ。うちのメイドにも作り方を教えてもらえないかしら。もちろんお金を支払うわ。老い先短いんですもの。好きなことにお金を使うべきよね」
なおも話は続きそうだったが、そろそろお食事をしてもらわないと。お母様たちのランチは洋食を中心に用意した。おちょぼ口でせいぜい三口くらいで食べ切れるくらいのサイズで色々用意。女性なのでそこは考えた。それを一皿に盛り付ける。
「まぁぁ!」
「素敵ですわぁ」
「うふふ、うちの天使ちゃん、すごいでしょ」
喜ぶお母様たち。3人の前にグラスが置かれ、ためらうことなく口にする。
「まっ、これ美味しいわ」
「本当ですわね、もっと頂きたくなります」
「いつもこのようなものをお飲みになっているのね、羨ましいわ」
口々に飲んだものを褒めている。
「こちら、ビタ茶とスウィです」
ホットじゃなくてアイスにしたほうがいいと思い用意しておいた。言われてお母様はグラスをガン見している。
「本当?」
バーンヒル様に手をガシッと握られる。
「本当です。冷たくしたほうが美味しいんじゃないかと思って」
私を見るバーンヒル様の目が潤んでいる。
「ご存じのとおり、ビタ茶はものすごく苦いしスウィはものすごく甘いでしょう?敬遠されてるのはわかってたのよ。でもこんなに美味しいなんて知らなかったわ。ありがとう」
私も飲んでみたけどアイスの方はゴクゴクと飲んでしまう。使用人にも好評だったし、飲みやすいので常備しておこうと考えていた。こちらこそお礼を言いたいくらいである。
「大変ですわよ、奥様。これが広まれば注文が殺到しますわ」
「そうですわ。お忙しくなりますわね」
「とりあえず在庫が大量にあるのでそれが無くなればいいわ。ビタ茶もスウィも栽培しやすいの。それで今まで在庫を抱えることになっていたのだけど」
そんな話をしながら、お母様たちは料理を口にした。
「まっ、これは!こんなに美味しいお食事、私初めてだわ」
バーンヒル様が口にしたのはグラタンだった。
「そうでしょう?マリアンヌ様は本当に素晴らしいお方なんですのよ」
ステファニー様は言いながらもサンドイッチを丁寧に摘んで口に入れた。モグモグしながら目が大きく見開いている。ゴクン、と飲み込んでから呟く。
「私、マリアンヌ様に出会えなければ死んだも同然だったと思いますの」
確かにスティラート家の陰謀に巻き込まれてステファニー様は大変だった。今ではお母様と仲良くしてくれている。
「マリアンヌ様は本当に天使ですのよ」
「本当に。マリアンヌちゃんがいなかったらこの世が闇ね」
ステファニー様とバーンヒル様がそんなことを言いながら料理を食べている。お母様は適度に相槌を打っている。褒めすぎではないだろうか。でも人は褒められすぎると麻痺するものだ。それを今実感していた。
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