美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

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    キッチンに戻り、何を作るか考えた。新作じゃないとメアリは納得しないだろう。

   とりあえず材料をいろいろ見てみたら、小豆があった。しかし餡子を作るのは面倒だ。明日のことを考えて早く寝たい。

    だが、さっきのメアリのことを思うとそうも言っていられない。キッチンの中と外では時間の経ち方が違う。中で時間をかけてても外ではそれほどではないのだ。他の人は私がキッチンに入ったと思ったらすぐ料理を持って出てくるので、女神の加護はそういうものだと思っているのだろうと思う。


    和菓子以外考え付かず、決心して餡子を作ることにする。他にもアイスがあればいいなと思って冷凍庫を見たら中にあった。いつからあったのだろう。気が付かなかった。日本酒と一緒で女神様からのプレゼントかと思う。

    そんなわけで、大福、どら焼き、みたらし団子を作ったのだが、料理は30も作ったのにデザートは3種類だとまた拗ねるのではないかと心配になった。でもお腹がいっぱいで眠いから頭がまわらない。そもそも明日に備えて寝るつもりで部屋に向かっていたのだ。

     気にせずこの3種類をメアリに渡そう。私はそう決めてキッチンを出る。

    外に出ると使用人たちが忙しそうにしていた。とりあえずメアリを探す。メアリは使用人部屋で明日の準備をしていた。難しそうな顔だ。久しぶりのお客様で気合が入っているのだろう。

「お嬢様」

 私に気が付きメアリが立ち上がり目の前に来てくれた。

「これ、作ってみたの」
「これ・・・」

 メアリの目が大きく見開いている。

「夜遅いからお腹に気を付けてね」

 この時間に大福はけっこう来ると思う。お腹は丈夫かもしれないけど、食べ付けないものを食べたらお腹が驚くだろう。もっとも、メアリのことだから大丈夫だと思うけど。

「よ、よろしいのですか?」

 そう言いながらも目はガッツリと大福をとらえている。

「どうぞ」

 メアリは丁寧な仕草で大福を手にした。

「や、柔らかい・・・」

 見ると指が震えている。そんなに緊張するもの?そしてじっと大福を見つめる。大福に人格があれば照れているはずだ。そしておもむろにかぶりつく。

「んー」

 お餅が少し伸びた。メアリの目が驚きのあまり大きく見開かれた。目玉が落ちるのではと思うくらいである。そのまま噛み切るともぐもぐと口を動かす。よく噛んでるなと思っていると、ごくんと飲み込んだ。

「すごいです。こんなの初めて」

 メアリの頬が上気している。何となく色っぽくも見える。

「お嬢様、ありがとうございます」

 大福を食べ終わり、メアリは微笑みながらお礼を言ってくれた。いつものメアリだ。

「久しぶりのお客様で、緊張してしまって」

 以前はそれなりにお客様を迎えていたはずだが、スタンピードで使用人も大半が行方不明になってしまった。エイアール家の使用人の人達もレベルが高く問題はないのだが、やはり気を使う場面もあるようだ。そんなこともあってメアリは少し不安定になったのかもしれない。

「明日はよろしくね」
「はい、お休みなさいませ。お嬢様」

 メアリの機嫌も直り、私は自室に引き上げることにする。明日のこともあるのでさっさと寝よう。特に早起きする必要はないが、睡眠は大事だ。寝る子は育つと言うし。解放された気持ちで私は自室に向かったのだった。


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